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教壇に立ったその日から㉚ マルチな専門家とカリキュラム【note限定記事】

珍しく日中帯に活動しています。いつも夜型なので、時間を有効に利用できていいなあと思いました。これから早起き、がんばろうっと。どうも星野です。
今回のテーマは「マルチな専門家とカリキュラムマネジメント」、というなんだかよくわからない話なのですが、お付き合い頂ければと。
1日1本プロジェクト進行中。いいなと思って頂けたらサポートをお願い致します。minneの商品を買ってくださっても……いいんですよ……?

事の発端は深夜にTwitterで話が及んだ「教科の専門性」を、自分なりに考えてみたらどうなるかなあということでした。


問題の所在


まず現在は教育学部とその他の学部で、教員になるための授業に若干違いがある(もちろん内容は全く異なりますが、履修する科目に違いがあるという意味です)ので、教育学部出身の先生とその他の専門の学部出身の先生との間で多少の軋轢が生じているのです。教育学部の先生はどちらかというと「マルチに何でも」タイプ、専門の学部の先生は「専門知の一点突破」タイプだと考えています。いちばんいいのは生徒やそのクラスの目標・特質に合わせて何でもできる、いわばハイブリッドタイプなのだろうと思うのですが、なかなか全員の先生がそこまでいくのは難しい。そこで私は「どうやったら自分の指導の仕方をハイブリッドに出来るか」を考えることにしました。

教科の専門性、私にとってそれは日本語教育であり文学(近現代の批評)であり読書教育であり、それを総合して「国語」という名の一般教養を教えているのですが、垣内さんのご発言の通り「教師の解釈を通した瞬間『一般教養』は変質する」のです。教師も生徒も生きていて、どんなことが授業で起こるか分かりません。同じ授業はふたつと無いのですから、当然ですね。垣内さんの教える「一般教養」と私の教える「一般教養」は全く別のモノです。


生徒にも高校の段階で高い専門性を求めるのか、と問われると、私は違うと答えます。どうするかは生徒自身に決めてもらいたいからです。生徒が自分で身につけたものを使って生きていくところに、専門家になってほしいとか教養を持ってほしいとか、そういうのは特にこだわりはありません。強いて言えば教養は身につけてほしいかな、程度。そのため私の教え方はかなり「変な教科横断」をしています。国語の授業なのに哲学を扱ったり数学や理科の話をしたり……かなりマルチな教え方をしています。「教養を身につけてもらいたい主義」だったわけです。しかしそれだけでは持つ武器が少ないと感じましたし、何より自分の専門性を活かしきれていない。何か一つ特化したものを作りたい。そう考えたため、「マルチな教え方もできる専門性を身につけた存在」になろうと決意したのです。


問題を解決する(私の場合)

さてそのためにどうするか、というところに進むわけですが、ひとまず指導書・先行研究を読みこんで、自分の知識技能を高めることが先決だと思いました。各先生方のTwitterのハッシュタグ「新大学生に勧める10冊」を見ながら、今後3か月にわたり書籍を調べ尽くす予定です。知識技能がついたら、実践に移ります。考えているのは、最初のうちは生徒に教養を身につけさせる今まで通りのスタイル(私の解釈を伝え、こんな知識と結びつくんだよと教えるスタイル)で教えていきますが、途中から批評の理論体系・先行研究を提示して「それに基づいてどんな解釈をしたのかリフレーミングさせる」授業をしたいと考えています。具体的には、先に「山月記」を扱って私なりの解釈の仕方を手本として見せる、そして最後の単元を「山椒魚」にして、教わったものを応用しながら先行研究との関係・位置づけや解釈をリフレクションシートにポートフォリオ的にまとめていく……というもの。根幹である「批評と解釈」というテーマは変えずに、指導法を変える予定です。リフレクションも予定通り「自分の問いをとことん探究する」タイプの学習にするつもりです。

最初に立ち返る

そもそもどうして「専門家」と「マルチなひと」が必要なのかというと、こちらは八神さんのご指摘にあるとおり「高校生の半分は大学進学しない」ことにあります。



大学進学しない生徒に(一般的でなかったとしても)ある程度の専門教育、ひいては教養を教えなくていいのか、という問題があるわけです。
どちらかがどちらかを敵視したり、「自分はできるから相手もできるだろう」と考えたりすることなく、うまく棲み分けをしたうえで両方の人材を活かしたカリキュラム・マネジメントが求められるのでは、というお話です。生徒が数学はいらない、意味が分からないと思っていても触れさせることに価値があるのだろうし、将来文学部に進学しても必ず国語の教師や出版社の編集になるわけではありません。だから多様な知識・教養は身につけておくべき……なのですが、教科の特質を考えたときになんでもかんでも教科横断するのではなく、たまに「こうやってつながるんだよ」と示しながら専門的な話をしていくのがベストなのではないかと思うのです。

なんだかまとまりのない話になってしまいましたが、現状私が思う(そして私のできる)ベストはこれかな、と思っています。

今回の話はここまでです、それでは、また。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。