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教壇に立ち続ける ② アニマシオンについて【note限定記事】

これから1週間、怒涛の日々が始まります(ゲームのイベントの関係で)。仕事は相変わらず閑古鳥。どうも星野です。
今日のお題は私の卒業論文になった「アニマシオン」について語ろうかと思っています。
というのも、その実践を古典でやるつもりでして。ご興味があればM・M・サルトの「読書へのアニマシオン」という本を読んでみてください。
1日1本プロジェクト進行中。いいなと思って頂けたらサポートをお願いします。minneは同期済み、Fantiaはこちら。

アニマシオンとは

そもそもアニマシオンとは何か、というと、「読書教育の一環として、遊びを通して読解力を高める活動」のことを指します。スペインで始まり様々な国と地域で実践されている教育理論です。様々な遊びの要素がありまして、「音読のうまさを競争する」だとか「まねっこ遊びをする」だとか、幼稚園や小学校低学年向きの活動から、「詞や俳句を読んで自分はここが面白いと思ったとクラスメイトに話す」といった中学生・高校生向けの活動もあります。キーポイントは「遊びを通して育てる」こと。苦手だったり嫌悪感を持たれていたりする読書活動を、楽しく学ぶためのメソッドです。ただし読書を好きになるかどうかとは関係なく、「読み取る力を高める」ことに主眼を置いた活動であることには留意しておきたいところです。最近では公立図書館・学校図書館でも実施しているところがあります。もともとは図書館司書の開発した子ども向け活動で、それを学校教育に応用しようというのが私の主な研究でした。

私がアニマシオンに出会ったのは大学の卒業論文を書いていた時の事でした。正直勉強も読書も嫌い、というフィリピン人とのダブルの児童に、なんとかことばを教えようと模索していたら、指導教授が「これなんかどう?」とオススメしてくれたのです。一通り読んでみて、これならもしかしたらやってくれるかも……とわずかな望みをかけて挑戦したのが始まりです。その当時は指導力が今よりも低かったので、当然うまくはいきませんでしたが、回を重ねるごとに当該児童から「もっとやりたい!」というひとことを引き出せました。私にとっては、初等教育・言語教育における最初の成功体験と言えるかもしれません。アニマシオンの活動は、最初のレベル調整こそ必要なものの、その児童生徒の能力に関係なく実施することができます。どんな能力を持った児童生徒であっても、読解力が少しずつ伸びるのです。回数を重ねたり学びの場の調整などはファシリテーターである教師(あるいは図書館司書)の裁量で行わなければなりませんが、児童生徒のタイプに合わせた「作戦」(アニマシオンの活動の事です)があるので、それを組み合わせていけば最終的にはどんな文章でも読みこなせる程度の読解力がつくと言われています。

実際の活動

私が今回取り入れようと思っているアニマシオン活動は、私の年間テーマである「批評」に寄せたものとして「批評するうえで大事だと思うところを指摘する」活動を予定しています。
具体的には、現代文なら小説の中で重要な一文を抜き出し、なぜ重要だと思うのかを記述させたり、似たような指摘をした生徒同士・真逆の指摘をした生徒同士で話し合いをさせたりしようかと思っています。定時制の新3年生はクラスの仲も良く、和気あいあいとお話する明るいクラスなので、たぶん話し合いもスムーズにいくと思っています。最終的に同じ批評理論を使用した生徒でグルーピングして、みんなで一つの研究論文みたいなものを作ってもらおうかと。どんな視点で、どんなことを考え、何を伝えたいのか聞いてみたいなという思いがあります。古典なら和歌の鑑賞・作品鑑賞の段階で感想を自由にマッピングするのもよいのかな、と構想しています。古典の授業時間数のほうが多いので、どうアプローチするかはこれから考えますが、昨年度実施した百人一首リライト活動のようなものもできたらなと思っています。全日は雰囲気がどうかまだわかっていないのですが、挑戦してみたいです。

私の理想は、生徒が主役になって進める授業です。だから生徒が自分で「知りたい」と思ったことにアクセスするための技術を授け、思考を助け、達成感を得てほしいと考えています。昨年度は私の一方的な押し付けになってしまったという印象があるので、それを変えていくためにも(そして昨今取り沙汰されている「主体的評価」に関連することとしても)今年度は生徒と双方向型の授業になるようにアニマシオンの活動をもっと取り入れる予定です。
本来楽しい活動なのがアニマシオンなので、その楽しさを失わずに、学びに繋げていくためにこれから準備します。まだ教科書を貰っていないという……。

アニマシオン、気になった方は是非実践してみてください。それでは、また。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。