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【ライブレポート】2020/8/24 アルコサイト pre. 「追風祈願 vol.4 -360°フロアライブ-」

アルコサイトが大阪のライブハウス・LIP2ndにて開催した無観客360°ライブを観ました。なかなか不思議な体験だったので、備忘録を兼ねてメモを残したいと思います。


この360°ライブというのは、VRのようなものをイメージしていただくとわかりやすいかと思います。360°を捉えるカメラを囲むようにメンバー4人がスタンバイ。そのカメラを通じて視聴者はアルコサイトの演奏を楽しむことができます。スマホの向きを変えれば、映る場所も変わる。

今、画面の中心に英雄くんがいたとして、スマホを右に向ければはまくんが映る。さらに右へと振ればドラムの森田くん。もうちょい右へ移動するとギターの隆明くん。そして最後に再び英雄くんまで戻ってくる。

ちなみに、スマホ画面を指でスワイプすることでも映し出される景色が変わります。また、PC画面でもマウスのポインタを操ることで誰を観るかコントロール可能。映像自体はかなり粗くなっていますが、今日は映像美よりも360°楽しめるシステムを体験してもらうことを優先した、ということでしょう。

スイッチャー、とまではいかずとも、今この画が観たいと思ったら自らの手で切り替えられる、というのはなかなか楽しいかもしれません。

ライブは「蒼く染まる」でスタート。ついついこの360°配信に気を取られてしまいましたが、アルコサイトのライブを味わうのがかなり久しぶりだったことを、一音目を聴いて思い出しました。

英雄くんのまっすぐでエネルギッシュな声も久々。システム自体はユニークでも、バンドとして演奏することに関してはとてもシンプル。変化球なんかいらねえとばかりに150キロ超のインハイストレートをバシバシ投げ込んでくるピッチャーのよう。


お、今リフかっこいいな、と思えば隆明くんに照準を合わせ、ドラムの音目立ってるな!と感じたら森田くんへカメラをパン!という具合にスマホをいじって各メンバーの演奏をチェックするのも楽しい。

2曲目「朝焼けに」でもあちこちカメラを動かして、英雄くんだけでなくメンバー4人全員を堪能。左右、というか前後に大きく足を開いて低空ベース演奏をする、はまくんの姿もしっかりキャッチ。そうそう、CRAWLのステージ下手でよくこのスタイルのはまくんを観たっけな…などと懐かしい気持にもなりました。

「毎日毎日おつかれさん!」
「俺たちが愛してあげるよ!」

英雄くんのこんなメッセージから「愛してあげるよ」を披露。ギターソロが始まるとやっぱり隆明くんをチェックしてしまう…しかしギターソロの瞬間ふらりと移動する英雄くんがどこに行くのか、何をするのかも気になって彼を追いかけてしまった。

「お次はスマホをドラムに向けて!」という英雄くんの合図で森田くんのドラムソロ炸裂。ふだんなかなか視界良好とはいかないドラムの演奏をじっくり観られるのは嬉しいですね。

ここで、今回の企画について簡単な説明がありました。このLIP2ndというライブハウスは、なにかあったらすぐアルコサイトのメンバーで集まるような、馴染みの場所なんだそう。ライブだけでなくミーティングでも利用しているんだとか。

今回、無料配信ライブをやりたいと話したらレンタルじゃなくていい、協力すると言ってくれたんだそうです。ライブハウスも苦境というなかで胸が熱くなるような対応。そこで、
サイン入りスタッフパスを500円で販売し、その収益をLIP2ndに…という試みを実施。これは配信翌日まで購入可能だったようです。恩には恩で返すという関係性がまた熱い。


「直接歌いに行けないのは残念だけど」
「メンバーとこうして考えている」

「普通の配信ライブを超えられるように」
「ロックをその画面突き破って歌えるように」
「俺らやってるんで」

そんな言葉を合図にライブは後半戦へ。「鳴り響け」「東京」といった『逆風に帆をあげろ』収録曲を演奏します。

はまくんと隆明くんの足元にはエフェクターが設置されているんですが、どのタイミングでスイッチのオン/オフをしているのか気になって、一度ライブを観終わったあとのアーカイブ2周目ではエフェクターにカメラを合わせて凝視してみました。これ、ずっとやってみたかったのでテンション上がりましたね。

「夜を越えて」での隆明くんのギターもかなり好物で、そういう自分のアンテナに引っかかる瞬間、すぐにカメラを向けられるのが便利だし楽しいです。


ここで、一つの告知がありました。10/4に無観客での配信ワンマンライブを開催するとのこと。


今日360°の無料配信ライブをやったのも、10/4の配信ライブを観てもらうために何かできないか、というところが出発点だったようです。


「10/4の配信ワンマンに向けての前哨戦」
「この日につながるような曲を最後にやります」

そう言い切ると締めくくりとして「インディーズバンドとして」を演奏。

「ロックが好きで好きで仕方ねえ!」

「お前を思って今日も歌ってる」
「忘れはしない」
「忘れたことなんて一度もないぜ」

「俺らのロックは希望だ!」
「コンプレックスもエイトビートに乗せれば」
「それは才能だ!」


歌の途中で挟み込まれる、感情たっぷり込めた英雄くんの心の叫びが画面を越えてこちらに届く。アルコサイトは、そのメッセージはもちろんのことパフォーマンスそのものから情熱があふれている、そんなバンドです。


泥臭くも愚直に進んでいく、そんなイメージのバンドが創意工夫たっぷりな企画を用意してくれた今日の360°配信ライブ。ライブは直球でも配信は変化球を駆使してきた、という感じで、とても刺激的な体験をすることができました。没入感たっぷりにライブを楽しむ行為とはまた違う面白さがありましたね。


普段のライブではフロントの3人に目が行きがちだし、そもそもドラムは後ろに控えていて手元も足元もよく見えない。でも今日のような企画であればドラマーの一挙手一投足をガッツリと観察できます。すでに書いた通り、ギタリストやベーシストの足元にあるエフェクターもチェックできるので、音色が切り替わるタイミングでの足さばきなんかも味わえる、とても贅沢な配信でした。


10/4の配信ライブは、今日とはまた違って側(ガワ)も中身もド直球な内容になる予感…。こっちのアルコサイトも楽しみです!


セットリスト
01.蒼く染まる
02.朝焼けに
03.愛してあげるよ
04.鳴り響け
05.東京
06.夜を越えて
07.インディーズバンドとして


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