003 | 生きてさえいれば
本当にいい本だった。間違いなく、私の中の印象深い本のうちの一冊となるだろう。
銀河鉄道の夜の「ほんとうの幸」という単語が度々出てくるのだが、それとともに思い出すのは銀河鉄道の夜のこの一節。
この本の最後の方で、主人公の姉が言う台詞は、著者の上記の一節の解釈なのかな、とそう感じた。
この本の著者の方は、『余命10年』という、フィクションでありながら自己の体験をもとにした本を書かれた後亡くなっており、『生きてさえいれば』は没後見つかった遺稿である。
その著者が書くからこそ、タイトルである「生きてさえいれば」の重みが伝わると思う。
この本も主人公は病気におかされている。しかし、とても前向きなのである。
上記で引用した『銀河鉄道の夜』の一節は私が大好きな一節で、もちろん死にたい真っ只中にいたときには私はそんなこと言われても、、、と思っていただろうが、今は、本当にそうだなと思う。
辛い時間も無駄ではない。ジョバンニの言うように、峠の上り坂でも下り坂でも、幸せに続いている。そう思う。
『銀河鉄道の夜』を再読したくなる、そんな一冊だった。