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平凡というのはそう簡単なものではないのかもしれない。


こんにちは

「たいふう」と聞くと
「台風」ではなく「typhoon」を思い浮かべます

中学生の頃
英語の先生が「台風」を
「typhoon」と発音したのを
フッと笑った記憶があります

2つの国の言葉が
同じ様な発音をするのは何だか面白く
外国人が覚えたての日本語を披露する様な
どこか可愛らしく
微笑ましい雰囲気があるなと思いました

でも実際は
「typhoon」を音訳して
「台風」という言葉ができたらしい

なんで
「タイフウ」にしなかったのか
不思議ですね


今回ご紹介するのは
ソン・ウォンピョンさんの「アーモンド」です

時間を持て余している私は
本屋を2、3軒はしごすることがあるのですが

どのお店でも
カラフルな紹介文と
無表情の男の子に出迎えられるのです

三軒目で
「わかったよ」と手に取り
レジに向かいました


タイトル : アーモンド
著者 : ソン・ウォンピョン(訳:矢島 暁子)
出版社 : 祥伝社
価格 : 定価1600円 (+税)
ページ数 : 267ページ

脳の中にある
扁桃体(アーモンド)が人よりも小さく
感情というものがわからない
ユンジェが主人公

そして彼は「怪物」と呼ばれた

ユンジェは人とは違い
理解してもらえることも少なかった

そんな彼を支えた彼の母と祖母が
彼の目の前で通り魔に襲われる

彼の誕生日のことだった

祖母は死に
母は植物状態になったが彼は何も感じない
感じられない

そして
1人で生活する中でゴ二という少年に出会う

彼はユンジェとは違い
溢れ出る感情をコントロールできない子供だった

感情のない「怪物」と
感情を制御できない「怪物」

2人の「怪物」の
「人」への成長物語です


「愛を求めて家を出たのに、不幸を背負って戻りたくはなかった。」(42ページ)

「人の言葉や行動に対して、必ずしも決まった対応をする必要はないのではないか。みんな違うのだから、僕のように“普通とは言えない反応”も、誰かにとっては正解になるかもしれない。」(74ページ)

「平凡というのはそう簡単なものではないのかもしれない」(90ページ)

(ゴニの代わりにユンジェに謝っているゴニの父親に対して)
「彼にも口があります、おじさん」(118ページ)

「人は、生きていくようにできているんだから」(135ページ)

「心じゃなくて、頭ですよね?何でも、頭の指示に従ってるだけなんですよね」
「それはそうだけど、私たちは心って言うんだ」(198ページ〜)


最初に
この話の結末が
悲劇なのか喜劇なのかわからない

という記述があって

私は
その意味について考えながら読みました

私にとって
悲しいとか
嬉しいとか
悔しいなんていう感情は
考えるものではなくて感じるもの

それが
何なのかなんて考えたこともなかった

わからないからこそ考える

普段何となく思う気持ちに
焦点を当てられて

何だか恥ずかしかった

人には(自分にすら)見えないものを
見てみようなんて
ワクワクとドキドキが止まらない

はっきりしてほしいような
してほしくないようなそんな気持ち

その正体はなんなのか

結局
私は今でもわからない

でも
なんとなくだけど
悔しいとか悲しいなんていう
マイナスな感情とも
少しだけうまくやっていけそうな気がします

この本を読んで
それらも自分を作ってくれてる
尊いものだと感じたから

だから
この本は喜劇であって欲しいと思う

感情を知れば
悲しんだり
憎んだり
辛いことがいっぱいある

それは
もしかしたら悲劇なのかもしれない

でも
それさえも愛することができれば
尊いと感じることができるなら

喜劇にすることもできるんじゃないかと

そんなことを
教えてもらった気がします



あなたは
悲劇と喜劇
どっちだと思いますか?

その答えを
自分で見つけることができれば
自分の気持ちとの付き合い方が
少しだけ
うまくなるかもしれません


最後まで読んでくれてありがとうございます

ばいばい。

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