城

イギリス旅行記4:スコットランドの古城にて

4日目の朝になりました。起床後は、いつもの朝食…ではなくて、昨日ギリシャ料理店でテイクアウェイ(イギリスではテイクアウトでなく、テイクアウェイというそうです)してもらったメインのお肉をいただきます。

羊の骨付き肉のグリルに、香草が混ぜ込んであるつくねのようなもののグリル。銀色のアルミのタッパーに入れられたお肉は、一晩たってもおいしかったです。気温も、日本の秋ぐらいの気候なため傷む心配もありませんでした。

お肉を食べて着替えたあと、いつものバイキング朝食のフロアで、夫はコーヒー、私は紅茶と、それぞれヨーグルトのパックだけをもらって食べました。

今日の予定は、4時間ほどかけて列車に乗り、イギリスの北のほうにあるスコットランドの首都エディンバラに行くのです。ホテルを出て、ポンドの手持ち金が少なくなっていたので、まずは日本円を両替します。夫曰く、全部空港で両替してしまうより、現地のレートを見て、お得なところで両替したらいいそうです。

エディンバラ駅の列車が出発するキングズクロス駅に、地下鉄に乗ってまず向かいます。さあ、キングズクロス駅に何があるかご存知ですか?すぐにピンと来た方はどのくらいいるでしょう。……そう、ハリーポッターの主人公ハリーが、ホグワーツ魔法学校へ行くときに、キングズクロス駅の「9と3/4番線」から出発したんでしたね。

キングズクロス駅で、案の定ハリポタショップを発見しました。ハリーの相棒、白ふくろうのヘドウィグのぬいぐるみや、4つのクラス「グリフィンドール・ハッフルパフ・スリザリン・レイブンクロー」のそれぞれのカラーのセーター、マフラー、カーディガンなどが売っています。魔法の杖も、いろいろな種類を置いてあります。

夫は9と3/4番線の、首から下げるチケットを購入し、百味ビーンズの購入も迷っていました。

ハリポタショップでいろいろ楽しく商品を見た後、ショップの外に出てみると、人だかりができています。なんと、本物の9と3/4番線がありました!カートと鳥かごが半分壁の中に吸い込まれていますよ!

たくさんの観光客が記念写真を撮るために並び、撮る順番が来たら、カートに手をかけ、巻いているマフラーを友人に引っ張ってもらって、ジャンプとともに、マフラーから手を離しています!これで、壁に吸い込まれる瞬間の写真を撮っているようです。

私たちは、エディンバラ行きの時刻もせまっていたので、残念ながら列には並ばずに、大人しく普通の6番線のホームへ降りました。

車内で食べるフルーツのパックとサンドイッチと水も買ったので、さあ、これから四時間の旅がスタートです。残念ながら、行きの座席は、お向かい同志に座れましたが、すぐ隣が窓ではなく壁になっていて、景色はあまりうまく見れません。

でも、遠くはありますが、反対の窓から、車外の景色が見えたので、ついついそっちに注目します。イギリス国内を列車で走ってわかったことは、とにかく、広い牧草地がたくさんあって、ものすごい数の羊や牛が放牧されているんですね。

白いもこもこした毛に黒い顔の羊たちは、みんな好きなように草原に寝そべって、草を食んでいました。そののんびりした様子を見て、イギリスの羊は幸せそうだなあと思いました。こちらも見ていて癒されます。

列車はどんどん北上し、夫が大学卒業後に学生生活を送っていたニューキャッスルの街も通り過ぎます。どこの景色を見ても、どの街を見ても、イギリスの街並は古く、積もる歴史を感じます。

11時にキングズクロス駅を出て、15時15分にエディンバラに到着しました。駅を出て、一歩大通りに足を踏み入れると、なんと、すごい数の人が道路にあふれています。そう、エディンバラは今、夏のフェスティバル中なのでした。

そこらじゅうに大道芸人や、音楽家たちがいて、その周りに人だかりができています。おもしろかったのは、ギターを奏でる男性と、その男性に肩車されているバイオリニスト。二人羽織、ではなくて、こういうのをなんていうんだろう。二人で、セッションしているんです。まわりの人たちも、はやし立てながら楽しそうに聴いています。

スコットランドの大通りには、お土産屋さんがたくさん並んでいるので、家族や職場へのお土産を買い求めることにしました。素敵なタータン・チェックのマフラーやストール、ツイードのキャスケット、牛の角で出来たさかずきに、スコットランドのショートブレッド(クッキー)やイングリッシュティー。ついついたくさん買ってしまいました。

さて、今夜泊まる予定なのは、エディンバラの少し郊外にあるダルハウジー・キャッスル・ホテルです。13世紀に建てられた古城を改装した宿泊施設だそうで、私は今回の旅行の中でも特に楽しみのひとつとしていました。

駅の近くから、タクシーで向かいます。スコットランドのタクシーは、日本のよりも大きくて丸っこい車体をしています。運転手さんは、すぐにホテルをわかってくれて、無事に送り届けてくれました。

到着したダルハウジー・キャッスル・ホテルは、蔦のからまる茶色い壁に大きな塔が印象的な建物でした。そして実は、夫はこのホテルに泊まるにあたって、とても楽しみなことがあったそうです。

夫「ふふふ…ネットニュースで見たけど、このホテル、幽霊が出るんだってさ…」

私「(しーん)」

ホテルのフロントで、早速チェックインです。赤い絨毯が敷いてある古い階段を上ると、ぎしっ、ぎしっと大きな音をたててきしみます。

あてがわれた部屋に入ってびっくり。なんと、ベッドに緋色の天蓋がついています!出窓があり、森が見えます。瀟洒な緑のタータンチェックのカーテンとベッドカバーがとってもこの国らしくて素敵。

大きな木製の暖炉と、鏡台が備え付けられ、本当に、貴族のお部屋といった感じです。部屋にもじゅうたんが敷いてあり、やっぱり古いのか歩くたびにぎしっといいます。

部屋で休んだあと、夕食はホテル内のレストランで摂ることにしました。私はサーモンとサラダの前菜に、マッシュポテトとグリルチキンのメイン、夫は野菜のスープの前菜に、ビーフハンバーガーのメインを頼みました。ペリエも一杯ずつ頼んでカンパイしました。

夕食のあと、ホテル内を少し歩いたのですが、古い本が置いてある書斎があり、このホテルで結婚式を挙げる人向けの広告であろうアルバムが置いてありました。たしかにこんな古いお城で結婚式は素敵でしょうね!

外に出て、夜の古城も眺めてみました。おぼろ月が夜空にかかり、オレンジの電灯でライトアップされた古城は、また素敵な趣がありました。さあ、今夜、果たして幽霊は出るのでしょうか…?


いつも温かい応援をありがとうございます。記事がお気に召したらサポートいただけますと大変嬉しいです。いただいたサポ―トで資料本やほしかった本を買わせていただきます。