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【ライブレポート】2020/8/30 Rhythmic Toy World 有料配信ワンマンLIVE ONEMAN

※本ライブレポはネタバレしかありません。【2020/9/2(水)23:59】まではアーカイブ配信をご利用可能なので未視聴の方はそちらをぜひ。

半年ぶりに、人前で4人がバンドの音を鳴らす。ヘッドホンを通じて、半年ぶりに「Rhythmic Toy World」の生の音が聴ける。コロナ禍においてライブ活動が制限される中、3か月連続で新曲を配信リリースしたり弾き語りのライブをしたりと、アクション自体は継続していた彼らですが、ついにRhythmic Toy Worldとしてライブハウスに帰ってきました。場所は渋谷CLUB CRAWLのフロア。


久しぶりに聴く、彼らの登場曲であるBOOM BOOM SATELLITESの「KICK IT OUT(ASOBOYA remix)」。4人は向かい合うよう円形の布陣でスタンバイ。その中心にはカメラマンがいて、メンバーの表情を捉えている。

「待たせたな!6か月ぶりだぜ」
「最高の時間にしようぜ」
「Rhythmic Toy Worldへようこそ!」

ボーカル・うっちーの挨拶を合図に1曲目「HAME」からライブスタート。この半年の間に世に出た配信曲、つまりはRhythmic Toy Worldとしてライブ初お披露目となる曲です。

音源で聴くのとはまた違う味わい、そして喜びがある。喉、手、指、足によって(画面を通じて)目の前で生み出される音に宿った生命力。配信だろうがなんだろうが、これは紛れもない、ライブだ。

4人の周囲にはRhythmic Toy Worldや渋谷CLUB CRAWL、そして内田直孝のバックドロップ、さらにはTシャツやタオル等があちこちに張り巡らされていて、それはまるで、今までの時間や仲間すべてを味方につけて一緒にライブをやっているような感覚。


曲が終わると開口一番「やばいね!気持ちいい…」とうっちー。観ているこちらも同じ気持ちです…。


2曲目に「フレフレ」。うっちー自身のギターのみで歌い始める冒頭、ギターのきっちゃん、ベースのすーさん、ドラムの磯くんは右手を高々と掲げる。ライブではお馴染みのこの光景が画面上にも広がっている。

きっちゃんのギターが鳴き、すーさんは雄たけびを上げ(なんと言ったかは聞き取れない)、磯くんは笑顔を浮かべ、うっちーが生き生きとした表情で歌う。

ああ、これぞリズミック。みんな元気そうだ。このライブに向けてどれくらいスタジオに入ったんだろう、久々に音を合わせたときはどんな感じだったんだろう。そんなことを思いながら彼らの演奏に夢中になる。

曲が終わり、間髪入れずハイハットのカウント挟んで「いろはにほへと」!きっちゃんの刻むギターが心地いいなあ。ライブハウスだとその場の空気や圧含めて全身で音楽を浴びている感覚になるけど、配信だと個々の音にフォーカスして楽しめる印象があるので、シンプルに演奏そのものを味わう面白さがあります。

曲後半でのすーさんの叫びは「配信○★※かかってこいよ!」と一部聞き取れず。これはこれで安定感あり。動き回るスペースはなくともステップ踏んで踊るすーさん、最高です。弾き語りライブもやっていたからか、半年のブランクを感じさせないうっちー。ラスト“いろはにほへとぉ~~~~~~~~~~”のノーブレス歌唱も見事でした。


3曲目は「かくれんぼ」。スケール感たっぷりのイントロギターに酔いしれる。間奏部分でのLITEばりのポストロック感あるインストパフォーマンス、めちゃくちゃ気持ちいい。いつかRhythmic Toy Worldが作るゴリゴリのインスト曲も聴いてみたい。

磯くんなめからのすーさんという構図はめちゃくちゃ新鮮。磯くんの視点に近い位置からの映像は貴重です。「フレフレ」のときだったかな、リズミックのマークであるトリちゃんを背にした磯くんを下から見上げる画なんか最高にカッコよかった。楽器隊の手元描写も多くて嬉しい。配信ならではのショット満載で一瞬も見逃せません。


