白菜を赤ちゃんとして愛でる
11月のとある休日、私は自宅の天井を眺めながら思った。
あ〜〜〜〜〜〜〜
赤ちゃん愛でてぇなぁ.....
漠然と赤ちゃんを愛でたい、あわよくば育てたいという気持ちが芽生えてしまっている。母性本能というものなのだろうか?最近同い年の友達が出産することが多く、感化されてしまっているのだろうか。とにかくかわいい赤ちゃんを愛でたいのである。
そんな思いを抱えていても赤子は降ってこないので、近頃ずっと赤ちゃん動画を見て癒されている始末だ。とてつもなくかわいいので全人類見ることをお勧めする。
赤ちゃんかわいい...........赤ちゃんかわいい...............................赤子を抱えたい!抱えながら世話してみたい!その大変さすら、体験したい....
そんな願望にさいなまれていたある日、母親が白菜を買ってきた。
デカイ。
なんてデカイんだ。普通の白菜よりもひと回り...いや、ふた回りほど大きい気がする。こんな大きな大きな白菜を一体どこで手に入れたんだ。母親に聞いたら茨城の道の駅で手に入れたそう。買った理由を聞いたら「大きいから」と言っていた。たしかに、ここまでデカいと買いたくなる気持ちもわかる。
ものすごくなんとなく、腕に抱いてみた。
あったかい。
白菜なんだからあったかいわけないだろ!と夢を壊すことを言うそこのあなた、静まりなさい。ずっしりとした重みに、私は間違いなく母性が芽生えた。
そうだ。この子を愛でればいいじゃないか。目の前にいる赤ちゃん(白菜)を、全力で愛でればいい。そう決意した私は少しの間、赤ちゃんとして白菜を愛でることにした。
愛でる、といってもただヨシヨシしているだけではない。親として、赤ちゃんを育てる部分も加味したい。育てるフェーズを経験するからこそ、愛は育まれると私は思うのだ。育てる苦労すら、振り返れば愛おしく感じる。そんな経験を私は欲しているのだ。とにかく、やってみよう。
※記事の写真は緊急事態宣言前に撮影されたものです
1.体重測定
やはり子の身体を管理するのは親の務めの一つである。
まずは体重。子の体重はいくつなのだろうか?体重計に乗せみる。
4.5kg...新生児にしてはかなり重い気がする。新生児の平均は3kgぐらいだったと記憶している。かなりの巨大児だ。だが赤ちゃんはデカければデカいほど良い気がするので特に気には止めなかった。もっと大きくなって健康に育ってくれよな!
2.ミルクをあげる
子が健やかに大きく成長するためには栄養を上げなければならない。
赤ちゃんにはミルク...が鉄板だが、ウチの子は水で十分だ。
こうして.......
こう。
なんてお手軽なんだ!お皿に水を入れて、根元においてあげるとものすごい勢いで吸ってくれる。さすがは育ち盛り...(既に育ちきっているような気もするが)
ミルクを作る手間が省けてありがたい。野菜って、いいなぁ!
3.おむつを履かせる
白菜からお漏らしがでるのかという疑念があるが、備えあれば憂いなし。もし漏らしてしまったらかわいそうなので、念の為オムツを履かせてあげることにした。佇まいとしてオムツを履いていた方が赤ちゃんぽいしね....
取り急ぎ、近所に住んでいる赤ちゃんのいる友達からオムツを1つおすそ分けしてもらうことに。理由を聞かれて「白菜に履かせるんだ」と答えると不安そうな顔をされて辛くなった。
うさぎさんが描いてあって可愛らしい。我が子も喜ぶであろう。
オムツを手に入れたものの、実はオムツの履かせ方がわからない。子を育てたことがないのだから当たり前である。一体どうやって履かせるんだろうか.......心配なので、子育て経験のある母親にアドバイスをお願いすることにした。
とりあえず下にオムツを敷いてみる。序盤で「ダメ!ちゃんとおしりを持ってあげないと赤ちゃんが痛くて辛くなっちゃうよ!」と母親から叱られ慌てる。白菜のおしりらしき部分を持ってオムツの上に乗せる。意外と難しい...
白菜のおしりの真ん中におむつがくるように調整して....
