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完全帰国日記③

2022年1月27日

ついに帰国のフライト当日。

朝4時起床。は…早い…。
5時半に荷物と私達をオークランド空港まで運んでくれるシャトルサービスを予約してあるので、それまでに身支度と荷造りを完了してホテルの前まで出ていないといけない。

身支度はともかく、荷造りが最後の最後まで「ああでもない」「こうでもない」と手間取った。

手間取り過ぎてダークモードになったオットが、私の「スーツケース(3つある)の鍵をかけておいた方が良いんじゃない?」というアドバイスを「そんなことは空港で最後にやればいい」と拒否。

幼稚な反応にムッとしたものの、時間もないので説教はしないことにする。

ムスメは前日から興奮気味で、昨夜はあまり眠れなかった様子だった。
私が起き出す前に「お腹が空いた」とオットに訴えて、クランチー(知る人ぞ知る激甘のお菓子)とオレオを食べさせて貰っていた。

よりによって、そんな甘いものを、乗り物酔いするムスメに(乗り物に乗る前に)食べさせる危機管理の甘さに絶句する私…。しかし、時間がないので説教はしないことにする。(本日2度目)

オットのこの2つの判断ミスが後でピンチを招くことを、私達はまだ知らない…。

私達が利用したシャトルサービスは「乗り合い」or「貸し切り」を選べるタイプだったのだが、まわり道をする時間を省きたいのと感染予防の観点から「貸し切り」を選んだ。
(もちろん貸し切りの方が高い)

ドライバーは気さくなKiwiのおじさん。
荷物もテキパキと運んでくれる。
なにしろ23キロのスーツケース3つ、同じく23キロの段ボール箱4つ、機内持ち込みサイズ・マックスのバッグが3つもあるのだ。
これを家族だけでホテルの部屋へ運び入れたり、運び出すのも大変だった…。
コロナ禍なのでホテルのスタッフは手伝えないルールなんだとか。

車はベンツのワゴン?で、革張りのシートが気持ち良くて乗り心地が最高だった。

このまま日本まで運んで欲しかった!(無理)

空港には6時過ぎに到着。

途中、お世話になった歯医者さん(朝7時半に予約をぶち込んでくるけれど、とても親切なインドのドクターご夫婦にお世話になりました。)の横を通ったり、見慣れた街並みに、少しだけ感傷的な気持ちになった。

ま、実際には暗かったからよく分からなかったんだけど。明るかったら、もっと感傷的な気持ちになったかもしれない。

オークランド空港の国際線ターミナルにはオーストラリア行きの人、韓国行きの人に混じって、何やらトロピカルな……というかバカンスっぽい格好の人がそこそこいた。
オミクロンの感染拡大の緊張感が高まっている中で、彼らの周りだけ別世界。
トロピカルな人たちはどうやら隔離なしで行き来できるクック諸島へ行く人たちらしい。全身全霊でバカンスを楽しむ気迫がみなぎっている。

成田行きのカウンターはガラ空きだった。
なにしろ成田便の出発時間は朝10時なのだ。

とは言え、新型コロナウィルス対策で、事前にチェックされる項目は多いわ、荷物も多いわ……なので、大事を取って早めに来たというわけである。

カウンターでは早速、プレ・フライト・テストの証明書の提示を求められる。
オットがPDFで見せようとしたところ、紙の書類を求められた。(もちろん後で返して貰える。)

カウンターでお馴染みの手続きをこなし、荷物の重さを測って23キロを超えたもの(2つあった…)の追加料金を払う。

段ボール箱は別の窓口で預けないといけないので、スーツケース3つをカウンターに預け、そちらの窓口へ向かう。

ベルトコンベアーにのせられて運ばれて行くスーツケースにムスメと笑顔で手を振った瞬間、

鍵、かけてないやんけ!

