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2021年の始まりに考える20年

2020年は、慌てふためいた。とは言いませんが、思ってもみなかった世界的な変化の濁流に直面し、目の前の変化に自分を適応させることに精一杯だったというのが終わってみての正直な感想です。

2020年の始めにnoteを始めました。
その際に私の三つの活動領域というものを書きました。
https://note.com/hosai16/n/ne5f8f84d02cd
振り返ると、この活動領域を指針として、慌ただしく変化に対応しながらもブレることなく、その変化を受け入れながら進んで来れたように思います。
ただ、やはり近視眼的であった部分も大きく、2021年も目先の1年を考えるとまだまだ不確実性の大きい年で、臨機応変に自分や朝日焼の在り方を考えていかなくてはと思いますが、逆に短期的なスパンではなく、少し先に目線を持って生きていきたい。という思いが強くなりました。

おそらく、それは自分の年齢的なことも大きいと思います。
1980年に生まれ2000年に二十歳。2020年に40歳になった私は、今年が41歳。
大人になるまでの20年。
大人になってから自分の仕事を身につけてきた20年。
もちろん、これからも学び努力して進化していかなくてはなりませんが、やはりこの先20年を考えると、自分がどうなるかということ共に、自分がどう社会に影響を与えていけるのか。
そんな視点が強くなって来ました。
年齢的な節目と、コロナ禍という時代の変化のタイミングが合わさったことで、より一層、社会的な自分の役割というものを強く意識します。

陶芸家というと、人里離れた場所で、ひたすらに焼物を作ることに打ち込む。というイメージがあるかと思いますし、そういった姿勢や在り方も大事ではあると思いますが、自分の場合は四百年続いてきた朝日焼。というものを考えた時に、自分だけ。あるいは継承してきた松林家だけのものであるとは思えず、常に社会的存在意義を有していたからこそ、いつの時代にも存在を許され、続いてきたのだと思っています。

過去から続いてきたからこそ社会的役割を果たさなければならないし
未来へ続いていくためにも社会的役割を果たさなくてはいけない。

そんな風に思いながら、器を作る仕事をしています。
では、この20年間で自分はどういう社会を作っていきたいのか。
大それた言い方ですし、おこがましいことこの上ないですが
あらためて
 「茶」
 「工芸」
この二つが、人間の本質的な豊かさを増すと信じていますので
この二つが、社会の中で今より大きな存在となることを目指します。
特にコロナ禍という中で、人の心の拠り所として「茶」そして「工芸」の可能性というものを自分で実感しました。
自粛期間中、茶を点て、茶盌で飲むという行為と時間に自分が救われることを感じました。
*自粛期間中に提唱した#not_drink_tea_aloneについてはこちら
 https://note.com/hosai16/n/n236acfd2249f

「茶」や「工芸」が今よりも社会の中で大きな存在になるために必要なことは、何か。
それは、「層の厚み」と「多様性」だと思います。
物事を深めていくうえで、マニア的な特殊性というのは大きな力を持ちます。しかし一方でそれだけでは社会に与えるインパクトは限定的ですし、一部の集団、階層だけで楽しまれる文化というのは弱さを持っていると思います。少し変な例えかもしれませんが、ブラジルはサッカー王国と云われます。特に詳しいわけではないですが、多くの世界的なスター選手を輩出する一方、サッカーが国民的な存在であるが故、ストリートからアマチュア、地域リーグや一流のクラブまで多くの立場、カテゴリーが存在してブラジルサッカーの厚みを作っていることは容易に想像できます。
スポーツと、茶や工芸を同じように語ることは出来ないかもしれませんが、茶や工芸もある時期、非常に厚みのある存在でした。
日常茶飯事と呼ばれる程に、茶は身近である一方で、高級な茶葉が流通し、文化度の高い営みとしての茶の湯が数百万人という単位で親しまれて来ました。工芸も身の回りの日常品にもあふれ、匠の品にはリスペクトが払われ、伝世品や特別な品はアートのような扱いを受けます。
しかしこの数十年という期間では、それらはどんどんと厚みを失い、一部の人たちのもののみが存在感を保ちつつも衰退してきたように思います。
ところがこの数年、少なくとも私の実感としては、この厚みにつながるような萌芽が「茶」「工芸」ともに見えて来ているのではないでしょうか。

旧来の価値観的な、普及品と高級品。という単純な図式ではない
多様で、様々な場面、嗜好でも親しまれていく「茶」や「工芸」

私は、自分が器を作ること。
そして作ることと同時に行っていくこと。
によって、この「厚み」と「多様性」が増していく状況を作りたい。
そのことがきっと、より佳い
より豊かな社会に繋がると。
強く、そう願って、その為に進んでいきます!
共感して頂いた方、ぜひ一緒にやりましょう!!!

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