茶盌鹿背001

朝日焼十六世窯元の頭のなか *自己紹介

茶盌(ちゃわん)を作る人間が、何を考えてモノを作っているのか。
普段、作りながら、作る前、作った後に考えていることを言語化してシェアしていく。

その為に、2020年、noteを始めます。

まずは簡単に自己紹介。

私は京都、宇治で400年続く朝日焼というお茶の器を作る窯元の16代目の当主です。朝日焼は慶長年間から茶道のための抹茶茶盌(わん)。そして、日常的なお茶の道具としての急須をはじめとした煎茶器の二つを中心に陶器や磁器の器を作っています。

陶芸家。工芸作家。職人。どれも自分の仕事を表していますが、100%自分の仕事を認識してもらう言葉を見つけるのは難しいです。

世間的にイメージされる陶芸家(作家)として、作品となる茶盌をはじめ茶の湯に用いられる器を中心に作品づくりを行い、全国のデパートの美術画廊で個展を行ったり、海外で作品を発表したりします。

朝日焼には私以外に4人の作り手(職人)がいて、私の作家としての作品以外に朝日焼として生み出される器の制作を担いますが、窯元として、その制作を監修し、工房が朝日焼らしい器を生み出すことが出来るようにします。朝日焼として自分たちだけで作る場合もあれば、デザイナーやアーティスト、ブランド、企業とコラボレーションすることで新たな価値を生み出すことに挑戦することもあります。
デンマークのデザインスタジオOeOや、京都のSferaとの仕事。ルイヴイトンとのコラボレーションや、Panasonicとのプロジェクトなどです。直近では、昨秋オープンしたパークハイアット京都のKyoto bistroの器をすべて朝日焼でプロデュースさせて頂きました。

また、自分たちの制作のバックボーンにある茶の湯をはじめとしたお茶の文化を通して、価値観を共有すべく、世界中さまざまな場所で、いろんな形で茶会、お茶のデモンストレーション、ワークショップを作品の発表とともに行います。
もちろん日本でも、昨年の10月にはDesignartの期間中に渋谷のHotel koeでの川上シュン氏とコラボレーションした茶会形式の展覧会という試みをしたり、毎年、11月には松露会という茶会を催しています。

朝日焼十六世 松林豊斎(まつばやし ほうさい)とは何者なのか。
少しご理解いただけたかもしれませんが、こういう陶芸、茶、工芸という領域で様々な形で自分なりの思い、考えをアウトプットしています。
自分が何を考え、何故そうしているのか。
アウトプットのほとんどは作品、器という形で世の中に出ますが、それに触れる人はごく僅かな人たちなので、自分の考えていることをちゃんと言葉にしてnoteに書くことで、普段、陶芸や工芸に触れる機会が少ない人たちにも知っていただいたり、またそこから言語でないモノの部分に興味を持ってもらいたいなと。

また普段の、制作では、ほとんど考えは抽象的で頭の中でめぐった後、言葉としてはアウトプットされないものですので、それを言語化することで、自分の考えをさらに前に進める原動力にして行きたいなと思ってnoteをはじめます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?