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なぜ「発達障害」が増えているのか。ASD児が知的な両親のもとに生まれることが多い件について。

今日は本のレビューもかねて表記のテーマで書いていきます。
読んだ本はこちら。

岡田先生は『愛着障害』について特に多数の本を出しています。

愛着障害と発達障害

こちらの本では、発達障害というより、認知機能の違いだよ。
定型の発達がなぜ必要なのか。認知機能の違いは才能だよ。と明言くださっていて非常に気持ちいいです。

大人が育て方を間違えて二次障害を起こさせたり、愛着の形成をしないことのほうが子どもの心に問題を起こす。それは定型発達でも非定型発達でも同じこと。と。

愛着形成がうまくいかないと、発達障害に似た様相を呈するそうで、それは専門家でも区別がつかないほどなのだそうです。

さらに以下の言葉はとても印象的でした。

 本来の発達障害では、二次的に愛着の問題が起きていなければ、世間ずれしていない天真爛漫さや無邪気さがみられることが多い。愛情をもって、ゆったりと育てられたケースでは「心がきれい」と表現したくなるような純粋さや素朴さに出合う。
 しかし、愛着障害が加わったケースでは、無邪気さや純粋さが変質し、ネガティブな感情や攻撃的な傾向が強まりやすい。物事の良い面をみるよりも、悪い面ばかりに悲観的で批判的な眼差しを注ぐようになる。素直さが消え、ひがみっぽく、強情で傲慢になり、気分や情緒も気まぐれで不安定になりやすい。

『発達障害とよばないで』岡田尊司より


これ、ほかの本にも時々出てくる言葉です。現場の児童精神科医の先生が数ある症例を見てきた中で言うのだから本当だろうなぁと思います。

優しい両親に育てられたASD児はすごく純粋で心がきれいで独特のかわいらしさがある、と。

今のところはいっくんすごくかわいいので、それを汚さないようにしたいなぁと思うし、うちは抱っこを嫌がる類の感覚過敏がないので、愛着形成はしっかりできています。
2歳直前までわたしとびっちり一緒にいました。
ただ、家にいながら私も仕事をしていたので、テレビを見ててもらうことも多かったから、それが悔やまれるけど、天気のいい日は毎日どこかに連れ出したし、いっくんもママが大好きなので、愛着形成は問題ないかなと。

わたしは上の子たちもアタッチメントはしっかりと意識して、うまくいった実感があります。
母乳育児で抱っこもたくさんして、添い寝で、たくさんスキンシップして言葉でも愛情をたくさん伝えてきたので、そのおかげでとてもかわいい、いい子たちで、自分のことが好き、という感じで育っています。
それが一番の親からのプレゼントだと思っています。

愛着障害の場合は、心の面にアプローチをしていけば発達障害に似た症状はすぐになくなるそうです。

発達障害が激増している理由

愛着障害を発達障害として診断している例が少なからずあるがために、近年発達障害の数が増えているともいわれています。

発達障害が激増しているもう一つの理由として、現代社会が自閉症スペクトラム的な人にとって生きやすく成功しやすいものになったから、というのがあるそうです。

ASDは遺伝的な要因も強く、いくつかの原因遺伝子が特定されています。知的な遅れを伴う単一因子型の遺伝子障害の場合もありますが、多因子型がほとんどだそうです。

そして、知能の高い両親、高所得者の両親から生まれる例が非常に多いそうです。
これについては、最初に自閉症という言葉を作ったカナーや、アスペルガー症候群の名前のもとになった、ハンスアスペルガーも言及しています。
高知能の親は子供を愛情深く育てないからではないか、というカナーの誤った発言で、冷蔵庫マザーみたいな考えが出来てしまったほどです。

 また、アメリカで自閉症スペクトラムの有病率が最も高い州はニュージャージー州で、児童の有病率は49人に1人に達し、アメリカ全体の88人に1人という割合と比べて、2倍近い水準である。ニュージャージー州といえば、名だたる製薬会社やバイオテクノロジーの研究所が集まり、1割を超える住民がバイオ産業で働いている。また、プリンストン大学をはじめとする大学や研究機関も多い。(中略)
 自閉症スペクトラムの有病率が更に高い地域が、サンフランシスコ郊外のシリコンバレーである。言うまでもなくIT産業の聖地であり、アップル、グーグル、インテルといった今をときめく企業が集まっている。まさに時代をリードするITエリートの街だといえるが、この地域での自閉症スペクトラムの有病率は1割を超えている。
 こうした事実は、自閉症スペクトラムの有病率が社会経済的に恵まれた階層で高いと言うにとどまらず、自閉症スペクトラムの遺伝要因が、むしろ知的、技術的才能と結びついたものであるというポジティブな意味をもつことを裏付けている。

『発達障害とよばないで』岡田尊司より

自閉症スペクトラムは高知能で社会経済的に恵まれた階層に多い

うちの夫もプログラマーとしてはかなり有能な人で、確実にASDの要素を持っています。高所得者ではないですが(笑) 純粋できれいな心を持っていると感じます。実際彼のご両親は彼にめちゃめちゃ愛情をかけていたと思います。

そういう人が活躍しやすい社会になっていて、そういう人同士で結婚をすることで、ASDの子どもが誕生しやすくなっている。それが近年ASDが増えている原因でもあるようです。
シリコンバレーでは有病率が高い、とか、途上国にはほとんどいない、というのもそういった理由が考えられます。

そして、その遺伝要素は社会で有用であり、才能といえる、ということですね。

事実、イーロンマスクも、スティーブジョブスも、マークザッカーバーグも、ビルゲイツもASDと言われているので、もはや、わたしたちASDじゃないから平凡な人生なのでは?と思えてしまうほどです(笑)
(まぁ、わたしはわりかし平凡とは言えない人生かもしれませんが)

今の時代、少数派で変人であることはメリットがすごく多いと思います。

わたしは発達障害のお子さんを持つ人のブログや発信をよく見ますが、実際にその親御さん、特にお父さんがエンジニア的な仕事をしていたり、理系の仕事をしていることが多いです。
もしくは、イラストで育児日記を発信するお母さんも多くて、そういう才能あふれる両親の子どもだからなんだよねーと思ったり。

こういった少数派の天才を生かすことが出来ているために、世の中にイノベーションを起こし続けているアメリカと、そういった人たちを潰してしまいがちな日本の教育を思うと、わたしはいつでもいっくんを連れて海外に住んでもいいな、と思うのでした。

認知機能特性の違いは、少数派であるために生きにくさにも繋がりますが、多数派と同じであることがいいことというわけではなく、周囲がどう理解し、環境を用意し、親がどう愛情をかけてあげるかのほうが大切、ということを改めて思うのでした。

いっくんがどう成長するか、楽しみです♡

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