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【ライブレポート】2023/3/18 少年キッズボウイ at 下北沢MOSAiC

少年キッズボウイのライブを観に、下北沢MOSAiCで開催された『ぴかぴか発表会』へ。彼らを観るのは、2021年11月の渋谷LUSHでのライブ以来だ。

これまでベースを担当していたテツは現在活動休止中だが、新メンバーに服部(Ba)が加入し、リーダーの山岸(Gt)、アキラ(Vo)、こーしくん(Vo)、GB(Dr)、きもす(Tp/Key)、カツマタ(Gt)という大所帯の8人体制で活動している少年キッズボウイ。

フィンガー5の「学園天国」をSEにステージへ登場すると、まずはきもすのトランペットが鳴り響き、「スラムドッグ・サリー」でライブは幕を開ける。

《Hello,Guten Tag(グーテンターク),こんばんは。We are the 少年キッズボウイでーす》というアキラの挨拶(と言っても元々同曲音源にも含まれているパート)で一区切りつけると、一気にバンド全体の音を重ねて二段式ロケットのエンジンを点火。

トランペットを筆頭に煌びやかでグルーヴ感溢れる少年キッズボウイの世界が、MOSAiCを覆い尽くしていく。

こーしくんによる「ギター、山岸!」の掛け声を合図にギターソロが飛び出し、曲の終わりにはメンバー全員揃って敬礼ポーズをキメる。

名刺代わりともいえる「この子ら、次は何をしてくるんだ!?」というドキドキとワクワクをオープニングからチラ見せすると、続く2022年末にリリースしたという「ぼくらのラプソディー」では、アキラがラップスタイルでフロアの耳を引きつけ、こーしくんときもすは笑顔で踊りだしてフロアの視線を釘付けにする。

序盤で早くも「息上がっちゃった」とリミッターを振り切るパフォーマンスを見せたこーしくん。MCでは、自分たちにはシャンティガフの曲があり、これにちなんだオリジナルカクテル「シャ~アンディガフ」をバーカウンターで販売中だと告知。こーしくん自身がシャンディガフ好きとのことだが、「女の子が飲む酒だと言われるが、そんなことはない」とコメント。メンバーも「好きなものを飲みましょう!」と声をかける。

古く凝り固まった考え方や、妙な偏見など取っ払って、美味しいものは美味しい、好きなものを飲もうと話す彼らのその言葉は、少年キッズボウイの活動スタイルを表しているようにも思えた。

こーしくんが「そんな、シャンティガフの曲を」と言えば、アキラが「何て曲?」と続け、「海を見に行く」とこーしくんがタイトルを告げる。綺麗なワンツー(パス)を決めると、GBによるカウントで演奏スタート。まずは柔らかいアキラの、空気を撫でるような歌声が広がり、こーしくんの「カモンGB!」を合図にドラムスティックの4カウント、そして服部のサウスポーベースが唸り出す。

アキラとこーしくんのツインボーカルがこれでもかとその魅力を解き放ち、交互に繰り出すふたりの歌声がリズムを生み出せば、ユニゾンにシャウト、さらにはラップとまさに変幻自在。かと思えば座り込んでタンバリンを鳴らすこーしくんのパフォーマーとしての一面も披露。

演奏後に「ありがとうございます。シャンティガフ飲みたくなったでしょ?」と甘い誘惑なアキラに続いて、こーしくんの「シャンディガフの似合う、素敵な夜に、かなやまくん(きもす)のトランペットソロでございます」と、曲冒頭でトランペットソロが響き渡って、「だってTAKE it EASY」へ。

個人的に、少年キッズボウイを好きになるきっかけとなった曲なので思い入れも少々プラスされ、グッときてしまった。アキラの歌ときもすのトランペットによるメロディのバトンタッチが面白く、また山岸とカツマタ、2種類のギターが奏でる音が曲を豊かにする。一方で、随所にポージングを入れて違う意味で面白くするこーしくんのプレイにニヤついてしまう。そんなステージで繰り返される《だってTAKE it EASY》のフレーズは、まるで夢の世界へと誘う合言葉のように頭の中に溶け込んでいった。

曲が終わり、こーしくんが「聴いていただきましたのは、少年キッズボウイで『だってTAKE it EASY』でした」とラジオ風な曲紹介。小粋な演出にまたまた顔がほころんでしまう。

MCでは、最新曲「最終兵器ディスコ」について語るメンバーたち。つい先日配信リリースされ、MVも解禁となった新曲だ。過酷な撮影で筋肉痛にもなったというMV秘話を明かしつつ、注目の「最終兵器ディスコ」がスタート。もうベースラインからして最高にグルーヴィー。

サビ直前の助走パートからクライマックスへと到達するメロディが、なぜか心の奥を感傷的な方向へと刺激して、ちょっとウルウルしてしまう。フロアからの手拍子に乗せて、MOSAiC自体がディスコホールへと変貌を遂げ…てもおかしくないほどの盛り上がりを見せた。最新曲が最強曲であることを証明するような、素晴らしいパフォーマンスだ。

気づけばとうとうラストナンバー。「これが終わったら、お酒を買って、そっち(フロア)にまわるよ!」と話すこーしくん。他のメンバーが「物販やるから」と告知も添えていたが、この「そっちにまわるよ」という言葉もまた、少年キッズボウイの「誰よりも音楽を楽しむ」スタイルを表現していたように思う。前回のライブレポで書いた、「グッドプレイヤーでもありグッドオーディエンスでもあった」という一文は、1年半経った今でも変わらず成立しているようでなんだか嬉しい。

そんな彼らの最後の曲は「告別式では泣かない」。こーしくんがメインボーカルを務め、きもすがトランペットとキーボードをひとりで交互に演奏する。そしてアキラはビブラスラップを、こーしくんはカウベルを駆使する賑やかな一曲だ。「告別式」という悲しワードから最も遠い「華やかさ」があり、トランペットの高鳴りがまるで祝福でもするように降り注いでいた。

今日のライブ中、沖縄調の曲でもないのに「イーヤーサーサー」と掛け声を発したり、「タッタタラリラ」と合いの手を入れてみたりと、自由な解釈で曲を彩っていたこーしくん。彼をはじめ、メンバーそれぞれが音楽と遊ぶようにステージの上で楽しんでいて、私も最初から最後までずっと笑顔(一瞬だけ泣きそう)のまま、30分の持ち時間は本当にあっという間に終わってしまった。

粗削りな魅力を携えた、ポテンシャルたっぷりな少年キッズボウイの、ここから始まる無邪気な快進撃に期待したくなる、そんなライブだった。

セットリスト
1.スラムドッグ・サリー
2.ぼくらのラプソディー
3.海を見に行く
4.だってTAKE it EASY
5.最終兵器ディスコ
6.告別式では泣かない


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