「日本人は謙虚、欧米人は自信家」からわかること
160カ国中EQが最下位の国、日本。
(2019.1)
はじめに
ダニエル・ゴールマン氏がEQを提唱してから
およそ30年が経ちます。
ゴールマン氏は『EQ こころの知能指数』で
EQが注目された理由の一つを
「思いやり、自制、協力、調和を重んじる」など
世界が日本的価値観に気づいた徴候、と言っています。
しかしながら
Six Secondsが開発したEQテストによると
日本は160の国や地域から受検した人々のなかで
EQスコアが世界最下位という結果になっています。
この結果について、6年以上EQを
研究し実践・発信している私の視点から
見解を述べさせていただきます。
まず、私の感覚では、日本人のEQが低い
という認識はありません。
どちらかというと、社会的認識、関係管理は
世界的に見ても高いと思っています。
しかしながらこのような結果になっているのは
いくつか理由があると考えています。
その中で個人的に思う2つを、ここではご紹介します。
①日本人は謙虚である
これは少し前のデータですが
世界各国の中学2年生を対象に
下記調査を実施したデータがあります。
A.数学に自信がありますか
B.実際の数学の学力
Aでは、14カ国中最も自信があると答えた
生徒が少なかった日本人ですが
Bでは、上から5番目の結果となっています。
このデータから、日本人は(若い頃から)
実際の自分の能力よりも
自分の能力を低く見積もる傾向がある、と言えます。
同時に、欧米人は実際の自分の能力を大きく見せる
自己効力感の高さがあるとも言えます。
②日本人は利他的である
パンデミックが過ぎてから
少しの時間が経とうとしていますが
我々は幾度となくほとんどの人が
マスクをしていましたね。
実は、2014年のギャラップ社での調査では
日本人は最も社会的援助をしない人種である
という結果になっています。
これも先程の数学のデータと同様に考えてみると
自分は利他的だと思っているのと
実際に利他的な行動をしているのとでは
異なる可能性がある、ということが言えると思います。
確かに、日本人の多くが集団主義的な圧力で
マスクをつけていた可能性は否めませんが
それでも結果的には利他的な行動をしていた
と言えます。
マスクをする割合が低かった欧米人は
本当に利他的と言えるのでしょうか。
日本人の高いEQの要素
ところで、EQは4つの能力に分けられる
と言われています。
・自己認識:
自己の感情を理解し、それらが自分の思考や行動にどのように影響しているかを把握する能力。
・自己管理:
感情を適切に制御し、ストレスや困難な状況下でポジティブな行動を取る能力。
・社会的認識:
他者の感情、ニーズ、懸念を察知し、組織や社会の動向を理解する能力。
・人間関係管理:
良好な関係を築き、保ち、他者と効果的にコミュニケーションし、チームワークやリーダーシップを発揮する能力。
日本人を謙虚、欧米人を自己効力感が高い
と仮定すると、これはどちらも
社会的認識、人間関係管理において
そういう結果が出ている、と言えます。
日本人の場合、例えば誰かに
「可愛いね」とか「かっこいいね」とか
言葉で伝えると、多くの人は
「いえいえ、そんなことないです」と謙遜しますね。
これは、社会的認識、人間関係管理において
謙虚さを発揮していると言えます。
しかしながら、実際に自分が可愛い、かっこいい
と思っているかどうかはわかりません。
自己認識では「俺はかっこいい」と
思っているかもしれませんし
誰かにブサイクと言われても「私は可愛いから」と
自己管理しているかもしれません。
欧米人の自己効力感においても同様です。
他人と接するときは自己効力感が高いかもしれませんが
実際は、自己効力感が低いという自己認識があって
それを変えたいと思って自己管理して
そう見せているかもしれません。
日本のEQが低い理由
では、それほどEQの高さに違いはなさそうなのに
なぜ日本のEQは低く出てしまっているのか
ということについてですが
これは尺度の違いだと思います。
欧米では、自己効力感が高いことが善とされていて
日本では、謙虚であることが善とされている。
ただ、EQはそもそも欧米で提唱された概念なので
EQの高さを測る場合、自己効力感の高さの方が
謙虚であることよりも得点が高い
とされている可能性は
大いにありうると思います。
もし日本人がEQを提唱したとして
謙虚さがEQにおいて重要な指標となっていた場合
日本はEQのスコアにおいてかなり上位にいる
と考えに行き着くことは容易です。
これが、日本人は決してEQが低いわけではない
と私が推察している理由です。
最後に
幸福度についても
これと同様のことが言えると思います。
日本は幸福度において
47位とG7中最下位の順位です。
しかし、アンケートに幸福と答えているかどうかと
実際に幸福かどうかは別物です。
実は幸せな日本人
これは、私から皆様へ
改めてお伝えてしておきたいことです。
先程の社会的援助のデータを初めて見た時
私はかなりショックを受けた記憶があります。
「日本人はこんなにも排他的なのか…」と
私はEQに辿り着く前
日本人は平和ボケしている
という風によく思っていました。
(茹でガエル状態、と言うのが適切でしょうか。)
と言うのも、世界ではまだまだ
貧しい暮らしをしている人たちが大勢いる
ということに、大学時代の研究で知らされたからです。
私たちは彼らを援助せず、こんなにも恵まれた環境下で
あれが足りない、これが足りないとなぜ言えるのか。
彼らの前で、そんなことが言えるのかと
自分自身に自問自答して
こんな状況をどうにかしたいと思い
専攻外の開発経済学を研究しました
(専門は流通・マーケティングです)。
思い返せば、EQを研究し実践、発信しているのは
自分自身がどれだけ幸せなのかを理解して
その幸せの余剰を、他人に分け与えられる人が増えたら
巡り巡って、世界中の人が幸せになるんじゃないか
と感じたからかもしれません。
日本人は世界的に見て、圧倒的に幸せです。
裕福な人は上に確かにたくさんいますが
それ以上に我々より貧しい人はごまんといます。
それを一度考えた上で、もう一度
自分自身が幸せなのかどうか
を考えてみて欲しいです。
そしてできることなら
その幸せのワイングラスを
中身を溢れないように生きるのではなく
幸せが溢れるように、人生を捉えて
溢れてしまう分は誰かに分け与えられる
そんな素晴らしい人格者になって欲しいです。
私自身はまだまだ未熟者ですが
これを私は善として、これからも生きていきます。
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