秋の日
グラデーションが好き。
それはわりと最近になって気づいたこと。
自分が描く絵にも、つくるものにも、やんわりと移ろう色が多い。
移ろい半ばの色が好きなのだと思う。
夕刻、見上げる空は白んだ空色から薄紅、茜、薄紫、ゆっくりと藍へと変化していく。
ふと目を落とした生垣の葉は、葉先を赤く染めて。
赤と濃緑を取り持つ黄が幾重にも連なる。
グラデーションは生きている証拠。
過ぎる時のなかで、自らが常に変化しているのだと主張している。
それでいて、何も押しつけはしない。
ただそこにあって、変化しているだけ。
それをただ、美しいと思う。
グラデーションは自然だと思う。
人もまた、移ろう。
容姿も、心も、誰かとの繋がりも。
明白な変化だけではなく、なんとなく、どことなく変わっていくものもある。
きっと自分にとってグラデーションが美しいと思える人は、愛しい人。
どこまでも均一な一色など、自然界にはないのではないか。
移ろい、澱んだり、澄んだり、煌々としたり。
そんなグラデーションを、写し取っては描いたり、つくったりしてみたい。
心地よくいられる移ろいを、見つけ続けてみたい。
色が揺蕩う季節が、今年もやってきた。
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