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エミヲウム

最近、色々な人が書いた色々な文章を読む機会が増えた。
ある程度人の目に触れるところに出ている言葉は、どれもそれなりに整えられていて。

人はそれらの良し悪しを何で判断しているのだろうか。
さて、自分にとってよい文章とは何なのだろう。
そんなことを考えてみる。

考えるうち、ある共通点に気づく。
クスッと笑える。
涙を誘うような悲話でも、笑いが止まらないほどの喜劇でもない。
淡々と流れるストーリーの途中で、つい笑みがこぼれる。
そういう文章と出会うと、なんだかやけに得をしたような心持ちになる。
いや、クスッとまでもいかない、口角がほんの数ミリ上がるだけでもいい。
そんな、微笑みを誘う文章。
きっと、そういう言葉を紡げる人は、その人自身が日々の端々にちいさな笑顔を灯しながら暮らしているのだろう。
そんな誰かの毎日に、すこしお邪魔したような気持ちをもらって、読み終える。
自分にとって心地が「よい」文章。

ささやかな笑みを生み出せる言葉を捻り出す。
それは錬金術にも似た尊さで。
絵も、音楽も、物も、文章も、そんな僅かばかりの「笑」を誘うことが、案外大切なのだと思う。





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