一花粉症患者である一生徒の言い訳

花粉症つらい!!!!!!


うんそんなことくらいは、流石に花粉症なんて無縁でも知っていると思う。花粉症はつらい。
今更羅列するまでもない。


ただ、ただだ。

もし、花粉症が酷いからといって、箱ティッシュとデカいレジ袋を机に下げて、先生が喋っていてもお構い無しに鼻をかみまくるとか、くしゃみしまくっているなら理解出来る。


でも、いくら花粉症が酷いからといって、授業中に飴を食いまくり水筒のお茶をがぶ飲みしている奴がいたら、ちょっと不思議だろう。どちらかというとコロナ対策かな?と言う感じである。


私は、今年はそういう生徒であった。
いや、別に誰から咎められてるわけでもないし、不審な目で見られてるわけでもな…いや仮にそうでも多分私の被害妄想だし、いいんだが、きっと私が花粉症と無縁なら、「なんでそんなことしてんの?」と間違いなく思う。これを読んでくれている貴方も、もし花粉症でも、それな~!!なるよね!花粉症シーズン、飴爆食い野郎に!とはなっていないんじゃなかろうか。


あまりにも唐突だが、今年の花粉シーズンに私が見せた不可解(?)な行動について、言い訳したい気持ちになったのである。いや不思議そうにしないで!これはちゃんとこれこれこういう理由で!!と言いたい。自分で説明できるのに、周りから純朴に不思議だなァと思われて、でも質問するほどでもないかな、シーン…みたいなのは性にあわないのである………





【経緯】

まず、大体ざっくりどういう経緯なのかを記述しておこうと思う。

私もお喋りが好きなもので、友達に飴を持っているのを指摘されたら「花粉症でさ~…」までは言う。
で、この後の説明がもし5秒で完結するなら、わざわざこんな記事を書かない。私が授業中に飴を食いまくり水筒のお茶をがぶ飲みしている理由について、皆に言って回れるだろうし(※気持ち悪い奴)、5秒で説明できる程度の内容なら皆だって推測できるから不思議だと思うような論理構造はしない。

論理構造を端的に書くとこうである。

薬の副作用で尋常じゃなく喉が渇く

放っておくと炎症を起こすので(実際起こした)、飴を舐める

飴を舐めると口腔内が乾燥するのでお茶を飲む

このループ構造をしている。

な~~んだ!!簡単じゃないか!!!
って、そう思ってくれるならもうそれでいい。
でも不思議じゃないか?花粉症の薬なのに、なんで副作用で喉が渇くんだ?それも、授業中に飴まで舐めていないといけないほどに。

友達に、「薬の副作用が強くて」と言うと、一応「ふ~ん、そうなんだ……?」とは言ってくれるが、鼻水や目の痒みを抑える働きと、喉を異常に乾燥させる働きが結びつかずに、誰に言ってもどこか不思議そうな顔をする。こちらとしてももどかしい限りである。

そこを結びつけるためには、今度はちょっと生物学的な話をしなければならないので、私も進んで説明はしない。
生物に苦手意識があればあるほどこういう話をされると嫌がるので、私もあんまり気軽に他人に話せないのだ。


ま、こういう話、を続けていくことにする。


【鼻水抑制と喉の渇き?】

花粉症の薬って割かし種類があるようだ。
いや名前が色々あるでしょ、とかそういう話ではなくて、働き方に違いがあるようだ。
薬の名前は、正直見てもしょうがない。名前が違うくせに配合成分は全部一緒みたいな薬も存在するからである。


私が今使用している薬は、主に鼻水を止める作用がめちゃくちゃに強い。

で、その当薬、どんな風に鼻水を止めているのか。


まず鼻水とは、ほとんど水分である。厳密に言うと、血液のうちの、完全に液体の部分(無形成分)、「血漿」の割合が多い。

出典:
https://www.qlife.jp/dictionary/item/i_120102000/

鼻水は鼻水でも、粘性が高く色のついた鼻水というのは、粘液の割合が高く白血球の死骸が含まれていて有色となっている。
白血球とは要するに免疫系だ。マクロファージとか。だから、彼らの死骸が出てくるということは、鼻の中で、細菌かなんかと壮絶な戦いをしていたことを意味する。蓄膿症では、鼻水が上手く排出されずに鼻水の中で雑菌が繁殖し、白血球がそいつらとデッドヒートをぶちかますことで酷い色になる。
蓄膿症も年に2回くらいなるんだよなぁ……チクナイン様様ですわ…