曲終盤、いつものライブならみんなが手拍子するところ。部屋にひとり、誰も一緒に手拍子なんかしないけど思わずパパン!と叩いちゃいました。配信ライブだって観てるだけ、聴いてるだけじゃありません。参加します。


4曲目、ここで「ブッシャカ」!配信ライブにこの曲入れこんでくるとは完全に想定外。めちゃくちゃ踊りたい…。「あばれろーーー!」とすーさんの号令が響く。すーさんのスラップがブンブンうなる!ファルセットでコーラスするすーさん!「どこでもいいやダンスタイム踊れ!!」と叫ぶすーさん!暴れるすーさんに合わせてカメラも躍動する!すーさんの見せ場たっぷり、大興奮でした。


「ブッシャカ」が終わって、ここでいったんMCタイムかな…と思ったら突然インタビュー映像が挟み込まれました。なるほどこれはひとつの手法ですね。休憩や転換、セットチェンジ等々の間を視聴者に与えず楽しんでもらえる構成。


インタビューの内容は配信ライブや自粛期間の出来事、曲作りについて。画面を越えて、遠く離れた人にどう届けるのか。配信だからこそできる演出や空気感をどう伝えるのか。セットリストをどうするのか。そんな配信に関するお話。

さらにはブランクがあったために演奏時のいつものフレーズがパッと出てこなくて、今のは誰のパートだ!?と混乱したというエピソードも飛び出します。今はやっとみんな思い出して、でもそれが昔に戻ったようで楽しかったと話すきっちゃん。

ライブがなくなって、変わり始めていた創作意欲に拍車がかかったといううっちー。曲作りにおいて、今までは各フレーズを皆で出し合ってきたけれど今回の3曲はうっちーが出してきて、そこから各メンバーにパスしたんだそうです。土台をうっちーひとりで作ったため、個々のフレーズ難易度が上がっていたとすーさんは話します。

「CTOC」はうっちー案ということで今まででいちばん難しくて、いいきっかけになる一曲かもしれないとは磯くん談。一方きっちゃんはギターロックの原点に戻ったと話します。

また、曲作りの中心となるうっちーはこう語ります。今までは不特定多数の多くに響くように作っていたが、今回は今現在自分達を応援してくれる、愛してくれる人にまず元気になってくれと思って書いたんだと。

そんな新曲たちを引っ提げて、また今までのようにライブができる日がきたら。みんなでツアーがしたい。全国を回りたい。コールアンドレスポンスがやりたい…。

これからの希望を語ったところで映像が終わり、画面は再びリアルタイムで彼ら4人を映し出します。


バンド編成からアコースティック編成にかたちを変えて、演奏されたのは「パドル」。うっちーときっちゃんのふたり体制です。体育座りでおとなしく歌に聴き入っているすーさん。めちゃくちゃ笑顔を浮かべながら聴いている磯くん。先ほどまでの激しい演奏から一転、心に染み入る音。美しい歌声が一層際立つパフォーマンスです。


史上初となる「パドル」の演奏ということらしいですが、原曲でもふたりだけなので演奏するならぜったいふたりでやろう、と思っていたんだそう。

また、アコースティックへの切り替え時、ばたばたしている様を見せなくて済むということで今回、ああいったインタビュー映像を入れ込む試みをしたんだという説明もありました。

映像の話が出たところで、ここで改めて今日のライブ映像について言及します。カメラワークや映像の美しさを称賛するメンバーたち。今回の撮影チームとの出会いは、渋谷WWWXでのうっちーの弾き語りライブなんだそうです。その映像の美しさに惚れてオファーしたとのこと。チーム名はTOKYO COLORS TEC。こういった配信ライブで裏方ともいえる撮影チームについて触れてくれるのは観ている側としても嬉しいし、そういうところがRhythmic Toy Worldらしい、内田直孝らしいなあと思います。


ライブは引き続きアコースティック編成で、すーさんはベース、磯くんはカホンで参加して「あなたに出会えて」を披露。目をつぶって酔いしれるように弾くすーさんの姿が印象的です。そして二の腕の筋肉美が映える磯くんも…。アコースティックだとひとつひとつの音も優しく聴こえてきます。