と思い出して気絶しそうになった。(1秒くらいは気を失っていたかもしれない…)

しかし、気絶している場合ではないので、オットに「鍵、かけてないよね?」と確認する。

もちろんかけていない。 

2人で青ざめてカウンターのお姉さんに事情を説明すると「どのスーツケース?え?3つとも全部?」と呆れられた。そりゃあそうであろう。

「Unfortunately, もう取り戻すことは出来ない」と言われる。これまた、そりゃあそうであろう。

あとはニュージーランドの治安とスーツケースのベルトの性能を信じるしかない。

この状況で「だから言ったのに!」とオットにキレなかった私、えらい。(本日、3度目)

スーツケースのことは考えてもどうにもならないので、運を天に任せ、次は出国ゲートである。

私たちの機内持ち込み荷物には、不自然なほど大量のぬいぐるみとノートパソコン、デジタルガジェットが入っている。

家族のふりをしているけれど実はぬいぐるみの中に何かを隠している密輸グループだと疑われたらどうしよう……。

……という心配は杞憂に終わったのだが、まあ、それでもデジタルガジェットのチェックは数人がかりで念入りだった。

この事態にムスメはなぜか大興奮で、気づいたら手に持っていたはずのフライトチケットがないと言い出した。

まさか時計やスマホ、ゲーム機をカゴに載せる時にどこかに置いたまま、取り忘れた?

いや、それだとゲートは通過できないから違うと思いたい。

とりあえず近くにいたスタッフに事情を説明して探してもらう。

スタッフからは荷物の中もチェックするようにアドバイスされ、娘の手荷物の中を探ると……あった!

家族3人で平謝りである。

おそらく、よくあることなんだろうなあ。(たいてい本人の荷物から出てくるんだろう)

この時点でHPを使い果たした感が漂う私とオット。

そろそろ朝ごはんにすることにする。

国際線の出発エリアは閑散としていて、営業している店はわずかだったものの、オットが好きなチーズとマーマイトのベーグルが食べられる店はオープンしていた。

注文して、さあ、食べよう。

ところで、睡眠不足の状態で激甘なお菓子を食べ、車に揺られ、その後も謎の興奮状態をキープしていた子どもがそのうちどうなるかご存知だろうか?

「気持ち悪い……」と言い出します(涙)

人気(ひとけ)のないロビーで気持ち悪そうにしているムスメと、その背中をさすっている私。

甘いお菓子を食べさせたオットに切れなかった私、えらい。(本日4回目)

通りかかったニュージーランド航空のスタッフが声をかけてくれたので、事情を説明する。

基本的には睡眠不足と乗り物酔いなんだけど……このご時世、感染症を疑われたらどうしよう?と焦る。(ちなみにオットはこの時にそんなことは1ミリも想像しなかったらしい。めでたいな!)

そのスタッフの青年は車椅子の方を搭乗口まで運んでいる途中だったので、「何かヘルプが必要なら医療スタッフがいるからね」と言い残して立ち去った。

ほっとして、ムスメには酔い止め薬を、今さらだけど飲ませてみる。

少し落ち着いたかな?と思っていたら、防護服を着て万全のウイルス対策をした医療スタッフ2人(男性)とニュージーランド航空の女性スタッフがずんずん近づいて来るのが見えた。

嗚呼、詰んだ。

心の声がそうつぶやいた。

とにかくこのご時世である。

体調に問題ありとと判断されて、別室に連れて行かれて、もう飛行機には乗れない……と絶望感に襲われる私。
この段階でもオットは「あれ?なんかゴーストバスターズみたいなのが現れたぞ。なんでこっちに向かって来るんだろう?」と思っていたらしい。本当にめでたいな!

バスターズの皆さんは先程の青年スタッフから報告を受けて、ムスメの様子を見に来たらしい。

再び事情を説明する。(酔い止め薬を飲ませたことも伝えた。)

ムスメの様子を軽くチェックしたバスターズの皆さんは「何か食べた方が(胃がそれを消化しようとして)薬の効きも良いから、何か食べるんだよ」と言い残して去って行った。

良かった……。何とか飛行機に乗って日本へ帰れることになったらしい。

まあ、無事に入国出来るかどうかはまだ未定なんだけど。(この頃の入国審査はめちゃくちゃ厳しかったのです……)

その④へつづく。

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