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#8 とある遅読家の読書感想文『年収90万円でハッピーライフ』大原扁理著③ 「第二章 フツーって、何」より(前編)


今回はこちらの書籍の「第ニ章 フツーって、何」から、前半部分で、特に胸に響いた箇所を引用させて頂き、その感想を綴らせて下さい。


就職を前に、どうしよっかな〜なんて悩んでいたけど、今思うと、別にどうもしなくて良かったんです。やりたい仕事なんて探したらあかん。そんな高いとこに目標設定したら、自分がしんどすぎる。仕事に求めるのは〝出来ないことをしない〟というくらいでいい。p38

「出来ないことや嫌いなことをしない」くらいで自分に、オッケーを出す、という感じになってから、ずいぶんラクになりました。p38

大事なのは、嫌いなことで死なないこと。p38

私は、正直、職歴にコンプレックスがあります。油断すると、もっと世間で認めてもらえるような自分にしかできない仕事に…といったような考えが、いい歳して、頭をもたげます。

「出来ないことや嫌いなことをしない」くらいで自分にオッケーを出す。

救われました。

完全とはとても言えませんが、今の境遇を少し肯定できるような心持になれたような気がしました。あまり好きじゃないけど、自分に出来ること、でそのおかげで、幸い、生活できているんだもんな。といった感じです。

人間、やりたいことはわかんなくても、やりたくないことだけは意外と迷わないんですよね。p41

大いに共感しました。

と同時に、自分のやりたいことに、いかに囚われていたか痛感しました。

やりたくないことリストをしたためてみました。(たしかそのすすめのようなことが著書にもでてきたかと…)するとスラスラ出てくるのです。自分がどういう人間だったのか、再発見できるかもしれません。(私は再発見結構ありました…。)

基本的に社会というものは、常に比較して、違う部分を見つけ出し、ないときは無理やり作り出してでも、誰かを排除・攻撃したがるものです。そういう、他人と比べられてしまう場所にいなければならないとき、わたしならいかにして少しずつ離れていくか、ということを検討します。p48

確信させられました。私は加害者であると。他人と比べさせる環境作りに加担していたと。

さて、このような生活を経て、わたしがどう変わったかというと、正直、いじめられる前と後と、あんまり変わってないような気がするんです。これは謙遜じゃなくてね。だって辛い痛みには全然慣れない。他人の痛みがわかるようになったかといえば、何とも思わないこともある。辛い経験のある人同士なんだからわかり合えるよね!みたいな一般論を押し付けられる方がしんどい。p55

あれがあったから今のわたしがある、というようにポジティブには考えられない。辛かったことを無理やり肯定せなあかんことほど、辛いことはない。p56

“自分が具体的に何をされたのかを他人に説明しないと伝わらない。そんなもん、二重に辛いがな。興味本位で聞くだけ聞いて結局何もしてくれない、ということが数人続いたら、それでも助けを求め続けろとは、わたしは言えない。心を閉ざすしかないと思う。むしろ閉ざせ!閉ざしちゃっていいよ!って言いたい。p57

気付かされ、恥ずかしくなることばかり。そして著者の感度の繊細さ、そこから感じられる他人に対する優しさ、非の打ちどころがありません。

街角で必死に化粧直してる女の子とか、スキあらば窓ガラスに映して前髪整えてる男の子とか見ると、なんか胸がひりつくっていうか。どの子も現実の自分を受け入れらんなくて、どこにもいない別の誰かになろうとしてる。あー、なんかわかるよその気持ち、って感じ。p60

ゆっくり年とっていくといいよ。年をとればとるほど自分が自分でいることが快適になって、イヤでもラクになってきちゃうから。たぶん瑕疵と思えることも平気で薄目で見られるようになるんですよね。これってつくづく、テキトーに楽しく生きていく上で必要な技術だなあ、と思う。これを覚えておくと、とっても、いいことがありますよ。p61

こちらの引用に関しましては、ただ単にナルシズムが強く、前髪整えてるだけのこと、という場合もあるのではとも思いますが…著者の観察力に感服させられました。

歳を重ねることを、不安から楽しみにさせてくれる一文と感じました。

わたしはたまたま性的マイノリティの属性を持っていますが、マイノリティがない人なんていないと思うんです。ただそれが、生きていく上で、常に社会的に意識させられざるを得ないようなことだったときが、ちょっとめんどくさい。p63

カミングアウトっていうのも、なんでわざわざしなきゃいけないんだろう。p63

積極的に自分の引け目を探し、さらけ出したくなる、無駄な衝動。とでもいうのでしょうか…、おっしゃる通り、カミングアウトって当然、義務ではないですよね。

なぜかどこでもいますよね。同調圧力とかコントロールの中でイキイキしてる人。p65

世の中の当たり前に従わなくていいんです。もっとシンプルにいこうよ。p66

わたしは「ルールだからダメ」「それって常識でしょ」みたいな場に出くわしたら、五感をフル稼働して相手とその周囲をよ〜く観察してみます。その人たちが、もし目先の「社会的にオッケーとされること」しかみていないと思ったら、適度に無視します。p67

こちらの引用は、これまた痛快でした。
とても有用な処世術を伝授された心持です。
私は、いつも嫌気に苛まれるのに、長いものに巻かれやすいタイプです。
あの時、あ~してれば、というような後悔にいつも襲われます。
適度に無視。
これぞ大人な対応といったところでしょうか。

次回、第二章の後半部分からの引用とその感想を綴らせてください。

お読みいただいた方、ありがとうございます。

今回はここまでとさせて下さい。


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