【小説】冬嵐 第9話「缶紅茶」
第1話「拾い物」
前話「忘年会の夜」
マガジン「連載小説・冬嵐」
島村を振り切ってタクシーで自宅に帰った俺は、ベッドにごろりと横たわって、しばしぼんやりとした。家の近くのコンビニで買ったペットボトルの緑茶を、起きあがっては酔い覚ましに飲み干して、頭を巡らせる。まだ、微妙に酔いが冷めない。
俺に向かって「私はあなたの助けになりたい」と言い切った島村の姿が、光希や茉奈に対する普段の自分の姿に重なって見えた。
島村にさっきの言動で傷つけられたとは思わず、むしろ、光希に接して