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一月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part4

part1 part2 part3 part4 part5 結果速報

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。

【1月のテーマ】
作中に必ず『雪』という文字を入れる。

1月31日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、各月の受賞作などは下記をご覧ください)

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応募作(1月20日〜26日・投稿順)

ヒトシ(サイトからの投稿)
「雪の日の奇跡」
その日の朝一面の雪景色が世界を変えた。欲望に駆られた街は小さなしるしにも心を満たし、孤独な群衆は微かなぬくもりにも笑みを交わし、人を羨まず、昨日を嘆かず、明日を憂えず、いまこの時を心から尊び、暖かな夢を紡ぎ続ける。一年で一番寒い季節に始まる物語。僕たちは奇跡の時を生きていく。
逝き急ぐ野良猫 @noraneko_de (サイトからの投稿)
大寒だって。そうぬくぬくとした炬燵でアイスを食べながら呟いた彼女の視線は窓の外で。
つられて顔をそちらに動かそうとしたら、ん。とスプーンを差し出される。一口大の、雪のように白くて甘い儚い甘味。ありがと、そう言ってから素直に口にする。
どう?聞いてきた声に次は抹茶でと私はこたえた。
那岐(サイトからの投稿)
朝は冷えるからと窘めても、旦那様は聞いて下さらなかった。雪で滑らないよう注意を促しても「お前が急ぐからだろう!」と唇を尖らせる。足元はぶかぶかの革靴。…なるほど、大旦那様の靴ではさぞ歩きづらかったことだろう。思わず吹き出した私につられて、旦那様も笑った。もう何年も前の、昔の話だ。
紅太郎(サイトからの投稿)
私の中の貴方は横顔ばかりだ。私が貴方をどれだけじっと見つめても私の方は見向きもせずに窓の外ばかりを見ていた。貴方がいなくなって、外を見るようになって、貴方が春は蝶々、夏は蝉、秋は蜻蛉、冬は雪を見ていたことを知った。貴方を失って私はだんだんと貴方に近づいている。
柊らし(サイトからの投稿)
雪はしかたなく結晶した。ずっと空にいたかったのに、雲が許してくれなかった。(私はどんな風に降るんだろう。粉雪?綿雪?ぼた雪はやだな)降下の瞬間、隣の子が「どきどきするね」と囁いて手を握ってくれた。墜ちる。黒い風が唸る。雲間に町の灯がきらめき、雪は思った。きれい。
鳥谷(サイトからの投稿)
 その日、湖には雪が積もり、パン生地の様に平らになっていた。
「うわー、きれいだ」
 彼女が言う。後ろの私は外套に首を埋める。構う事無く彼女は走って先へ行く。ふっと、光で目がくらんだ。
「あっ」
 高い声が上がった。
 私は一度瞬きをする。目の前に彼女はいなかった。
 春になるまで見つからなかった。
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