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軽い読書生活 『鵼の碑』など

※2023年秋頃の読書記録です。
※十冊前後まとめて書いてます、一冊につき長くても三百字程度。
※気軽にお読みください。この記事を読んでくれたあなたが、面白い本と出逢えますように。
※他の記事はこちらにまとめています。


★京極夏彦『鵼の碑』2023年、講談社
ついに出ましたね、百鬼夜行シリーズの十七年ぶりの新作長編。
百鬼夜行シリーズを読み始めたのが大学生の頃だった私は、きっちり十七年待っていないが、続きを読むのがとても待ち遠しかった。
新宿の紀伊国屋書店で買ったけど、紀伊國屋書店、京極夏彦祭りだった。講談社から新刊情報が発表されたときもだいぶ祭りだったね。買ってから読み進めている間も脳内はお祭りで、読むのが楽しく、そして終わるのがもったいない、至福の時間でした。

☆松岡正剛『源氏と漱石』2023年、KADOKAWA
2024年の大河ドラマは紫式部。千年以上、その作品が残っている人。千年。しかも、ただ『こういう作品がありましたよー』みたいに漠然と残るんじゃなくて、現代語訳だってたくさん出てるんだもんなぁ。
大河ドラマを見るかはわからないが、とりあえず現代語訳された源氏を読みたい、今日この頃(角田さん訳の源氏物語を購入しました、読むのが楽しみ)。

★松岡正剛『見立て日本』2022年、KADOKAWA 写真:太田真三
日本の強度が伝わるような、写真と文。私は生まれてからずっと、日本に住んでおり、海外を知らず、そしてあまり海外に行ってみたいという気持ちがない。
そもそも、私は日本を知らない。日本の奥底に眠っているもの、失くなってしまったもの、失くなりかけているもの、あまりにも知らなすぎる。いつか知ることができるんだろうか。

☆顎木あくみ『わたしの幸せな結婚 7』2023年、KADOKAWA
アニメ化もされていますね!! 数年前、本屋に行ったら『和製シンデレラストーリー』というポップとともに本屋で売り出されており、仕事に疲れ切っていた私は「へー、表紙の絵綺麗!」と思い、1巻を買った。数日後には2巻から5巻をまとめ買いした。マンガもあるけど、原作も文体が軽やかで読みやすいよ。7巻は清霞さんがちょっとポンコツで可愛いよ。


京極夏彦で思い出したが、文学をテーマにしたネイルポリッシュがある。ブランド名を出すとなんだかPRっぽいので出しませんが、『羽根ペン』のポリッシュです……京極夏彦の百鬼夜行シリーズテーマのポリが今年の夏頃、発売されましたね。

このメーカーは、京極夏彦の他にも太宰治やシェイクスピアや宮沢賢治をテーマにしたポリッシュを発売している。
『銀河鉄道の夜』の、夜の空そのものの深い藍色にラメのポリも良いですが、『よだかの星』のギラギラオレンジも好き。燃えたつ太陽のような炎のような星のような色。


★住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』2021年、新潮社
青春、みたいな小説が読みたくなって……それぞれ違った形で、他人の心が見える、5人の高校生のお話。心が見える、と言っても、心の全部が見えるわけじゃないので、たくさんすれ違ったり、悩んだりする。「高校生だとそうだよねぇ」という可愛らしさもあり、「あー、わかるわかる」とちょっと読み手の心が痛くもなる、みずみずしいお話でした。

☆紅玉いづき『今宵、嘘つきたちは光の幕をあげる』2023年、ポプラ社
『ミミズクと夜の王』を割と最近読み、紅玉いづきさんを好きになった。新刊をたまたま本屋で見つけたので購入。文学者の舞台名(サン=テグジュペリやアンデルセンなど)を持つ、少女サーカスの団員たちの物語。
特別な力を持たないけれど(あるいは持っていたとしても、現実に当たり前にいそうな)、強い少女たちを書く人。今回の登場人物だったら断然アンデルセン(花庭つぼみ)が好きですね。

★赤江瀑『金環食の影飾り』2018年、小学館
現実と新作歌舞伎が融合した耽美なミステリー。歌舞伎を見たことがなくても問題なし。でも、無性に歌舞伎が見たくなる。主人公が女性なのですが、彼女の元カレの態度や振る舞いが、すごく現実的……主人公の心が一瞬元カレに傾きかけ、そしてすっと冷める描写が、物語の主題ではないが好き。
『その手は、美しく、精悍だった。その手が美しく、精悍であるだけに、曙子の心は冷え上がった。』

☆A・ブラックウッド 他『迷いの谷 平井呈一怪談翻訳集成』2023年、東京創元社
ホラーっぽいのが読みたかったんですねー、平井呈一さんの翻訳は『吸血鬼カーミラ』『オトラント城綺譚』で読んだことがあるので、これは読みたいな! と。怖いというより興味深いというか、そんな感じで読んだなー。
某通販サイトのレビューで、「創元推理文庫は文字が小さい、年配の人間しかこういうものは読まないんだから……」みたいなものを見かけた。決めつけないで欲しい。

☆倉田タカシ『あなたは月面に倒れている』2023年、東京創元社
偶然、創元社が続く。こういうものが生まれるならTwitterも素敵ですよね(最近のTwitterというかXについては、私はあまり好みではないです)。そこはかとなく泉鏡花を感じる、幻想小説とSFはとても近しい。


ポリッシュの話の続き。
同じ物語でもどの場面をモチーフにするかで全く別の色合いのポリッシュが出来上がるんじゃないかな、とふと思った。

例えば、『銀河鉄道の夜』だとさそり座の場面が私は好きだが、あれをモチーフにしたら、ラメ入りの、深紅のポリッシュが出来上がりそう。『よだかの星』で、よだかがひとりで飛んでいく場面なら、すりガラスのようにマットな黒いポリッシュが出来上がるのかも。

妄想しているだけでとても楽しい。妄想しながら爪の色を塗り変えると更に楽しいが、換気はちゃんとしましょう。


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