『 わ、びっくいした~ 』(大村市)
ごめん、ごめん。ビックリしたね? タロのシンちゃんば見つけてからさ、いちもくさんに走ってきたとよ。
シンちゃん、今帰りね。なん、カタツムリば見つけたと? ふ~ん。
でもシンちゃん、カサの骨のはずれて、ズボンもドロだらけやかね。
帰りがけ、いろいろ遊んできたとやろ?
・・・でもシンちゃんはあそびの天才やもんね! こないだも「にんじゃのしゅぎょう」とかゆうて、雨水の落ちよるとこで遊びよったやろ?
ばってん、こがん日は早う帰って、家ん人ば安心させんばばい。ほい、ねえちゃんとタロと早う帰ろうで・・・。
◇
行事の日の雨ほど水をさすものはないが、教師時代、楽しかった雨の思い出がある。
島の学校では年に一度、全校キャンプがある。
全校生徒、自転車に乗って海岸にあるキャンプ場へ行き、テントでねるのだ。
ある年のキャンプの真夜中、大雨がふってきた。たちまちテントの中まで水びたし。
生徒たちはすいはん場へにげこんだ。これじゃねられん!ということでバスにむかえに来てもらい、学校の体育館でねることになった。
全校生徒が体育館に「ざこね」だが、かれらがおとなしく、ねるはずがない。
「先生、なんか話、してくれ」
「よし、じゃとっておきのコワか話ばしてやる」
ということで、私のまわりを生徒たちが取りかこんだ。
男子も女子も暗やみの中でキラキラと目をかがやかせている・・・。
教室の中では、けっして見れない顔ばかり。
すべては雨のおかげだった。
生徒たちがねむった後、午前3時に職員会議・・・。
けっして忘れられない思い出である。
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