手が伸びる先。
絵、楽器、アクセサリー、オブジェ、嗜好品をつくって売るのは難しい。
きっと、つくるだけならそれほど難しくはない。
問題は、自分ひとりの嗜好でつくり出したものを、自分ではない誰かに、いかにしてストンと収めることができるか。
自分と寸分たがわぬ好みの人間などどこにもいない。
そうなると、ことごとく人と好みの被らない人間がつくり出したものの行く末には、影が揺れるような気がしてくる。
まして、そんな独りよがりなものをセールスマンの如く売り叩く口上も持ちあわせていない。
いやどうしたものかな、といつも思う。
気に入ってもらえたらとても嬉しい。
なんだか他力本願でもどかしくはあるけけれど、嗜好と強制は相反するもの。
結論はそこで尽きてしまう。
お気に入りのアクセサリーを眺めながら思い返す。
どれも、誰かに売りつけられたものではない。
自分がどうしてもほしくて買ったもの。
迷って迷って連れ帰ったもの。
手を伸ばせばすぐに手に入るもので溢れている。
手放しても、また同じものを見つけられる。
でもきっと、そうではないものもある。
誰かが悩みぬいて選んでくれるようなひとつを、いつかつくることができたら。
今日も丁寧に手を動かそう。
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