【散策子さんさくし】 (泉鏡花文学ことば図鑑『春昼』)

”本来ならこの散策子が、そのぶらぶら歩行の手すさびに、近頃買求めた安直な杖を、真直に路に立てて、鎌倉の方へ倒れたら爺を呼ぼう、逗子の方へ寝たら黙って置こう、とそれでも事は済んだのである。”
(泉鏡花『春昼』より)

「子(し)」=「何々をする人」の意味。
散策子(さんさくし)は「散策をする人」。
泉鏡花の小説『春昼』および『春昼後刻』の主人公。

散策子は神奈川県の逗子に滞在してぶらぶら歩きをしている。
逗子に療養滞在していた鏡花本人との類似を思う。

余談として岩波文庫は巻末に「読書子に寄す」という文章を掲載している。
言うまでもなくこれは「読書をする人に寄せて」という言葉。


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