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五月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part5

part1 part2 part3 part4 part5 結果速報

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。
5月の文字「本」は5月31日をもって締め切りました!
(part1~のリンクも文頭にありますので、作品の未掲載などがもしありましたらご連絡ください)

【月々の星々賞】
一席、二席、三席の3賞+佳作7編(計10編)
一席、二席、三席の方にまんまる○さんによる活版印刷の特製賞状(手書きのお名前入り)を、一席の方にほしおさんの活版カード5枚セットを贈呈

受賞作の速報はnoteやTwitterでお伝えするほか(6月20日夜を予定)、星々マガジンをフォローいただくとhoshiboshiメンバーの記事とあわせて更新のお知らせが通知されます。

そして6月の文字は「雨」です!
応募方法や賞品、各月の受賞作などは下記をご覧ください。

応募作(5月27日〜31日・投稿順)

ササキ(サイトからの投稿)
移動図書館は一定の周期で軌道上を雲航している浮島で、この草原での停泊は私が司書連に加わってから二度目、十五年ぶりのことだった。貸出、返却、寄贈。子供の頃に借りた本を返却に来たという青年。異国の人に届くだろうかと祖母の日記を寄贈した女性。各々借りた本を抱き、島影に手を振る子供たち。
青木ポンチ(サイトからの投稿)
妻と結婚して十数年。これほどまでに違う生き物なのか、という驚きはいまだに絶えない。私が貸した本に色鉛筆で何やら書き込む、までは驚きに値しないが、やおら鼻をほじり、指先の糞を本になすりつけた瞬間を目撃した私には、もはや鼻糞星人なのだと言い聞かせるしか術はなかった。
一葉(サイトからの投稿)
じいちゃんが蔵書を読み直している。読み終わった本は処分していくらしい。
「最後の一冊を読み終わったらわしの命も終わるのだ」
『最後の一葉』みたいな事をいうから心配で、「残り少ないの」って聞いてみた。
そしたら「あと3458冊」だって。よかった。
蔦の葉を描く役目は当分いらない。
青木ポンチ(サイトからの投稿)
人に貸した本は、返ってこない。思い起こせば自分も、人から借りた本を返していない。大して興味のない国の、大して興味のない歴史や文化の本だったりする。売るか捨てるかしたいけど、できない。しかも、今さら返せない。こうして僕の本棚は、大して興味のない本が勢力を拡大している。
ササキ(サイトからの投稿)
前文明の人々の日記を翻訳している。それが彼らの習慣だったようで、はじめてペンを持てるようになった日から日記をつけ、死ぬと、それを図書館に納めて墓標としたという。死者の遺した本は死者と同じものなのだろうか? 膨大な量の彼らを訳しながら、僕はなんだか空恐ろしいような気がする。
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