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お母さんは、ある作戦に子どもを使います。

お母さんは、仕事でよく会食というものにいく。

大体夜なので、私と弟は、お母さんのNPOで働くスタッフの人や、お友達に預けられる。

みんなすごく優しいし、作ってくれるご飯も美味しいので、私はお母さんの会食の日が、もっと増えればいいのにと思う。

でも、会食というものは楽しい時と、そうじゃない時があるらしい。

ママ「りあさん、今日の夜ママは、なぜか偉いと言われて、自分でも偉いと思ってる人たちと、仕方なくご飯食べて話したりしないといけないのです。ママ、大人だから。」

私「へー行ってらっしゃい。じゃぁ今日は誰が来るの?(私たちをみてくれる人)」

ママ「なので、ママ、今日は顔出す程度で早く帰りたいのです。」

私「うん。で、誰が来るの?」

ママ「なので、りあさんも恭ちゃんも連れて行きます。よろしくね!」

という時がある。

「預かってくれる人が見つからなかったので、連れてきちゃいました〜すみません〜。(と言いながら、ご飯はしっかり食べる)あっもうこんな時間!子どもをお風呂入れないといけないので、これで失礼します〜。」作戦だ。

私は、色んな大人と話すのが好きだし、会食では豪華な料理を食べれる時が多いので、別にいいんだけど、弟はお腹がいっぱいになると、すぐ飽きる。

それに、その作戦を実行する時は、お母さんが、あまり好きではない人たちとの会なので、お母さんは、大体怖い顔で早口で喋り倒す。

この間も

「…ひとり親家庭自立促進事業で、再婚を促す見合いイベントにどんだけ金かけて、力いれてんすか!就労支援、学習支援事業の問題点を放置して、あんなくだらない合コンみたいなのに、なんで私が宣伝協力しなきゃなんないんすか!むしろ、反論を新聞コラムで載せますよ。そもそも、ひとり親がひとり親であること自体が問題だと思ってるから、あんな不愉快な事業になるんですよ。再婚してひとり親じゃなくなってしまえば問題解決すると、安易に思ったのかもしれませんが、再婚なんてしたきゃ勝手にしますよ。そんな、お見合い話を勝手にもってくるお節介な親戚のおばさんみたいなことをするより、やりたい仕事に就けて、そしてそれを続けられる環境づくりの支援をするべきなんですよ。
だから、病児保育や就学支援の条件緩和とか、ファミサポの充実とか必要なんだって言ってんじゃないすか!議員なんだから自分の古くて凝り固まった考えを押し付けないで、視野を広げて学んでくださいよ!」

と、お母さんのいう“なぜか偉いと言われていて、自分でも偉いと思ってる人”に、かなり失礼なことを言っていた。

帰り道でも、家に帰っても、お風呂に入っても、お母さんは興奮と怒りが収まらず、私にずっとその話をしていたので、私は自然とこの手の事情に詳しくなる。

私は「そうだね」と言う時もあれば、「それはママの凝り固まった自己中な考え方だよ」と言う時もある。

そして、お母さんは、私の言うことは素直に聞く。

興奮して議論するお母さんは、めんどくさいけど、そこまで熱くなれるものがあるのは、幸せだろうなー。と、私は思う。

作戦の終わりに私が、「母が、なんかすみません。」と頭を下げて帰ったことを、お母さんは知らない。

私のお母さんは、本当に手のかかる変な人だが、助けを必要としてる人たちを助けようと戦う姿は、カッコいいとこっそり思ってる。

山形県に住んでいる小学4年生です。小説や漫画を読むのが好きで、1年生の頃からメモ帳に短い物語を書いてきました。今はお母さんのお古のパソコンを使って長い小説「皐月と美月の夏。」を書いています。サポートしていただいたお金は、ブックオフでたくさん小説を買って読みたいです。