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マイナーなはずが人気都市 台中市の魅力を考えてみる

今日の中国語◆喜歡


発音 シー ホゥァン
意味 好き

台湾に旅行に行こうと考えた時に、まず最初に台中に行こうと思う人は、どれほどいるのだろうか?
そもそも台中を知っている日本人はどれほどいるんだろうか?

個人的には台湾で一番好きな街であり、星野リゾートが2台湾に星のやを開業するとなった時、台中にできると聞いて、とても嬉しかったのを覚えています。
その時はまさか自分が、赴任するとは思ってもいなかったけれど、異動の話が出た時に台中であることが自分の背中を押してくれたことは間違いない。

なんで私はこんなに台中が好きなのか、台中の魅力は何のか、今日はじっくり考えていきたいと思います。

台中にある星のやグーグァン

実は台中は大人気都市

おそらく日本人の中では、とってもマイナーな台中。実は台湾では「最も移住したい都市ランキング」1位に君臨し続けているのです。

台湾のYahooが2021年に行ったアンケート調査の結果は以下の通り。
- 第1問:あなたが台湾で一番住みたい都市は?
第1位台中市(18.1%)、第2位台北市(16.7%)、第3位台南市(7.2%)
- 第2問:退職後にあなたが台湾で一番住みたい都市は?
第1位台中市(13.8%)、第2位台北市(11.3%)、第3位花蓮縣(8.3%)
- 第3問:どの都市の幸福度が一番高いか?
第1位台中市(15.2%)、第2位台北市(13.8%)、第3位台南市(6.7%)

なんとすべての質問で台中市は、台北を抑えて1位という結果。

Yahooはこの結果をなんと説明しているかというと、こんな感じ。
「台中市は台湾の中で中間地点にあり、南北への交通アクセスがよく、気候も比較的穏やか、都市としての発展も十分なので、多くの人が好きな都市に選ばれたと予測できる。」
台湾に住んでいると、まさにその通り!と納得ですが、ここからは住んでいないとわからない実感を掘り下げていきましょう。

台中の人気の秘密

気候が穏やか

星のやグーグァンの横から流れる大甲溪

ちょっと小難しく気候区分の話をすると、日本は温帯というまさに穏やかな区分に属しています。
台湾はというと、亜熱帯と熱帯にまたがっており、その亜熱帯と熱帯の分かれ目が、台中市から約90キロほど南、車で1時間程度の嘉義(ジャーイー)という場所に位置します。
嘉義のすぐ南にあるのが台南市。台南駅に降り立った瞬間に、全く気候が違うのを感じられます。
台中から台南まではたったの150キロほど、日本でいうと東京から宇都宮のちょっと上くらいの距離です。4月の今どき台中ではまだ薄手の長袖を着ていますが、台南では3月から11月くらいまで半袖しか着たくない暑さという、たったの短い距離とは思えない差があります。

台中公園

では、台中より北の台北なら過ごしやすいのではないかと思うところですが、北部は雨が多くそして台湾人にとってはちょっと寒い。

台北市の年間降水量は平均約2500mm、年間降雨日数170日に対し、台中市は1600mm、年間降雨日数117日ほど。加えて平均気温はそれほど差がないものの、台湾人的には、言台北は湿気が高い分冬の体感気温が寒いんだそう。
(*1971年から2000年まで30年間の平均値、台湾中央気象局データ。)

実際私も半年ほど台北の学校に通っていたことがあるのですが、まるで日本の梅雨時のようなシトシト降り続く雨や、スコールのような雨、雨のバリエーションと雨の多さに、悩まされていました。
それに比べると台中は4月末から6月初めの梅雨時期を除いて、雨が続くなということはほとんどなく、むしろ雨が降ると今日雨なんだ!とちょっと驚くくらい。台中の天気最高!

台風の影響が少ない

小さな島国台湾は、沖縄の離島石垣島の横あたりにあります。沖縄と同じく台風の影響をかなり受ける土地なのですが、なんと台中にはなかなか来ないんです。

グーグァン七岳の一つ 白毛山

小さな島なんだから台風に覆われちゃうんじゃない?と思いきや、台湾の真ん中に走る海抜3000メートルを超える山脈群に東からくる台風は阻まれ、北に行って台北を直撃して日本に来るか、南に行って台湾南部を通り中国などに行くかというコースを通ることがほとんど。
台湾には、台風の日には台風休暇というものがあるのですが、台中に合計3年ほど住んでいる中で、一度もなったことがありません。
台風休暇という非日常を味わってみたい気もしますが、台湾の台風はベランダの柵が飛ぶとかそういう勢いなので、やっぱりないに越したことはない。

ほどよい都会とほどよいのんびり

台中の名所 国立歌劇場

15年ほど前に台中に住んでいたころ、台中にもMRT(メトロ)ができるらしいというのが大ニュースでした。そして今台中には1本だけMRTが通っています。

ちなみに台北は今や東京に及びそうなほど、縦横にメトロが走り、観光の足、生活の足としてとても便利。台北市自体の人口は台中市に抜かれたもの、台北市を円状に囲むベッドタウンから人が流れ込むため、どこもかしこもが、東京都内の混んでる方の区くらいの人口密度です。

それに対して台中は鉄道1本、メトロ一本、メインの交通手段は車かバイクかバス。
土地の整備自体も、元々は小さな中心地から外へ外へと広げて行ってるので、公園が多かったり道幅が広かったり、スペースがある感じ。
休みの日には、公園で散歩したり、サイクリングをしたり、山登りに行ったりする人も多くて、台北のたくさん魅力的なものがあるんだけど、なんだか忙しないというのと対照的。

とはいえ、人気も人口も上昇の都市なので、ショッピングやおいしい食事にも事欠かない。なんと今年台中駅の真裏に巨大なららぽーともできて、日本人にはより便利になる予定。
ほどよい地方都市感が、とても心地よいのです。

立地と新幹線

高速道路もあるよ


Yahooも言っていますが、真ん中だから南北にお出かけしやすい。台北へも台南へも新幹線に乗れば、1時間かからない。
昔私が留学していた頃はまだ新幹線がなく、台北から台中までは、長距離バスで3時間かけて行っていました。バスの3時間ってやはり長いんです。週末ともなれば渋滞にはまってさらに長くなるため、おいそれと台北台中の移動はしたくない気持ちでした。

台中の最近の人気の秘密は、新幹線ができて圧倒的に、台北へのアクセスが良くなったことが一番大きいのかもしれません。
個人的にも思い付いたらフラッと大都会台北や、美味しいものに溢れる台南に遊びに行けるのは、楽しみの幅を広げてくれて、台中永住への願望すら芽生えさせている今日この頃です。

終わりに

台中の良さはきっともっと、たくさんあるのですが、Yahooの推察の正しさを住民として裏付けてみました。

総合的に台中は、気候も立地も環境も程よく真ん中。
ぬくぬくと気持ちよく生活できるから、住んでいる人たちも、自然と気のいい人たちになる。そんな街だからこそ、わたしは台中が好きなんだと改めて認識できた1日でした。

星のやグーグァンで撮影

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