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マジでうんざり5秒前! 中国式セールス

中国・深センでの生活が快適で、結婚して定住を決意するほど、この日常に満足しています。
言葉がわからなくても、騙されるどころか親切にしてもらえて、たくさんの人の優しさに支えられて生活しています。
爆伸びの経済成長で街のムードはやたら活気づいていて、おおらかで平和。景気がいいってこういうことだよな、と人びとの表情を見ていて感じます。日本人がやたらギスギスして寛容性がないのは不景気のせいじゃないかな、きっと。

暮らしは快適、中国語会話という挑戦も毎日ほどよい刺激があって、平和で自己防衛に怯えることもない。

これってもう、完璧じゃないかな?
いや違った。心当たりがあった。

ほぼ満足の中国生活で、たったひとつのしかし大きな不満が、積もり積もって最近爆発しました。
買い物したり食事したりといった、毎日の出費じゃないところで。

例えば、ジム、美容室、マッサージやエステサロンといったサービスを購入する状況。ここで私は「ふざけんな!」とカウンターの前で叫んで、中国式のやり方に怒り爆発しました。
後になって冷静に考えたら、文化や商習慣の違いだからしょうがない場面だったのですが、とにかく腹が立ちました。

結論から先に言うと「お得な低価格で回数券やデポジットにお金を払った後に、もっと上質なサービスが受けられるから追加購入をすすめてくる。しかもそれがめちゃくちゃしつこい」というやり方です。

まとめ買いや先払いをすることでトータルコストが抑えられる、という手法はビジネスにおいて割とよくある手段ですが、中国式ではそれがあからさまにエグい。
腹が立つのは、例えばひとつの値段が安くても、まとめ買いなら5万円とか10万円とか、そこそこ高額を支払った上で、さらに高額をふっかけてくることです。

具体例を挙げると「美容院で会員カードに現金をチャージしたら、カットやパーマが安くなるから」とすすめられて、5万円チャージしたんですね。
カットが通常価格なら5000円のところ、値引きされて3000円になりました。いきなり5万円の出費は正直ビビりましたが、割引率はおいしい。
5万円チャージしたその日は予約でいっぱいだとのことで、翌週にカットの予約をして、お得感に満足してホクホクしながら帰宅しました。

そしていざ予約の日。カットしてもらってすっきりするぞー、とウキウキで美容院に行くと
「3000円のカットは見習いレベルが担当するからイマイチだ。4800円のカットならベテランで人気のスタッフにカットしてもらえるから絶対こっちの方がいい」
いや予約した通りでいいから、と断ってもしつこい。交渉は前回済んでいるはずなのに、お金はもう払ったのに、また交渉からやり直し。
4800円のカットなら、割引前の5000円とほぼ同額やんけ、とうんざりしながらもセールストークは止まらない。交渉や粘り腰といったとにかくしゃべり倒すのが得意技の中国人 vs 口ベタで穏やかに済ませたい日本人、明らかに後者が不利な状況です。

マジで話が違う
3000円になるって言ったから、5万円払ってチャージしたのに
もう交渉したくないから払ったのに、また交渉ってどういうこと?
払う前に話すならまだしも、払った後に別のプラン出してくるってもう詐欺じゃんコレ

このあたりのポイントをおさえて私の中の沸点を超えたため、「ふざけんなよ!」と店内で激怒しました。
怒ったところで全然スッキリしないし、5万円分使いきるまでこの美容院に通わないといけないし、店員もあきらかに腫れ物に触るような態度になるし。怒りってホントなにも生み出さないですよね。

中国式セールスで、こういう後出し方式が成立するのは、これまで何度かnoteにも書いた「メンツ」が関わるのかなあ、となんとなく考察します。
ちょっとくらいの差額でいちいち文句をつけるのはメンツが立たない。ケチケチせずにスマートに払うのがかっこいいとされる、中国社会でのこんな理想像を逆手にとって、この強気のセールスが成長するんだと思います。

しかし私は腹が立つ。ケチだと思われようが、はっきり不満を言わないと気が済まない。
こうして結局、激怒した上にムード最悪の店内で、3000円の見習いコース担当のカットを頼んで終わりました。
また髪が伸びたら行かないといけない。5万円を使い切るまで。
ギリギリまで伸ばして、美容院に通う頻度を下げることにチャレンジするけど、また今度いったらまた交渉から始まって、また断らないといけないのかと想像するだけでウンザリします。

これは美容院に限らず、ジムで1年間契約して「よし通うぞ」と気合い入れたら毎回ジムに行くたびにプライベートコーチ(別料金)つけないかと勧誘されたり、クーポンサイトでお得な価格でマッサージの予約を入れたのに「こっちのほうがいいよ」と実際には高いマッサージをすすめられたり。

確かに最初の値段は安い、そこを標準値だと定めるのがよくないのかな。
実際の値段を見積もった上で臨むべきなのかな。

極力そういうサービスを購入する場面に遭遇しないようにするのがベストなんでしょうが、それって根本的な解決にならないですよね。
風邪を治したいと思っているのに、咳止めを飲んでも意味がないのと同じで。

毎日の生活は快適で楽しいけど、後出しで強気な中国式セールスとの付き合い方だけが目下の悩みです。


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