#LIVE 2人の世界。

正直思ったのは

せっかくここまで来たのに
だった。

こんなに
無意識のような意識下で
家にまで連れてこようなんて
思った人は初めてで。
自分が自分じゃないみたいだった。

ある意味何も考えずに
ここまできてしまった。
彼は何を思いながら
私に着いてきたのかもわからない。

ただ
私たちは今2人きりで
ここまで来てしまったのだ。

鳴った携帯の音に
びっくりして
彼はとりあえず音を消したら
その後すぐ携帯は着信をやめた。

すると彼が

や、ここまで来てごめんね。
実は鍵がないことに
途中で気付いたんだけど
歩きながら
なんか考え事してたよね?
それで言い出せなくて。

私は多分、途中で言われてたら
今までの経験と知識のせいで
決め台詞を
言わなくてはいけない衝動に
かられただろう。

『その手には乗らないよっ』って
明るいフリをして
彼を帰していたと思う。

けど実家だと知った彼が
それでも言ってきたということは
本当に鍵が無いのか。

多分ものの1秒しか経っていない
この間に
たっくさん色んなことを考えていた。

でもなにより
さっきの電話が気になって
彼に聞こうかも迷っていた。


追いつかないスピードで
またたくさんの事を考えていた。

彼は中に入る気なのかどうなのか。
家に人がいるかもしれないことを
どう思っているのか。

彼女さんがいるとかいないとか
家族がいるとかいないとか
基本に忠実にしたら
多分私は彼を入れなかった。

そんな基本の逆をしようとしている
自分を肯定して良いのか
本当にわからなかったけど
私は彼を帰すことができなかった。

帰したら明日から一生後悔する気がした。


入る?
うん。ありがとう。

私の部屋に案内した。

きっと。
そう。
別に。

部屋に入れるくらい
大したことないのも
わかっている。

入ると
私が昔アパートで同棲している時に
飼っていたうさぎが
彼をじーっと見ていた。

うさぎは元彼にしか近寄らず
私にはいつも寄ってこないのに
彼の手にすごく近づいた。

うさぎに近付ける彼の手も
すごくキレイで
私は時をあえて止めていた。

うさぎがクンクンと一生懸命に
嗅ぎ回っている様子は
この人は誰なのか
確認しようとしているのだろうけど
すぐに辞めて
手にすりすりしていた。

多分うさぎも
惚れてしまったのかな。
そんな風に見えてしまった。

本当は1ミリも
離れたく無くて
うさぎを見ている彼といたかったけど

喉が渇いたので
お茶を出そうと
台所に立とうとした。

その時。
私は青ざめてしまった。

また彼女から電話がきたのだ。

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