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『星読みのガイドブック』に寄せて。自由な想像力という星読みのスタイル。

星読みは人生を豊かにする手助けとなってくれます。欲しい物を簡単に手に入れたり、有名になったりすることではなく、自分のなかに見つける豊かさです。世界のなかに見つける豊かさです。

占星術の歴史は数千年ともいわれます。これだけ続いているのは、どこか不思議な力があるからでしょうか。たとえば『秘められたインド』(ポール・ブラントン著 / 日本ヴェーダーンタ協会)という本には、占星術に人の一生を見通せる力があると読み取れる記述があります。不思議です。占星術をおぼえたら、人生を思い通りにできるのでしょうか?

たぶん、そうではなさそうです。人生を知ることと、それを変えることは結びつかないからです。映画の上映前に、あらかじめ映画の台本を手に入れたからといって、映画そのものをいじることはできません。わたしたちは自分ひとりの台本で人生を生きているわけではなく、世界のすべての存在とひとつの映画をつくっているからです。

占いを通じて人生を知るのは、きっと本当の覚悟が必要です。変えることを願うためではなく、どんな出来事があっても正しい想いを生き続けるための心構えをもつためです。ひとつの家を用意されて、そこに住むことを要求されるようなものです。デザインや広さ、家具、装飾品のどれもが自分好みなら、そんな要求にも満足できるかもしれません。でも、屋根はなくガラスも割れているような家であったら、わたしたちはどう感じるでしょうか。運命として受け入れられるかどうかというと、やっぱり、むずかしく感じるのではないかと思います。

たとえば30代なかばで大きな病気になりますよ、と占いによって知らされたとき、病気が起こらないようにしたい、どうにかして変えられませんかと望むのなら、人生を見通す占星術には近づかない方がいいのかもしれません。こうした星読みの根幹には、神への信仰がひとつとなって結びついています。病気がやってくることも神のあたえてくれた定めであり、それを乗り越える勇気をあたえてください。頑張って乗り越えますと誓うことができなければならないからです。

もっとも、わたしたちが一般に目にする占星術の知識では、人生のすべてはおろか、ひとつの出来事を当てることもむずかしいと思います。何十冊という本を読んで感じるのは、読み手ごとの特徴が色濃く表れているということです。つまり、わたしたちが知ることのできる占星術の知識は、それぞれの読み手によるアート作品のようなものといえるかもしれません。そこから学べることは、何かを当てるための緻密な方法ではなく、星読みから発想できる多種のアイデアだということです。

かりに当てる占星術を見出すことができたとしても、信仰の不在にあっては個人的には意味をなさないかもしれません。逆に不安になるかもしれません。わたしたちは、ほんとうは当たることではなく、自分好みであることを期待しているのかもしれないからです。星読みのこたえに信仰ではなく重たい鎖を感じるのなら、あえてやらない方がいいと思うのです。

それでも当てる技術をひとつの目的とし、科学的な探求のように互いに研究を高めあうことに意味を見出せる人はいるかもしれません。この場合、あらゆる科学がそうであるように、人類への献身的な想いである必要があると思います。

星読みの2つの方向性

星読みは2つの方向性をもつことができます。ひとつめはここまで書いてきたように、当てることに結びつけられたものです。

もうひとつの星読みは、わたしたちのずっと近くにやってきてくれます。1、2年くらい、誰でもできて、読むたびに役立てられる星読みの方法はないだろうかと考えていました。これだなと感じるアイデアは、とても単純なひとつの条件「当てることを放棄する」ことでした。アイデアのヒントとなったのは、占星術に対する心理学者ユングの考え方です。これだけで、星読みは誰にとっても役立つ力を発揮してくれるようになります。

当たりはずれでとらえず、自由な想像力のきっかけとするのです。広大な中から1点を探すことはむずかしくても、1点をスタートにして自由に広大な中を探究することはむずかしくありません。世界に1羽だけ存在するかもしれない黄金の鳥を探すのと、散歩のなかでどんな生き物を見つけられるだろうといった違いです。むずかしい知識を要求されることもありません。また失敗もなく、いつでも何らかの発見をすることができます。ひとつ要求されることがあるとするなら、あらゆる発見のなかに豊かさを見るための想いです。

もしかしたら、「星読みがなくたって自由に想像することはできるのだから、そんな星読みならあってもなくても同じじゃないか」というふうに思うかもしれません。わたしもその通りだと思います。自分の内側にある可能性や素晴らしい想いを、自分の想像力だけで育むことができるのであれば、星読みという遠回りをする必要はまったくありません。実際、たくさんの学びをあたえてくれるのは星読みの中にあるものではなく、世界の中にあるものです。つまり、星読みは、そうした学びへといざなうための意欲的なきっかけづくりということです。

自分で星を読むこと

自分自身で星読みをすることのメリットはいくつかあります。たとえばお金をかける必要がなく、毎日でも、1日のうちに何度でも星読みをすることができます。もしも自分や世界を素晴らしくする方法を考えたり、自分自身のことを深く見つめるためにつかいたいと思うのなら、そのためにどれだけの時間をかけることもできます。

また、読みかたを強いられることもなく、自分の想いに沿ってすすめることができます。星を読むことが誰にとって大切なのかといえば、まずは、わたしたち自身です。わたしたちが自分の中に輝きと喜びを見出すことができれば、それはきっと世界にとっても喜ばしい出来事です。

自分自身の想いは、自分自身が誰よりも深く見つめることができます。星読みを一度きりのこたえのように考えるのではなく、読むたびにヒントをあたえてくれる本のように、何度でもちがった発見ができるものだと考えてみてください。わたしたちは、わたしたち自身の考えにしばりつけられる必要もありません。

星読みが何に役立つか

星読みが豊かさを見つけるのに役立ってくれることは確かです。でも、具体的に何に役立つかというと明確なこたえはありません。ひとりひとりの気づきとしてやってくるものは、それこそ読み手の数だけあるからです。それでも、いくつかの考えを述べるなら、

  • そのままの自分を肯定的に受け入れる。

  • 自分の欠点を直視することを許せる。

  • 完璧主義を手放す。

  • 自分の行動力への後押しとなる勇気をもつ。

  • 他者に対する寛容さ。

  • こころざしを維持する。

  • 創作のアイデア。

  • 人々とのつながり。

こうしたことがあげられます。
実際に星読みと関わって、自分のやり方で読むことで、もっとたくさんの素晴らしいものを見つける可能性も十分にあります。

自由に想像力をはたらかせる星読みに関心があるのなら、ぜひ、いちどやってみてほしいと思います。自分でする星読みの力を、わたし自身が実感しているからです。占星術の知識そのものは、たくさんの本が簡単に手にはいります。また、わたし自身がつくった『星読みのガイドブック』もnoteで販売しています。サンプルも用意してあるので気に入ったら手に取ってみてください。星読みが、やさしい想いや愛の芽生えとなってくれることを願っています。

# 以下、『星読みのガイドブック』販売記事へのリンクです。


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