天職|ショートショート
「申し訳ございません。本日の便はすべて欠航となりました」
三途の川の船着場は、混雑を極めていた。ここ数日の渡し船の整備不良により、あの世に渡る予定の死者が列をなして順番を待っていた。
「いつまで待たせる気だ! こっちはもう死んでるんだぞ」
「申し訳ございません」
死んでいるのだから、待っていてもいいはずなのだが、生前のせっかちは死んでからも続くらしい。
手伝えることがあれば、と人を掻き分けながら係員の方へ向かっていると、同じように人の間を縫うように進む青年がいた。
「すみ