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米中関係からみるアメリカ政治の問題点

中国対外行動の源泉という寄稿文を読んで感じたことを書いておく

この寄稿文はジョージ・ケナンのX論文を参考に今後の米中関係に関する提言、考察をまとめたものである

そこから私が疑問に感じたことを書こうと思う

中国とナショナリズム

寄稿文では中国共産党とソビエト共産党の違いが挙げられている

ソビエト共産党はソビエト流の共産主義で世界を埋め尽くすことを目的にしているのに対し中国はナショナリズム、地域覇権を目指している

中ソの共通点としては反米主義が挙げられているが同時にソビエトと現在の中国では取り巻く国際環境が違うと指摘されている

ソビエトの掲げた階級政治論と比べて気候変動、貿易などで国際的な連帯を求める中国の路線は対外的な影響力の形成に繋がる可能性があるとされている

アメリカがグローバルな問題に対してイニシアティブを発揮できていない現状は中国のような権威主義国家の方がグローバルな問題にうまく対処できると国際社会が感じる懸念についても触れられている

中国とマイノリティー

中国内のマイノリティーの多くは現在の指導者の強引なやり方に反発し、より自由かつ平等な中国を望み近隣国やアメリカとの平和的な関係を求めているとされる

同時に中国が孤立を深めていけば、そうした声もナショナリズムの台頭にかき消されていくと指摘されている

現状はどうだろうか

既にナショナリズムの台頭にかき消されてはいないだろうか?

ウイグル族の例は分かりやすい例だろう

ナショナリズムという言葉の定義と中国共産党の掲げる「中華民族の偉大な夢」というスローガンを考慮すると今後他の少数民族も過激な弾圧をうける可能性は否定できないだろう

又は既に起きているのかもしれない

中露同盟?

この寄稿文では中露同盟の可能性を示唆しロシアを欧米の協調路線に引き込むべきだと提言しているが私は違和感を覚えた

私は中露同盟出現の可能性については現時点では低いと考える

しかしながら中長期的目線で考えれば一定程度可能性はあるだろうし寄稿文でも指摘されているように実際に中露同盟が出現した場合は中国の人口とロシアの資源が一体化することになりアメリカや近隣諸国の外交、安全保障の大きな脅威となるだろう

だがロシアを欧米の協調路線に引き込むという戦略は現実性に乏しいのではないだろうか

米露関係は冷戦後最悪と言われる状況の中での欧米とロシアの協調路線はシュミレートの上では良い案だが寄稿文の中でも具体性に欠けるように感じられた

中露同盟出現を危惧し防止するという観点では中露が対立する分野でディカップリングを仕掛けていくなどの戦略の方がリスクはあるが現実的ではないだろうか

アメリカ政治と米中関係

X論文では

アメリカの「不作為、不和、内的な分裂」が誰の目にも明らかになれば最大の危険に晒される。

としている

それを受けて寄稿文では

現在の世界で競争していくには質の高いスキルトレーニングを提供し、世界クラスのインフラを整備し、最先端の研究開発のためにより多くの資金を投入する必要があり、そのためには富裕層や企業のより大きな税負担が必要になる。

と指摘している

アメリカの「不作為、不和、内的な分裂」

については現状、多種多様な問題があるが今回は税負担とトランプ政権の減税政策について考えていきたい

トランプ政権は法人税減税政策を行っている

しかし法人税減税は経済活動の活発化という面では効果的かもしれないが企業のより大きな税負担という面では減税はすべきではないだろう

もちろん経済政策は外交、安全保障と同じレベルで大切であるし軽視すべきではない

だが経済政策としての減税なのであれば富裕層以外の国民の減税を行うという政策を選択することも可能なのではないだろうか

アメリカのような「リベラルな国際秩序」を牽引してきた世界の超大国には中露に代表されるリビジョニスト国家との競争力を維持、強化していく必要がある

アメリカの「内的な分裂」に関しては多種多様な問題点や見方、背景があるため別の機会に書こうと考えている

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