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天花寺さやかさん著「京都丸太町の恋衣屋さん」和装や日本文化が好きな方必読です

こんにちは!上田です。

今日は天花寺さやか先生の新刊「京都丸太町の恋衣屋さん」のご紹介をしたいと思います!PHP文芸文庫の「京都府警あやかし課の事件簿」の大人気シリーズとは別に、双葉文庫さんから4月に出た新作「京都丸太町の恋衣屋さん」こちらもとっても面白いんです!

地元の山梨県で就職活動をしていた泰彦は、ひょんなことから女性を助ける。その女性、明日香は、京都の貸衣裳店「お衣装 美三輝」の常務だと名乗り「あの…もし良かったら、京都に来ませんか。というか、うちの会社に来て? というか将来、うちのお婿さんになってくれへん?」と熱烈なプロポーズを受ける、というびっくりな展開から始まる、この小説。

でも、中身は京都のお着物や伝統文化の深い知識がいっぱいで、日本文化が好きな方なら、絶対夢中になれる物語です!また、明日香と泰彦の掛け合いが、すごく楽しくって読んでいて自然と笑顔になってしまいます。

第一話「哲学の道と色打掛」

泰彦は、貸衣裳店での仕事の際、結婚式を控える新郎から「新婦に、彼女が選んだのとは違う、自分が選んだ衣装を当日着せることはできないか」と相談されます。新郎の思惑がどういうことかわからずにとまどう泰彦と明日香ですが、実は新郎は新婦の心の傷をいやしてあげたい、そういう思いがあって――というお話。

着物の知識が、最終的に解決のヒントになるのですが、新婦のつらかった思い出が、新郎の優しい思いと泰彦・明日香の機転によって、新しい素敵な思い出に塗り替えられていくのが本当に素敵でした。

第二話「絹紅梅と綾傘鉾の縁結び」

祇園祭の宵山の日、浴衣を貸し出すことにてんてこまいの泰彦と明日香。そんな中、大学生の女の子、麻里が「囃子方の友達を見に行くから、浴衣を選びたい」とやってくる。麻里はどうやら、その囃子方の友達――優斗に思いを寄せているようだ。しかし、麻里が見つけた優斗は、ほかの女性と仲良さげにしていて――?

着物やって、敷居が高そうと思ったり、知識がないと、なにかと着るのにも心配じゃないですか。伝統文化もまたしかり。でもこの小説のなかで、絹紅梅という高級な生地でできた浴衣の説明があったり、祇園祭の囃子方について、こと細かな文化を知れたりすると、ぐっと身近に感じられます。さやか先生の小説は、いつでもそういう工夫や配慮がこらされてあり、素敵だなあと思っております。神様の縁結び、しかと見届けましたよ!

第三話「京友禅と名月管弦祭」

イベントの主催や共催にも力を入れている「お衣装 美三輝」。定期的に婚活パーティーも行っていて、泰彦もスタッフとして駆り出される。離れの工房で友禅体験が行われているのを見ている泰彦。パーティがいざ始まると、泰彦は客として参加していた元同級生の遥から話しかけられる。仲の良さそうな遥と泰彦の姿に、明日香の気持ちは――?

泰彦と明日香の二人の気持ちがぐっと近づいたお話に、こちらもどきどきしながら読ませていただきました。名月管弦祭のお茶席で、明日香が着るのは泰彦の勧めた衣装――という、泰彦のたしかな成長も感じられるストーリーで、二人のことがさらに大好きになりました。

第四話「和装ドレスと聖夜の誓い」

「お衣装 美三輝」が和装ドレスも扱っていて、明日香はモデルもしている、という素敵なシーンからはじまる第四話。婚礼衣装の予約に訪れた男女二人は、ちょっと不思議な関係。その女性、美津の本来の結婚相手であった響人は結婚する直前に亡くなっており、一緒に現れた男性、尊は、響人の友人だったのだという。それで、亡くなった響人の写真とともに、美津に婚礼衣装を着せたい、という尊の思いを聞いて、泰彦と明日香は――?

とても切ないお話で、でも後半のドラマチックな展開に、思わずページをめくりながら息を止めそうになっていました。「恋衣屋さん」にはカップルがたくさん出てきますが、そのカップルの人たちと接するなかで、明日香と泰彦がお互いの気持ちをたしかめなおして、または互いへの新たな思いに気付いて、前へと進んでいくのがとても素敵でした。

泰彦は、明日香に連れられて京都に来て衣装のことを学んでいきますが、彼の着物の知識に対する素直な吸収力や、伝統文化についての敬意を払う様子、また、まっすぐで頼もしい人柄に、ああ、明日香が惚れるのもわかるなあ、と実感します。

明日香も、出会ったばかりの人にいきなりプロポーズする積極性に最初はびっくりしますが、本来の彼女のもつ可愛らしさと、常務としてのしっかりしているところのギャップが、また泰彦の好きなところなんだろうなと想像して、ほっこりします。

なにを言いたいかというと、すごくお似合いってことですよ!!!!

「京都丸太町の恋衣屋さん」ぜひ続刊してほしいので、興味を持たれた方はぜひお手元に置くことをご検討くださいませ。緊急事態宣言も現在発令されている真っ只中ですが、私はこの小説を応援したいです。

絶対に、京都と和装と伝統文化が好きになりますよ(*^^*)





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