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六月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part2

part1 part2 part3 part4 part5 結果速報

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。

【6月のテーマ】
作中に必ず『雨』という文字を入れる。

6月30日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、各月の受賞作などは下記をご覧ください)

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応募作(6月6日〜12日・投稿順)

白石慎(サイトからの投稿)
夕立の匂いがする。一息の間に世界は空五倍子色に塗り変えられた。
目を瞑り深呼吸をすれば肺まで染めあげられて、私は夕立の子ども。周りを見渡すと蛋白石色の雨粒たちがゆらゆらと笑っている。落ちているのか、昇っているのか。それは海中を漂う泡のよう。夕立の庭の中、私たちは永遠の一瞬を遊ぶ。
ササキ(サイトからの投稿)
雨が降るのがおそろしい。おそろしいから見てしまう。大窓のガラスを雨粒が叩くので、起きだして、海に雨の降るのを眺めていると、海は、月もないのに薄明るく波が寄せ、雨が降っていて、おそろしい。恋人が僕を見つけて肩を抱く。大丈夫、大丈夫だよ、雨が降っているだけじゃないか、ただ雨が……。
白石慎(サイトからの投稿)
私は残存する雨糸を求めたが、とうとう見つけられなかった。それは僅かな摩擦で断ち切れ、辺りの空間に融け消えてしまうほど脆く儚い。その繊細さ故に自身の形ですら留め得ないのだ。また、原料に適した質の降雨が減り技術の継承もままならなかった。そうして職人たちまでもが絶えて久しいのである。
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