しかし、花粉症患者の鼻水は、透明だ。
さらさらしている。
水のように、滝のように。鼻にティッシュを当てればみるみるティッシュが濡れていく。
どんな感覚か、患者に言わせてもらうと、机にスポーツドリンクをぶちまけて、それをティッシュでちまちまちまちまちまちまちまちま吸い取っている虚無感がある。これはこれで酷いもんだ。

白血球たちが出動しないこの鼻水は、血管が拡張し、血漿が染み出て、あまり粘液は混ざらずさらさらした状態で出てくる。


花粉症の薬の中には、こういう原理で発生する鼻水を止めるものがある。すなわち、血管の拡張を抑えるのだ。血管の拡張を抑えれば、鼻の穴の近くを通る血管が拡張して血漿が染み出し、上述のように鼻水が作られることがない、という仕組みである。


さて、血管の拡張を抑えるにはどうすれば良いだろうか?
健康な体において血管が拡張するか収縮するかを決めるのは、自律神経である。交感神経と、副交感神経だ。

(健康でない場合。白血球の一種であるマクロファージ、そしてマスト細胞という細胞が血管を拡張させることがある。危険な異物が入ってきたことがわかると、それぞれマクロファージはインターロイキン、マスト細胞はプロスタグランジンとヒスタミンを放出して、血管を膨張させて体温を上昇させる。高い体温で異物──細菌を殺そうという算段である)

血管を拡張させるのが副交感神経。
神経は基本的には電気(プラスマイナス)で情報を伝えることが有名だが、全てが電気信号なわけではなく、一部で化学物質を使うタイミングがある。
副交感神経が使う化学物質は、アセチルコリンだ。


だから、鼻水を止めたかったら、血漿が一成分であるから血液から血漿が染み出てこないようにすればいい。つまり、血管が拡張しないようにすればいい。したがって、血管を拡張させる副交感神経のはたらきを抑えればいい。そのためには、副交感神経が伝達するのに使われる化学物質、アセチルコリンを止めればいい

それがいわゆる、抗コリン剤。

私の使う花粉症の薬は、抗コリン作用を持つ薬なのだ。


さて…。副交感神経のはたらきを鈍らせる、これが何を意味するか……何となく察しはつくだろう。

リラックスしているときは副交感神経が優位になる。人間を含めて多くの生物は、リラックスしているとき、脳や体を休めたり、消化活動をしたりして、エネルギーチャージをしている。

言い換えると、エネルギーチャージをするときに働くべき機能を、副交感神経は司っている。
すなわち、消化活動だ。栄養を取り出すために消化器系を動かすのは、副交感神経が優位なときである。


それを薬で抑え込むと、何が起こるだろうか?
消化器系全てに異常が現れているのかは分からないのだが、少なくとも服用している人間が一番感じやすいのは、唾液分泌量の減少だ。

そう、
副交感神経を抑える薬、すなわち抗コリン作用を持つ薬を服用すると、血管の拡張が抑えられると同時に、唾液分泌が減少する。
私の使っている薬はその作用が非常に強烈なので、意図的に頑張って出さないと出ないに等しい。

人間の口の中は、何も食べていなくても唾液が出て濡れている。しかし、抗コリン剤を飲んでいると、唾液が出ずぺたぺたしたような状態がデフォルトになってしまう。
当然喉が非常に乾燥する。それで、先程のサイクル、

薬の副作用で尋常じゃなく喉が渇く

放っておくと炎症を起こすので(実際起こした)、飴を舐める

飴を舐めると口腔内が乾燥するのでお茶を飲む

が、生じてしまうのである。



【おまけ:コロナ禍で変わったこと】

こんな状態になってしまった私だが、飲み物を授業中に堂々と飲めるようになったし、風邪予防ですと大々的にのど飴を食べまくっても大丈夫な雰囲気になったことが、今年の私を救った。

ちなみに前年度までは、効きの悪い………いや、私の花粉感度を想定していない薬ばかり飲んで、普通に鼻水くしゃみ目の痒みで死亡している花粉症患者だった。


今日書き終えた記事だが、書き始めた頃は、もう花粉の量を報告するニュース番組は無くなったのに、未だに飲まないと死亡し、夜間に鼻が詰まって目が覚めるような生活を送っていた。
最近はあまりに湿度が高く、そしてシーズンもついに終わったか、薬の日々から解放された。


花粉症はつらい。花粉症患者は大変だ。
飴を爆食いし飲み物をがぶ飲みしている人がいたら、大変だなあと思ってほしい。

……いやまぁ、毎日10個弱食べる飴を選ぶのを楽しんでいることは…否定しないけれども。

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