装着。白菜は動いたりハイハイしたりしないからやりやすい気がする。意外と簡単にできるものだなぁ。世のオムツは履かせやすく進化しているようだ。オムツ研究開発をしている皆さま、ありがとな!!!!!
ただめちゃくちゃお腹周りが太いのでテープがつかない.....本来ならもう少し内側で止まるはずなのに。オムツに表記してある数字を合わせることでバランスよくオムツを装着できるようだが、そもそもその数字にすら達しないぽっちゃりめの腹回りなのである。まぁ、我が子の成長は喜ばしいことなので良しとする。
できた!!!!なんかかわいい。そのままでもかわいいが、オムツを履かせるとなぜか可愛さが増す.....満足げな表情も良い。かわいい。すでに親バカになってきている。
この後父親が帰ってきて、ソファにいる白菜を目撃した瞬間不安そうな顔をしていた。何か言い訳すると怪しさが増しそうだったので何も言わなかった。
4.お散歩の準備
家の中にずっといても我が子が退屈だと思うので、外でお散歩を試みる。近所のお子さんがいるお家から抱っこ紐をお借りした。早速装着しようとするが、使い方がわからない。
とりあえずYouTubeで装着の仕方を学ぶ。意外と複雑な装着方法だったので動画があって助かった。ありがとうインターネット。
まずは腰に巻くらしい。そのあとに赤ちゃんを抱えながら包み込むように紐を肩にかける!
おお〜〜〜すごい〜〜〜!!!こうやってやるんか!と勝手に感心してしまう。赤ちゃん抱っこしながらできるからやりやすい。使いやすすぎて、自分がもし赤子を産んだらこの形の抱っこ紐を使おう!と謎の決心をした。
着替えをして準備完了!早速外に出る。丸くてかわいい我が子を抱く私はもはや親の顔をしている気がする。それにしても白菜はとてもかわいい。丸いから実際の赤ちゃんよりもかわいい気がしてきた(親バカ)。
5.お散歩をする
我が子を連れて、母親にも一緒に来てもらうことにする。母親には「なんで白菜を持っていくの?なんで?」と問い詰められたが「我が子だから.....」としか答えられなくて困った。いくらなんでも説明が下手くそすぎる。
不安そうな母親をよそに、少し離れた眺めの良い公園でお散歩を開始する。最近ろくに外に出ていなかったので、外の空気を吸うことの喜びを改めて感じた。
我が子を抱えて散歩を開始して5分。ひとつ気づいたことがある。
めちゃくちゃ重い。
なんなんだこのずっしり感は。まるで鉛を持っているかのようだ。普段リモートワークで会社に行くことが少なかった私は、家の中で極限の怠惰生活を経て身体中の筋肉が退化してるのだ。今、人生で最高潮に筋肉が無い。4.5kgの白菜は今の私にはキツイ。キツイキツイキツイキツイ〜〜〜〜。世のパパママたちすごいよ〜重い赤ちゃんたちを毎日抱えているの偉すぎるよ〜!!!!!ねぇーーー!!!!!すごいよーーーー!!!???って叫んでたら母親に近所迷惑ですと一喝されました。ごめんなさい。
とはいえ我が子との散歩は楽しい。かわいいなぁ。ナデナデしながら散歩をするこの瞬間を幸せと呼ぶのだろう。ただ、なんとなくいろんな人にみられているような気はする。気にしないけど!
