ヒル

イギリス旅行記5:ハギスを食べてみよう

夜が明けて朝になりました。カーテンを開けると、まぶしい陽光が部屋に入ってきます。

私「幽霊出なかったね!!!」

夫「出るかと思って、少し睡眠不足だよ…」

チェックアウトの前に、ホテルのフロントスタッフさんに、ダルハウジー城の塔の前で、写真を撮ってもらいました。ツーショットです。

夫「タクシーでロスリン教会まで行こう。観光した後、そこからエジンバラまでバスが出てるはず」

呼んでもらったタクシーに乗り込むと、運転手さんがノリのいい音楽をかけてくれました。もしかしたらラジオだったのかもしれませんが、洋楽を聴きながらのタクシードライブはなかなか楽しいものでした。

ロスリン教会の開館15分前くらいに着いて、しばらく待っていましたが、中に入ることができました。

ロスリン教会は、スコットランドの観光地で、かの有名な映画「ダヴィンチ・コード」にも出て来る古い石造りの教会です。

教会の中に入ると、建物が石造りの彫刻で出来ていることがわかります。当時のお参りに来た庶民の人にも、聖書の訓話がよくわかるように、文字ではなく、彫刻の像という形で、表したものだそうです。

堕天使や、ベツレヘムの星、グリーンマンなどの彫刻がありました。建物の内部は撮影禁止でした。

ロスリンチャーチの案内所にはカフェがあり、私はそこで冷たいトマトパスタサラダとカフェラテで朝ごはんにしました。夫はチキンマヨのパニーニとジュースを飲んでいます。

と、その時、私は発見しました。

「スコットランドの伝統衣装を着たおじさん発見!」

スコットランドの伝統衣装とは、もちろんタータンチェックのスカートのことです。オープンカフェテラスでくつろぐ壮年のおじさんは、グレーに緋色の素敵なタータンスカートを穿いておられました。やっぱり、現地の人は、身に着けている人もいるんですね。

さて、ロスリン教会から、今度はバスに乗ってエジンバラに帰ります。初めての、英国二階建てバスに乗車でとってもうきうきします。

こちらのバスは、どこまで行くのかを運転手さんに伝えて料金を先払いし、乗車積の近くにある降車ボタンを押して、降りていくという形でした。

がたごとと、バスはスコットランドの住宅街を走ります。どのうちも、メルヘンというか、古い建物で、お庭があって、きれいなお花が咲いていて、素敵でした。

エジンバラに着くと、もうお昼近くです。ロンドンへ帰る列車が二時発なので、少し急いでお土産屋さんを最終チェックです。

母と祖母に、タータンのマフラー、父には牛の角でできた杯、弟にはツイードのカード入れを買いました。あと、職場にはショートブレッド。スコットランドのバターを使っているものです。

夫「カールトン・ヒルに登ろうか。10分くらいで着くよ」

カールトン・ヒルとはエジンバラの中心部にある小高い丘で、ここからエジンバラの街が一望できるのです。数々の石碑や歴史建造物などもあります。石造りの階段を上り、開けた景色があまりに綺麗で、思わず息を呑みました。

エジンバラの古い街並が、ぱーっと眼下に広がり、丘の芝生の上では地元の人や観光客がみな思い思いにくつろいでいます。なんか、本当にみんなのんびりして幸せそうに見えました。

同じくらいの大きさの、もこもこの犬を二匹連れたおじさんを見て私たちはささやきあいます。

夫「良い犬だ」

私「きっと毛の色からして、コーヒーとミルクティーっていう名前だろうね」

どこの国の子かはわからないのですが、小学校低学年くらいの姉妹が二人、きゃあきゃあいいながら、丘の上から下に、ごろんごろんと転がり落ちる遊びをしています。時が止まったように素敵な、カールトン・ヒルでの時間でした。

さあ、帰りの列車の時間までもうすぐというとき、夫が騒ぎ出しました。

夫「スコットランドにいるのに、まだハギスを食べてない!」

ハギスと聞いて、すぐなんだかわかりますか?ハギスとは、茹でたヒツジの内臓ミンチ、オート麦、たまねぎ、ハーブを刻み、牛脂とともに羊の胃袋に詰めて茹る(もしくは蒸す)詰め物料理の一種。スコッチ・ウイスキーの友だそうです。スコットランドの伝統料理なんです。

出してくれそうなパブを少しのぞいてみたのですが、どこも混んでいます。時間のない私たちは、熱々のベイクドポテトに、いろいろなおかずを載せて出してくれるお店を見つけました。ベイクドビーンズや、アボカドサラダの具のほかに、ハギスも載せてくれるようです。

夫は、もちろんハギス載せベイクドポテト、私は、ベジタブルカレー載せベイクドポテトを買って、エジンバラ行きの列車に乗り込みました。

私「わー、今度は広い窓の横の席だよ!!!」

お向かいの予約客が乗り込んでくるのは、もう少し先の駅だったので、早めに食べてしまうことにしました。

私「ベジカレー、これ、辛い!辛すぎる!」

夫「ハギスは俺、大丈夫。いける」

ハギスは、おいしいと思う人もいれば、本当に食べられない人もいるみたいで、私は一口もらって食べましたが、食べられない側でした。なんていうか、本当に、無理でした。

ダラム駅から、お向かいに、二人連れの客が乗り込んできました。西欧の青年と、東南アジア系の青年で、二人は友人のようです。西欧の青年の着ていた青いシャツの色がすごく良いなあと思って、見ていました。

あとから夫が話してくれたんですが、東南アジア系の青年の英語も、西欧の青年と同じくらい流暢だった。だから、きっと、東南アジア系の男性とはいえ、生まれは英国なのかもなあと言っていました。

私はハギスは口に合わず食べれず、ベジカレーは辛すぎて食べれず、お昼を食べ損ねてしまいました。それで、帰りの列車は、途中からずっと「日本食食べたい」ということしか考えられなくなりました。

からあげ、おにぎり、お寿司、肉じゃが、カレー。そういう単語が、頭の中をぐるぐる回りました。キングズクロス駅に着いて、夫と二人、夕食のレストランを探します。日本食はなかったので、中華のレストランに入りました。

チャーシュー炒飯を頼んだのですが、出て来たものを見てびっくり。刻んだちゃーしゅーが炒飯の中に日本なら普通入っていますよね? でも、出てきたのは、卵と米のチャーハンに、厚切りチャーシューが八枚ほど添えられたダイナミックな一皿でした。

私「イメージと現物と違うよ~」

夫「自分が頼んだ四川の炒め物は、かなり辛いな…」

炒飯は、細長い米で、とってもパラパラパサパサしていて、日本のものとだいぶこちらもちがっていました。

一緒に頼んだあったかいジャスミンティーは、おいしくて、たくさん飲んで胃を落ち着かせました。ギョーザは、皮がもっちりとしていました。

帰りは、めずらしく夫が地下鉄を乗り間違えました。環状線と、直線の地下鉄があって、反対のほうに乗ってしまったそうです。正しいものに乗り直し、やっとホテル最寄り駅に戻って来てほっとしました。

買いすぎたお土産を整理して詰めて、その日は熟睡しました。

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