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十一月の星々(140字小説コンテスト第2期)応募作 part5

part1 part2 part3 part4 part5 結果速報

月ごとに定められた文字を使った140字小説コンテスト。

十一月の文字「書」は11月30日をもって締め切りました!
(part1~のリンクも文頭・文末にありますので、作品の未掲載などがありましたらお知らせください)

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(不定期でマガジンメンバーの記事が配信されることがあります)

そして十二月の文字は「光」です!
応募方法や賞品、第1期の記録などは下記をご覧ください。

応募作(11月26日〜30日・投稿順)

キジトラ(サイトからの投稿)
日記に「気持ち」は書き記さない。生々しい本質が残るから。イツドコデ何ヲシタ。ただそれだけの乾いた文字は、私の中を通過してきた物語の化石。いつか誰かがそれを読んでも、かつて骨の隙間を埋めていた血や肉や意思の気配を、行間に感じ取ることはきっとない。私だけが、私の想いを引き連れて歩く。
尾生弓太郎(サイトからの投稿)
書道教室を辞めたいと言ってきたあなた。続けなさいと返したわたし。腹いせにまだ墨の乾いていない筆を壁につけようとして、止めなさいと言われたあなた。制止の声に後押しされるようにちょんと筆先を壁につけた。本当はやるつもりなかったのに、そう言ったあなたは今でも教室に通っている。
尾生弓太郎(サイトからの投稿)
書くことと走ることは同じことです。むかし誰かがそう言った。意味がありそうで意味のなさそうなフレーズはこの世にいくつもあって、でも結局意味のないことに意味があって。そんなあべこべなことをしたり顔で言う、そういう大人に私はなりました。あなたはどういう大人になったのでしょう。
尾生弓太郎(サイトからの投稿)
書き初めをしたのが小学校六年生の時で、それがそのまま書き納めになった。正座をしたのもそれっきり。筆を持つだけで凜とした気持ちになる。その感覚をもう一度味わうために、デパートで筆と墨と硯と文鎮を買った。会計をしてから和紙を買い忘れたのに気付いたけど、もうそれで満足していたわたし。
雨雪(サイトからの投稿)
気がついたら朝だった。・・・わからん。懐にはちびペンギンとちびラッコが大の字で開きになって寝ているし右手には伴侶が転がっている。昨夜はなんでもいいから読めとせがまれて決算報告書を音読していただけだというのに。起き抜けの伴侶がいう。子供体温てよく眠れるんだよねぇ。それか。
雨雪(サイトからの投稿)
日ごろ上背よりも長大な荷物を背負っていると職務質問を受ける。竹刀か?弓か?ファゴットか?要するに武器かと疑われているわけだ、ウケる。そこでキャリーバッグから中身を引っぱり出す。カバーを放り投げて現れたるは真白な白馬尾の穂先、黒軸の「筆ーっ⁉」宙に乱舞する一筆書きの軌跡!ウケる!
ヒトシ(サイトからの投稿)
書いておこうと思った。たとえば敷き詰められた落ち葉のほんのりとした暖かさを。たとえば木々の年輪にくっきりと刻まれる厳しい寒さを。たとえば冬枯れの枝に始まる新しい芽吹きを。たとえば沈黙した森に響く陽射しが降り注ぐ音を。せめて言葉を超えたものがあるということを明日も覚えておくために。
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