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塩谷さんと「キングオブ銭湯」に行ってきた -銭湯図解日記-

銭湯再興プロジェクトのメンバーがお届けする『銭湯図解日記』。

(↑銭湯図解本の制作過程はこちらで発信しています。)

今回は10月3日に伺った、北千住の大黒湯(以下大黒湯)での銭湯図解本の取材同行メモになります。

今回担当するほしあゆむ(@ayumu_nwnhe)です。
僕の自己紹介については、以下の2つのnoteにて割愛させていただきます。


今回、伺ったのは、銭湯好き界隈で、
「キングオブ銭湯」と呼ばれる北千住の大黒湯(以下大黒湯)。

実は今回の取材同行が決まった時点で、僕は大黒湯のことを知らなかった。
そして「どうせ知らないのなら」と初めて見たときの感動を大きくするために下調べを一切せずに、キングオブ銭湯・大黒湯へ行くことにした。

「キング、キング言うけど何がキングなのよ、ほしくん」

前回の井手さん(@kei4ide)の取材同行メモから言葉をお借りすると、

「昔ながらの、懐かしい感じ。ちょっと昭和な感じ。レトロで味がある。」

大黒湯はこの銭湯のよくあるイメージの通りで、
なんなら「レトロで味がありまくる」くらいです。

photo by @gotashinohara

僕の言葉で表現しようと思いましたが、写真に全てを語られてしまいました。
そして更なる魅力は塩谷さんが銭湯図解本で語ってくれるので、そちらにお任せすることにします。

僕の役割は、銭湯図解本がどんな過程で出来上がるか、その一部を届けること。

ということで、早速取材当日の様子を時系列で振り返っていきます。


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今回の取材で大黒湯さんに頂いた時間は開店前の1時間。
この1時間の中で測量・撮影・店主さんの取材をすることになりました。

事前に打ち合わせをするということで、
塩谷さん率いる取材陣一行は12時に北千住のカフェに集合した。

打ち合わせはもちろん、
大黒湯行くの楽しみ!!トークから始まる。

「古き良き銭湯の代表格」
「言葉はいらない」
「厳かな雰囲気」

次々に大黒湯を形容する言葉が出てくる。
大黒湯についてなにも知らない僕は、
とりあえずニコニコしながらただ頷いて聞いていた。

話は変わって、
「以前来たときに、光の射し具合が綺麗だった」
ということで、光をどうやって撮るかという話になった。

「日の入りの時間は…」
「方角は…」
カメラマンの2人がなにやらよくわからない話を始めた…。

そんなこんなを話しているうちに、今回の取材の役割が、

・測定しまくる塩谷さん
・素材写真を撮りまくるカメラマン
・noteを書くために塩谷さんを追いかけ回す僕

といった感じに決まった。


カフェを出て、いざ大黒湯へ出発。
北千住駅から10分ほど歩いて、、

ついた!

銭湯好きにはたまらない外観のため、すぐに撮影会が始まる。

僕もそれっぽい写真を撮ってみる。(なんか違う)

約束の時間になり、いざ大黒湯の中へ!
お邪魔します!

ご挨拶をしたら、荷物を置いていざ中へ。

いくぞ!

手始めに湯殿を闊歩する塩谷さん。
この辺りから、テンションが上がりだす。

湯殿に入って「やばい!」
ペンキ絵を見て「やばい!」
露天風呂を見て「やばい!」
何を見ても「やばい!」しか口から出てこない。

ついに塩谷さんは「やばい!」以外の語彙を失ってしまった。

これは大黒湯がやばい銭湯-もちろんいい意味で-であることはもちろん、塩谷さんが銭湯オタクすぎて色んなポイントにやばさを感じてしまうからだ-と勝手に思った-。
取材のときはいつもこんな感じでテンションが上がるんだそう。


