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【思い出①】甘いものに飢えていた ~ ヤクルトとカルピス 佐賀の祖父母宅で

ともかく甘いものに飢えていた。

うちは2つ上の兄と二人兄弟なのだが、長崎の実家では、まず甘いものにありつく可能性は無い。
角砂糖を盗み食いするぐらいのものだ。

その頃元気だった祖父母宅は、佐賀の田んぼの中の一軒家。

夏やすみともなると、厄介ばらいのためか、兄弟だけで汽車に乗り、その祖父母宅で過ごした。

田舎ぐらしは、周りに牛や豚はいるし、セミも取り放題、クリークのザリガニも釣り放題で楽しかったのだが、やはりここでも甘いものにありつくことは難しかった。

そこで我ら兄弟がまず狙いをつけたのが、宅配のヤクルトである。

もちろん、祖父母だって「ハイ、飲まんね!」などと言ってくれるような今時の優しい祖父母とは違う。
「実力行使」するしかない。

①まず早朝。兄と二人で外の宅配ボックスにあるヤクルトを持ち出し、屋根の上にあがる。

②容器のふたである銀紙を、汚くならないように、そっと開ける。

③その銀紙が覆っている「レベル」までの上の方のヤクルトを兄弟で、それこそ一口ずつ飲む(というか舐める)

④また銀紙を戻し、ボックス内に戻しておく。


我ら兄弟の中では、完全犯罪のつもりだったが、今思えばバレていただろう。
それでも、「じゃあ飲んでいいよ」と言われるようなことは無かった。

次に狙いをつけたのは、カルピスだ。

田舎の家では、法事なども頻繁にあるので、来客用にカルピスが買ってある。
今のような、そのまま飲むタイプではなく、濃い原液を希釈して飲むというものだ。

普段、けち臭い親戚も、法事の日ぐらいは多少寛大になったのか、我ら兄弟に、「一杯ずつ飲んでいいよ」と言う。

そこで、コップの2分目くらいまで原液を入れて、希釈して飲めばそれで終わりなのだが、我ら兄弟は、そこでも頭を絞った。

①まずカルピスの原液を、コップ4分目くらいまで注ぐ。

②下の原液を掻き上げないように、そっと水を(もちろん水道から)注ぐ。

③決して混ぜたりせず、そのまま上澄みを7割くらい飲む。多少薄いが、十分甘いカルピスを楽しむことはできた。

④残った3割ほどの液に、再び水を、今度はなみなみ注ぎ、よく混ぜる。

と、こうして「実質2杯分の」カルピス奪取に成功していたのである。


今となっては、兄弟が(いやでも結託して)仲良かった懐かしい時代である。


ヤクルト


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