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2017年5月の記事一覧
【小説】ピアノ弾きの娘
鍵盤の上に、そっと指先を置き、ポーンと鳴らした。ドレミファソラシドのミの音。音は静かな部屋の中に、響いてすぐに消える。音は思ったより暗い感じに聞こえて、私自身のつまらなさや退屈さを現しているようだった。
黒いカバーのかかった、大きなグランドピアノがうちにはあって、私はそこで毎日中学校から帰るとピアノの練習をしていた。とはいっても熱中するほどではなくて、来週の先生のレッスンで叱られない程度に。こん
鍵盤の上に、そっと指先を置き、ポーンと鳴らした。ドレミファソラシドのミの音。音は静かな部屋の中に、響いてすぐに消える。音は思ったより暗い感じに聞こえて、私自身のつまらなさや退屈さを現しているようだった。
黒いカバーのかかった、大きなグランドピアノがうちにはあって、私はそこで毎日中学校から帰るとピアノの練習をしていた。とはいっても熱中するほどではなくて、来週の先生のレッスンで叱られない程度に。こん