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教壇に立ち続ける 番外編 入試問題で授業づくり【note限定記事】

ねこのぬいぐるみ・アランチャくんのおようふくを新調しました。どうも星野です。ゴールデンウィークにシャンプーしてあげなくては。今日のお題は「入試問題で授業案をつくる」です。教材は中野孝次「ブリューゲルへの旅」。2013年の京都大学の問題になったものです。明日スライドを作って公開しますので、よろしければそちらもご覧ください。教材研究の成果と、スライドにしたときの特徴などをおはなしできればと思います。1日1本プロジェクト進行中。いいなと思って頂けたらサポートをお願いします。minneとFantiaはこちら。即日発送可。在庫はまだまだ有り余っています。

この「ブリューゲルへの旅」という随筆では、戦時下の現実から目を背ける筆者と、現実を独自の視点で再創造するブリューゲルの対比、そして現実世界と「第二の世界」――すなわち言語や精神といった、形而上のものが自律的に存在する世界――との対比の構造、そして「生の全肯定」をするブリューゲルの絵画、の二点に重きを置いた作品です。最初何の話をしているのかちょっとよくわからなかったのですが、絵画の鑑賞のあたりからすっと入り込めるようになりました。たぶん私が美術館巡りを趣味としているからでしょう。しかし生徒はそうもいかないと思うので、この絵画に関する話題をどう理解させていくかがポイントだと思います。芸術論とみせかけて自分の思考の甘さを後悔している話、と私だったら要約するかな、と。難解な語句もあちこちに出てくるので、まず授業を受ける前に、語句の意味調べをしておく必要がありそうです。

私が考えた授業の展開はこちら。例によって手書きのノートです。

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目標は、この作品を読んで「対比の構造」そして「キーワード」をどう自分なりに解釈するか……です。そのために設定した生徒向けのめあて(これをテーマにやっていくよ、と伝える文言)は「ブリューゲルの『生』を学ぶ」としました。本文の内容を理解したうえで、自分の中で言葉を探し、再構築していくことを目指します。私の勤務校の生徒を対象に考えていて、毎回リフレクションを書くことと、自分で課題を見つけてそれを解決するために今まで習ってきた「批評」という思考の武器を使う、としています。

流れは①通読→自分の中の課題探し、②解説を聞きながら課題にアプローチ、③最終的に発問された内容と自分の課題を結びつけて考える、の三段構成です。
①ではとりあえず読む、読み通して自分の中の「引っかかり」を探すことが主な活動です。生徒によってはアルバイトをしていて「自然と関わっているわけではないけれど、自分もきつい仕事をしていて何か達成感を得たことがあるなあ」と共感したり、読書が好きな子だったら「どうして『第二の世界』は存在しないと考えてしまうのだろう、私はあると思うのに」と反発したり、いろいろだと思います。その多種多様な感想から、この文章を読んで解決したい「課題」を探します。「課題」とは本文の内容に沿っていれば基本的に何でもありなので、身近なテーマを設定しても、抽象的なテーマを設定してもよいです。自分がこの単元で何を考えるか、何を解決したいか、をリフレクションシートに書いてもらいます。
②では実際に入試問題の内容について発問をしながら読みを深めます。深めながら自分の立てた「課題」を解決するための役に立ちそうな情報をノートにメモしていきます。メモしつつ、板書の内容も考慮に入れながら毎回リフレクションで解決への糸口を探っていく時間となるのがこのパートです。
③では最後に「ブリューゲル的『現実』観」(すなわち、「生の全肯定」です)に対して140字程度で批評を書きます。批評の仕方は、授業の中で紹介したものや、今まで授業で習ってきた文学批評の手法を用いて行います。この随筆全体の内容について自分の意見はどうなのか、もう一度考えてみる時間です。そして最終的に課題は解決できたのかをリフレクションで確認することとします。


今回はスライド形式で授業を行うので、生徒一人ひとりとやりとりするのはGoogle Classroomなどのアンケート機能を使ったものになるのかなと想定しています。毎回授業の感想やわかりにくかったところなどのフィードバックをもらいながら、私も指導をブラッシュアップしていけたらいいなと思っています。実際に指導するときはどんな感じになるのか、明日のスライドがどうなるかも含めて楽しみです。頑張って作ろう。それでは、また。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。