景色が変わるたびに我が子も喜んでくれているようだ。ニコニコした表情を私に見せる。心なしか、さっきよりも青々としているような気がする。やはり白菜も外の空気を吸うのは気持ちが良いのだろう。満足げな表情がかわいい。
近所の知らない子供に「なんで白菜もってるの!!ギャハハ」とからかわれたので「悪いかよ!!!」と謎の返答をしてしまった。完全に不審者である。
途中で疲れすぎて(というか白菜が重すぎて)息が苦しくなってきて一休みすることに。重すぎるだろこの白菜!と我が子であることを忘れて若干キレそうになってしまった。いかんいかん....これきしのことでへばっていては親は務まらないわよ!と自分を奮い立たせる。
お散歩はちょっと疲れたのでここで母親とは解散し、近所の子持ちの友達とママ友会をすることにした。
6.ママ友会
ずっとママ友というものに憧れがあった。せっかく我が子ができたので、これを機にママ友会を開催した。最近母親になった友達がいたので唐突に連絡。すぐに来てくれた。
駅に行くと友達が待っていた。抱えているのは最近生まれた赤ちゃん。正直、とてつもなくかわいい。だが我が子も負けてないぞ!と親バカ心を胸に抱いている。友達には「なぜ白菜を....?」と困惑しながら笑っていたが、ここも「我が子なんで」という説明で押し通すことにした。
連れ立って席に着くと、友達の赤ちゃんがダァダァと声を上げている。お腹が減ったのだろう。友達がミルクをあげると飲みながら寝てしまった。我が子も先ほど一緒に散歩をして疲れたようで、早々に私の腕の中で寝てしまった。一言も声を発さずに寝ていてかわいい。
母親になりたての友達から、子育ての知見をシェアしてもらえた。便利な子育てグッズやら、便利なアプリも最近は充実しているらしい。今日体重測定をしたという話をしたら「子供の体重は定期的に測るといいよ」と助言をいただいた。これ以上我が子が成長するのかは謎だが、心がけようと思った。
途中で我が子がグズって起きてしまった。試しに友達が持ってきていたおもちゃを借りて遊んであげたら、めちゃくちゃ喜んでいた。笑顔をいっぱい浮かべていて嬉しい。これを機におもちゃをいくつか買ってあげようと思う。「最近はYouTubeでも子供向けのチャンネルが沢山あるから、どうしても忙しい時はそれを見せてあげてもいいかも」と友達が教えてくれた。たくさんの知見をありがとう!!
7.沐浴
友達と別れた後、無事に帰宅。我が子は少し疲れているようだったので、沐浴をして癒してあげることにした。しかし私は沐浴のやり方が全くわからない。強引に母親をお風呂場に呼んで、指導してもらうことにした。
あったかいお湯で....と言いたいところだが、一応白菜なので腐らないように冷水で沐浴をしてあげることにした。
いざ、入水。母親から「ちゃんとおしり支えてあげないとダメでしょう!!首も支えてあげて!!」とご指摘が入る。首らしきところを支えてそっとお湯に沈める。息ができないとかわいそうなので顔らしきところは水面上でキープ。なんて脳みそを使う競技なんだ、沐浴。
母親から沐浴必須アイテム”ふわふわのタオル”が投下される。「本当はガーゼがいいけど、白菜の場合はタオルの方が良い」という謎理論を提唱される。母親に言われると妙な説得力があるのが不思議だ。
たしかに我が子は撫でられるたびに気持ちが良さそうである。私もつられて笑顔になる。我が子はまだ喋ることができないけど、表情をみているだけで幸せそうなのが伝わってくる。いつか喋れるようになったら、ママ!って言ってくれたりするのかな...
7.寝かしつける
親にとって最大の難関とも言えるのが寝かしつけだ。意外と子供はなかなか寝てくれないし、真夜中に泣いてしまい起こされるという話もよく聞く。
今日は運動したしすぐに寝てくれるかな...と思ったが、布団に入れた途端ぐずりはじめたので困った。母親に相談すると「読み聞かせをしたらいいんじゃない?」と助言をいただいたので、昔自分が読んでいた絵本を引っ張り出してきた。
最初はグズっていたが、読み始めると段々まぶたが重くなっていくのを感じる。かわいいなぁ。抑揚をつけながら読んでいくと、我が子はすぐに寝てしまった。お散歩をしたらしたから疲れていたのだろう。そのあとはぐっすりと寝てしまった。
我が子を抱きながら幸せを感じた。母親が私たちを見て思い出したように「あんたも全然夜泣きしなかったのよねぇ」と言った。我が子を寝かしつけた後、幸せに浸りながら私も寝落ちしてしまった。
8.終わりに
一通りの子育て体験を終えた。最初はただの白菜だったのに、愛でて育てることで我が子となった。赤ちゃんだろうが白菜だろうが何だろうが、育てることによって、愛が育まれるのだと実感した。だがしかし、たった1日だけでも世話は大変である.....全国のパパママたちは本当に凄いと思わざるを得なかった。
そして、我が子はかわいい!どの子よりも1番かわいい!!と、ついつい親バカになってしまう気持ちも理解できた。
ありがとう我が子。ありがとう白菜。
次の夕飯は、白菜鍋にした。
白菜って、めちゃくちゃ美味いよね!
〜完〜
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