僕も一緒に「やばい!」を連呼していると、
塩谷さんはなにやら赤いビームの出る機械を壁にあて始めた。

齊藤湯、久松湯どちらの取材同行メモでも書かれていたが、これはレーザー距離計といって、これで壁と壁の間の距離を測定していくらしい。

すべてメジャーで測るものだと思っていたので、体育で使ったメジャーでも持ってくるのかと思っていたが、こんな文明の利器があったとは。

立ちシャワー、天井の高さ、浴槽など、
全ての面と面の距離を測っていく。

小さなものや測りづらい箇所はメジャーも使う。

色んなところに「やばい!」のコメントを添えながら、どんどんと計測を進めていく。

ここで塩谷さんが
「3cm高い!」
と一際大きな声をあげた。
なにがなんだかさっぱりなので尋ねると、

「他の銭湯では42cmのところがほとんどなのに、ここは45cmで3cm高い!珍しい!」

ということだそうだ。
これを聞いたとき、僕はそれはそれは驚いた。
というかもうちょっとひいた。

銭湯好きなら、カランの形、シャワーの形、桶の種類、などの違いにしばしば気づいてにやにやするものだ。(もちろん今回も塩谷さんは色々なものに反応しては、僕に教えてくれた。)

しかし、湯船のふちの高さが3cm高いことに気づく人はまずいない。
これは幾多の銭湯を取材、測定し続けてきた塩谷さんにしか気づけないポイントなのだ。
だから半年前に銭湯に興味を持ち始めたばかりの銭湯ビギナーの僕はもうちょっとひいた、のだ。
とにかく、塩谷さんは銭湯への愛と造詣が深いなぁと、そういう話。


その後も、サウナ、露天風呂と測定を続け、測定はものの20分で終わった。

測定を記録したメモはこんなかんじ。
なるほど、精巧な銭湯図解が生まれる訳だ。

その後は図解を描くための資料用の写真を撮る。(カメラマンが写真を撮るのは本に載せる用)

ここまでで30分が過ぎ、残りは30分となった。

ここから店主さんにお話を聞いていく。

「昔は○○湯という名前でね…」
「前はこっちにも池があって…」
「サウナは○○年前に入れて…」

大黒湯のあれこれを話してくださった。(このときだけカメラマンのカメラをお借りして撮影に夢中だったため詳しいお話の内容はメモできず…。)

そして取材は終了した。

終わったあとはもちろん取材陣みなさんで入湯。

入ると先ほど、服を着て入った時とはまた違う空気が流れていた。
当たり前ではあるけども湯殿には裸の人がたくさんいて、だからこそ流れている空気があった。しかし、裸の人を撮ることはできないので、この景色を写真に収めることはできない。つまりこの雰囲気を写真で伝えることはできない。

「あああああ、あの雰囲気をどうやって伝えたらいいんだあああああ」

と考えていていたら、銭湯図解が最も適していることに気がついた。
説明を加えるなら、

「銭湯図解は人も含めた銭湯の絵だから、銭湯の空気が一番伝わるものになっている」

という感じ。そして特に大黒湯のような、

「その場の空気が魅力的な銭湯は、銭湯図解にしか伝えられない空気がある」

と僕は思う。
僕が思うに銭湯の魅力は、全く知らない裸の人と空気を共有すること。だから、人を絵の中に描いている『銭湯図解』は銭湯の魅力を伝えるのに最も適している、と僕は思う。

そしてそんな大黒湯の銭湯図解の制作途中がこちら。


これに塩谷さんの言葉も添えられるのだから、それはそれは魅力が伝わるものになるに違いありません。
銭湯図解を通して、この銭湯図解日記を通して、大黒湯も含めた銭湯の魅力が読んでくれた方に伝わっていたら嬉しいです。

だが、しかし!!!
行かないとわからない魅力があるので、
銭湯行ってみて!というのが本音。

「銭湯でレトロな雰囲気を味わいたい」
という方はキングオブ銭湯・北千住の大黒湯へ!

今回取材にご協力いただいた、大黒湯さんありがとうございました。

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銭湯再興プロジェクトでは引き続き、塩谷さんの「銭湯図解本」の出版企画を通じて、世の中のクリエイティブでユニークな銭湯を、どんどんお届けする予定です。

これからの銭湯図解本マガジンもお楽しみに。


最後に塩谷さんが銭湯図解を書き始めたきっかけは?銭湯図解がどうやってできるかもっと知りたい!という方向けに記事を貼っておきます。合わせて読んでみてくださいね。





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