8曲目からは再びバンド編成でのパフォーマンス。

「やっぱりライブハウスっていいね!」
「やっぱこの音だよな!」
「体の隅々までずっしりしみ込んでくるこの音でしょう!」

「まだまだ道のりは長いかもしれないけど」
「みんなより一足先に帰ってきちゃいました!」
「俺たちの宝物」
「そうここが」
「ライブハウス」

このメッセージの後に演奏する曲はひとつしかありません。

ハンドマイクをスタンバイしたうっちーが歌うは「ライブハウス」!この歌にはちょっと泣かされましたね…。

カメラの向こうの視聴者にレスポンスを求めたり腰をセクシーに振りながら歌ったりと、うっちーがめちゃめちゃ楽しそう。カメラ目線で笑顔振りまきながらコーラスする磯くんのショットも。

ハンディのカメラに映し出されるのは基本、ひとりずつ。それでも映像としてしっかりバンドの一体感が生まれているのは、もちろんバンドが持つグルーヴ(音だけでなく空気的なもの)もあるけど、カメラワークによる力もあるに違いない。うっちーを捉えるカメラの動きにはある種のテクニックのようなものも感じましたが、それがまた躍動感、ライブ感を演出していました。

それにしても、磯くんの表情をアップで楽しめるのは配信ライブのいいところですね。ライブハウスだとフロアから一番遠いですから、磯くん。

再びギターを持ったうっちーは、こう告げます。
「みんなとまたライブハウスで一緒に歌う」
「大きい声出して拳上げて満面の笑みで」
「俺たちに向かって」
「楽しい、幸せだよって見せ合いっこをする」
「そんな日を思ってこの曲を作りました」
「画面越し、関係ない、一緒に歌おうぜ」

そして始まった「CTOC」。イントロのギターリフがめちゃくちゃカッコいい。これは音源で何度も聴いてテンション上げていたので、生演奏で味わえて最高の気分。

“ドレミファソラシドの中には”
“キミの知らない世界があるから”
“連れてってあげるよ”

こんな歌詞とメロディ作れるうっちーはやっぱりすげえ。いつか絶対ライブハウスで、全身で浴びたい一曲です。


「いくぞいくぞいくぞいくぞいくぞフルスロットルでいくぞ!!」とうっちーの絶叫から「僕の声」。もはや満を持しての登場感がある王道曲。Rhythmic Toy Worldの名刺代わりとなる曲として堂々たる存在感です。カメラワークも印象的で、ピックで弾くうっちーの右手→弦を押さえるネック側の左手→正面の表情を捉え→右へスライドとテンポよく移動する一連の流れに痺れました。

通常のライブであれば照明や音響と組み合わさってパフォーマンスが仕上がるわけですが、配信となった場合、そこにカメラワークが加わるんですよね。当たり前ですが、今回の美しくも迫力ある映像を観て改めてその重要さを感じました。


Rhythmic Toy World初の配信ワンマンライブ、最後を飾るのは「VITE」。メンバーの顔に浮かぶ汗がこのライブの熱量を伝えてくれる。彼らは配信コンテンツを提供してくれているんじゃなく、本物のライブをぶちかましているんだな。気合いたっぷりな歌声、気持ちのいいギターリフ、曲を土台で支えるリズム隊と彼らの笑顔。どれもこれも素晴らしかった。

演奏を終えると余韻を与えないタイミングで画面が切替わり、アーカイブの案内が表示されました。アンコールはありません、という明確なメッセージにも取れますが、これはこれでアリですね。


他のバンドがすでにいろいろと配信を実施する中で、リズミックとしては初の配信ライブということでどんなパフォーマンス、そしてどんな演出があるんだろうと期待していましたが、Rhythmic Toy Worldのカッコよさや楽しさが詰まったライブだったと思います。

画面を通していてもちゃんと伝わりました。メンバーが皆、楽しそうだったし、元気にパフォーマンスする姿を観ることができて、それが何より嬉しかったなあ。

当分はコロナ以前のような活動も難しい状況が続くでしょうが、これからもリズミックらしい「何か」を届けてくれることを楽しみにしたいと思います。


セットリスト
01.HAME
02.フレフレ
03.いろはにほへと
04.かくれんぼ
05.ブッシャカ
06.パドル
07.あなたに出会えて
08.ライブハウス
09.CTOC
10.僕の声
11.VITE

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