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終わりなき歌

Tomorrow never knows

僕の人生に必要不可欠なものの一つが音楽だ。音楽を聴く、歌を歌うとは人間だけに許された特権なのだろうか。

否、生き物の中にはまるで歌を歌うように鳴く生き物が多くいる。
求愛のメロディーを奏でメスを呼び寄せる生き物たちにとって、より美しいメロディーを奏でることが死活問題となる以上、多くの生き物にとっても音楽は必要不可欠なものと言ってもいい。

音を楽しむと書いて音楽。音に喜びを見出すことができるのであればそれはすべて音楽だ。

その音楽はすべての生き物の心を動かすことができる力を秘めているが、更にそれに言葉が加わることによって効力は跳ね上がる。

音楽に言葉を乗せることが許されたのは人間の特権だ。

そして、その作り出された言葉を乗せた音楽は歌と呼ばれ、数えきれないほどの人類の喜びとなり支えとなってきた。

素晴らしい歌との出会いはその人の人生を変え得る存在となり、時として命を救うこともある。

10代の多感な時代に支えとなる歌と出会うことは親友や恋人との出会いと同じくらいの価値があることだろう。

自分にとってはMr.Children桜井和寿の歌との出会いがおそらく人生最大の歌との出会いだった。

その歌の名前はTomorrow never knows
Mr.Children最大のヒット曲にして276万枚を売り上げた。

当時小学2年生くらいだった自分は「若者のすべて」というドラマを観ており、その主題歌だったTomorrow never knowsのメロディや歌詞がドラマの内容に恐ろしいほどマッチしており、オープニングは今でもたまに観てしまうくらい印象に残っている。

Tomorrow never knowsはイントロからピアノの物憂げなメロディから始まり、残酷な時の流れと汚い大人へと変わってしまうことへの足掻き、焦燥と、出会い別れを繰り返しながら夢を諦めずに前に進もうとする悲しみを背負って歩き出す若者の歌だ。

「若者のすべて」というドラマもこの歌詞の通り苦悩しながら夢を追う若者の青春群像劇だ。

小学2年生が理解できるような内容ではないと思うのだが、当時このドラマと歌が心に深く突き刺さり、若者として自分が同じように苦悩を抱えるときにはとても強い心の支えとなり、人生で1番聴いている曲の一つとなった。

このTomorrow never knowsとの出会いが僕とMr.Childrenとの出会いであり、あれから30年経った今でも聴き続け、僕の心の矛であり盾である人生のバックボーンだ。

心の矛であり盾である音楽

Tomorrow never knowsとの出会いからMr.Childrenというバンドの存在を知ったが、まだファンになるほどではなく、CDを購入することもなかった。

しかし数年後に発売されたある曲を初めて聞いた時、それはまるで天からの啓示なのではないかと思うほど、身体中に電撃が駆け巡り、雲間から光が差し込み、荒れた大地が緑に芽吹くようにそのメロディの圧倒的な美しさの前にひれ伏した。

たまたま従兄弟の車の中で流れていたその曲が、歌詞も上手く聞き取れていない状況で自分の心に過去にないほど深く響いたのはなぜなのか、今となってもまだわからない。

その曲の名は名もなき詩だ。

名もなき詩のサビ
"あるがままの心で 生きられぬ弱さを 誰かのせいにして過ごしてる"
ここのメロディが心にこびりつき、数ヶ月頭から離れなくなるほどの症状となった。

Tomorrow never knows と名もなき詩との出会いにより音楽バンドがこんなにも自分の心に影響を与えて楽しませてくれることに衝撃を受け、バンド、歌、音楽そのものを好きになるきっかけとなった。

そこからMr.Childrenのファンとなり、小中学生の頃はひたすら心の震えを求めて過去の作品を聴き漁った。

心の矛であり、盾であるMr.Childrenの音楽たちは人生のどんな場面でも常に心に寄り添ってくれた。

10代が抱える"友情""恋""勉強"部活""家族"の悩みや不安を限りなく緩和してくれる存在だった。

その中でも最も悩みや不安を緩和してくれた曲はTomorrow never knowsでも名もなき詩でもなく終わりなき旅だ。

かけ抜けた道を 振り返りはしないのさ

終わりなき旅は過去を振り返らず未来だけを見て、理想の自分になるために挑戦し続けろとひたすら励ましてくれる曲だ。
これほど前向きにさせてくれる曲はないし、言葉の一つ一つに深みがあり、重みを感じさせてくれる歌詞だ。
ありきたりな使い古された言葉ではないからこそ心に深く染み入るのだ。

"高ければ高い壁の方が登ったとき気持ちいいもんな""誰の真似もすんな 生きるためのレシピなんてない""胸に抱え込んだ迷いが プラスの力に変わるように"
と名言のオンパレードで送るこの歌は一回聴くだけで何歩も前に進ませてくれる歌だ。

"息を切らしてさ かけぬけた道を 振り返りはしないのさ"で始まるこの歌は最後の大サビ前にまたこの歌詞が入る。

僕はこの始まりの歌詞を中学の卒業文集の始まりの一文に選んだ。

15歳中学卒業という人生のターニングポイントに、僕にとっての終わりなき旅はこれから始まるという意味を込めた。

あれから20年という月日が経ち、夢を追い、いくつかの成功や挫折を味わい、結婚し、2人の子供ができた今でも、僕にとっての終わりなき旅はまだまだ終わらないし、一回めのサビが終わり2回目のAメロを迎えようとしているところだと思っている。

終わりなき歌

歌との出会いは一期一会だ。その時代のその年齢の時にしか響かない言葉やメロディがある。
だからこそ、若い頃に多くの音楽に触れることには大きな意味がある。
不安定な10代の頃に出会った歌は生涯心に残り、支えとなり、輝き続ける。

そして、その歌は世代超えて子供へと受け継がれることもある。

親がよく聞いていた歌というのは子供は覚えているものだ。

人生のバイブルのような曲と出会いそれを子供に伝えれば、歌は時を超えて受け継がれていく終わりなき歌となる。

終わりなき歌を見つけ、どんな時も歌いながら生きるのが人生を楽しむ秘訣だ。

そんな人生を楽しむのに欠かすことのできない音楽を教えてくれたMr.Children桜井和寿さんに心から感謝をし、結びにしようと思う。

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