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七月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part3

part1 part2 part3 (本記事) part4 part5 結果速報

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。

【7月のテーマ】
作中に必ず『海』という文字を入れる。

7月31日までご応募受付中です!

投稿作品(7月11日〜17日)

7月11日〜17日にご応募いただいたものをpart3として投稿順に掲載しています。
(作品は順次別記事にて公開してまいりますので、よろしければフォローしていただきお待ちください)

ヒトシ(サイトからの投稿)
「磯浜のおばちゃんち」で水着に着替えて、浮き輪を抱えて細い路地を抜けると、突然目の前に海が広がる。魔法のようなその景色が好きで、子どもの頃は夏休みが楽しみだった。あの日大津波が全てを流し去って、海は高い壁で見えなくなったけど、今でも僕はあの場所に少しも迷わずたどり着く。
ジュール(サイトからの投稿)
海の絵を画用紙に描きなさい。
夏休みの宿題、最難関。僕は盛大に溜息を吐いた。
海。
見慣れたものを描くのは退屈だし、何か奇を衒うような……。──そうだ。
僕は昨日の夜に食べた、季節外れのあんこう鍋を思い出した。
「海が青いって誰が決めたんだ?」
深海の色を探して、僕はパレットを開いた。
林 保彦(サイトからの投稿)
波の音が聞こえてくる。
私が暮らすトタン屋根のあばら家では熱も逃げない。その為納涼の慰みとなるのはチリンと揺れる風鈴と海から響く波の音くらいであった。
「今夜祭りがあるようですよ」
部屋を訪れていた友がポツリという。
私は言われてようやっと気付いた。今年も夏がやってきたのだなと。


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