担当ホストとの1か月|エッセイ
担当ホストと出会って1か月と少し。開けたシャンパンは10本以上。スタートダッシュは完璧で、運良くラスソンまで聴けてしまった。ラスソンという言葉すら、最近まで知らなかったというのに。
先日はオールコールというものをやってもらった。オールコールとは、その日出勤しているホスト全員が自分の卓にきてどんちゃん騒ぎをしてくれるちょっと特別なシャンパンコールだ。担当にとってはホスト人生初だったらしい。私はその初めてがほしくて、半年後の目標を前倒しにした。眩しい笑顔を隣で眺められただけで、やってよかったなぁと思えてしまう単純な私であった。残高は底を尽きた。
担当ホストはまだホストを始めて1年未満。彼のホスト人生初、という名誉ある称号をなんだかんだでふたつも手に入れてしまった。もちろん私にとってはすべてが初めて。こうなってくると、初めてのタワーだって私がやりたい! などと思いはじめてしまう。高望みはよくないけれど、目標があるから頑張ることができるのもまた事実。私はあと何回、彼にとっての初めてになれるだろう。
担当と出会い、ホストクラブにはまり、私はキャバ嬢になったけれど、たぶん私が追いつくよりも先に担当は遠くへいってしまう。今の距離感で応援していられる時間はもう残り少ないのかもしれない、と会うたび思う。まだ9回しか会っていない人間のことをこれほど好きになってしまうとは。我ながらどうかしているけれども、人を狂わせる才能が担当にあるからだ! ということにしておく。
これだけ濃い時間を過ごすと、それはもう山あり谷あり、短期間でさまざまなことが起きた。たのしいことばかりではないし、寂しくなったり不安になったりやきもきしたり、それはそれは情緒不安定な日々だ。それでも懲りずに通ってしまうのはやっぱり、彼が魅力的なホストだから。
会うたび、連絡をとるたび常々思うことがある。私たちはお金でつながった関係だけれど、それでもどこまでいったって人間対人間だ。私が彼といていろんなことを感じるように、彼だって私に対してさまざまなことを思って、考えて、感じている。それだけは忘れちゃいけないと思う。いつもありがとう、と思える私でいたい。
私はいつまで、彼のことを好きでいられるだろう。彼はいつまで、隣で笑っていてくれるだろう。願わくば、彼がホスト人生を終えるそのときまで、一緒にお酒を飲んで笑っていたい。それがいつになるのかはまだわからないけれど、私はまた明日も働く。そしてまた、彼の元へ会いにゆく。いつもありがとう、またね
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