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透明人間

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透明人間4

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「遅くなってごめんね」

 そういって蓮はベッドに真新しいシャツを置いた。これまで瑠依の分の服が無く、サイズが大きすぎる蓮の物を着せられていた瑠依は、けれどそれが自分自身のための服だとは理解していなかった。

「瑠依の服用意したから、着替えようね」

 瑠依の風邪が治り、ようやく着させてあげられると、蓮は心の中で喜んでいた。何も持っていない瑠依に『瑠依だけのもの』を与えられることが嬉しかった。
 

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透明人間3

透明人間3

 たくさんの布団が敷き詰められっぱなしの部屋は、昼間でもカーテンが閉まっていて薄暗く、八人の子供たちはいつも部屋の奥で怯えるように固まっていた。真冬の今でも暖房器具はなく、部屋のこもった空気と人肌でだけ暖を取る。
 子供たちの体重で、背後の押し入れがきしむ。目の前にある木製のドアはじっと沈黙を貫いていて、いつそれが開くのか皆緊張を走らせていた。
 膝を抱えて座り、じっとつま先を見つめる。今日も長い

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透明人間2

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 薄いシャツを脱がすと、瑠依の小さな身体には無数の傷跡があった。
 煙草やアイロンを押し付けた跡、切り傷に刺し傷に打撲傷。それらを一つずつ、丁寧に追って、蓮は薬を塗り続けた。

「はい、おしまい」

 蓮はにこりと笑うけれど、瑠依は相変わらず反応しなかった。
 服を着せられている間、じっと伏せられた蓮の目を見つめる。この男は、たったこれだけで何もしないし、自分を傷つけない。
 この人間は、傷つけて

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透明人間

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 瑠依が目を覚ましたそこは、知らない場所だった。
 ベッドと、本棚と、小さな机、空を写す大きな窓に、閉じられたドア。ふわりと白いカーテンが揺れた。ゆっくりと視線を移して把握していく。
 暖かい布団が鬱陶しくて、瑠依はゆっくりと身体を起こした。自分のものではないみたいに重たい。
 ふらふらとベッドから出て、足をそっと下ろす。フローリングにはカーペットが引かれておらず、足裏から心地よい冷たさが伝わって

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