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#59すべての人にとって最も強力な感情とは~馬との交流から学んだこと~

 こんにちは、人馬交流分析士のりょーじ(@Horse Value)です。人馬交流分析って何?りょーじって誰?それをやって何になるの?という疑問への答えは#1をお読みください!

 さて、#40ではH.O.R.S.E.理論と交流分析の関係のお話をしてきました。大まかにお話しすると、僕が馬との交流で得た気づきである「人間は本来H.O.R.S.E.だよね」という理論と交流分析の人間観がすごく似ているよ、というお話をしました。

 ※H.O.R.S.E.理論について詳しく知りたい方は、#7や#28、#29を読んでください!※交流分析って何?という人は#30~#39を読んでください!

 とはいえ具体例を交えていかないと中々分からないと思いますので今回から、僕が学びを得た馬と人との交流を、交流分析を用いてより分かりやすく説明していきます。

 今日のラインナップはこちら!
・なぜあの人はあんなに攻撃的なの?(#27)という悩み
・攻撃性の裏側にある感情とは
・どんな動物にもある最も強い感情、恐怖・不安

 今回は、#27でお話しした僕と馬との心理的交流を取り上げていきたいと思います。これによって「体験→気づき」のプロセスがより鮮明になり、その時に僕が感じたことをより皆さんに分かりやすい形で説明できると思います!

 早速行きましょう!

なぜあの人はあんなに攻撃的なの?

 前回は「誰もが感情には共通システムを持っている」というお話をしました。例えば「怒りは自分の期待と現実が異なることによって引き起こされる」ということをお話ししました。
 つまり、誰もが怒りという感情の裏側には、共通となる何かを期待する→期待より低い(期待に満たない)と認識する→怒る、というプロセスがあるんだよ、というお話をしてきたのです。

 そんな同じシステムを持っている、ということを難しくしているのがそれぞれの行動の特徴です。世の中では性質(性格)と呼ばれているものです。

 例えば内向的な性格な人は怒り、という感情を持ってもそれを内に溜めて外には出さないかもしれません。逆に素直で率直な意見を言う人は怒りという感情を周りに吐き出します。

 そんな怒りという感情の扱い方が全く異なる人達が、同じシステムを持っているというのは信じられない、というわけです。

 この性質・性格の違いはどのように説明できるのでしょうか。
  この性質の違いは交流分析の中では、その人がどのような自我状態でいることが多いか、ということによって説明できます。

 例えば、怒りを露わにしないことが多い人は、冷静なA(大人)という状態でいることが多い人か、とりあえず何事も受け入れるAC(適応する子ども)でいることが多い人、ということが言えます(#37で性格とエゴグラムの話をしましたのでそこを読んでください)。

 とはいえ、いつもは中々怒りを表面に出さない人も、怒鳴ることもあるでしょうし、いつも表現する人でもグッと我慢するという瞬間もあるでしょう。これは、誰もが5つの自我状態を持っている、ということの分かりやすい例です。

 さて、どの自我状態でいることが多いか、ということはどのように決まるのでしょうか。例えば、いつもある人に攻撃的な人は、ある人といるとCP(批判的親)でいることが多いということです。この人がそのCPという自我状態でいる傾向が高いのは「なぜ」でしょうか。

攻撃性の裏側にある感情とは

 このどの自我状態を無意識的に選ぶことが多いか、というのは交流分析の中では「親から受け継ぐものである」という風に言われています。どの自我状態でいることが多いか、というのは親を観察する中で真似しながら獲得してきた在り方なのだと言われています。

 つまり、私たちは無意識的に自我状態を選んでいるのですが、その選び方にもこのような誰もに共通するシステム(親からの影響)が隠されていたのです。

 では、どの自我状態を選ぶのかを「意識的に」変えることができないのか、というとそうではありません。親から獲得したものでもそれを変えることはできるのです。

 そんな時に注目しなくてはならないのは、ある一つの感情です。

 例えば、いつも無意識的にCP(批判的親)でいることが多かった人がそれを変えたいと思ったとします(いつも攻撃的になってしまう自分を変えたいとします)。

 そのCPでいる原因は親から受け継いだものだから、というわけですが、自分を変えていく上ではそれは関係ありません。どんな原因でそうなったにせよ、CPでいることが楽であり、メリットがあるからその人はその状態でいることを選んでいるんです。

 その原因、メリットを知らない限りその人は変化することはできません。ではどうやってその原因を探せばよいのでしょうか。

 自分の中で意識的にCPを抑えようとしても、どうしてもそれが難しいことがあると思います。その難しさに注目すべきなのです。そんな難しさこそが、自分がCPで居続ける理由なのだからです。

 自分の慣れた在り方(この場合はCP)でいないと何を感じるか…恐怖・不安です。

どんな動物にもある最も強い感情~恐怖・不安~

 自分の慣れた在り方に潜んでいるものは、恐怖からの回避行動です。何かが怖くてそれを防ぐことのできる在り方を無意識的に選んでいる、というわけです。

 例えば、先ほど例にあげたCPが強くて人にいつも強く当たってしまう人は、それをやめようとするとどのような難しさがあるのでしょうか。

 「そんな風に人に強く物事を言っていないと自分が支配されてしまう」

 そんな声が頭の中で出てくるのかもしれません。そんな人は自分が支配されることを怖がっているのです。この恐怖からの回避行動が人に対する強い態度の表れなのです。

 このように「攻撃的な性格」というのは、実は恐怖心の表れであることが多いです。そして、多くの人が抱える「自分の嫌いな自分」で居続けてしまう理由はこの恐怖にあります。

 そんな在り方で居続けることは問題を起こしているのは分かるが、どうしてもやめられない、反応的にそんな風になってしまう、それはその恐怖という感情が何よりも強い感情だからです。

 #27でもお話ししましたが、馬にとっても恐怖心が最も大きな感情です。それが彼らの生存本能だからです。そして、その恐怖心のあまり、人間に攻撃的になったり、暴れたり、彼らも望んでいないことをしてしまいます。

 僕がそんな馬を見たときにしてあげることは、その恐怖に寄り添ってあげること、そして何を恐れているのかを知り、そんな恐れていることはこないことを信じさせて安心させてあげることしかできません。

 それは、自分自身を変えたいとき、そしてその原因に恐怖があることを知った時にも同じです。まずは自分に恐怖があることを認めて寄り添ってあげること。そして何を恐れているかを知り、そんな恐れていることは起こらないよ、と自分を信じさせることです。

 誰もが共通のシステムを持っていることはここでも同じです。誰にとっても、最も強い感情は恐怖や不安で、それが防御反応を起こしているのです。そんなことを信じられるようになったら…もっと周りの人のこと、そして自分のことを理解して分かり合うことができるんじゃないでしょうか。

【今日のまとめ】あなたがどんな自我状態でいることが多いのか、というのはあなたがどのような恐怖を持っているのかに深く関係しています。あなたはその恐怖から回避するためにその自我状態で居続けることを選んでいるのです。まずはそれを知り、そんな自分を見つめてみましょう。自分を変えることはそこからスタートします。

 明日も一日頑張りましょう!


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