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足元の運命の出会い

「すばらしい」

それが研究室の人たちの口ぐせだ。
決してすばらしくない僕に向かって、いとも簡単にそんな言葉をかけてくれる。
毎日自分で起きてればすばらしいし、授業に時間通りに間に合えばすばらしいのだ。
そういう人は尊い。
どの場面もプラスに汲みとって、いいところを見つけてくれる。

そんな雰囲気に触れたとき、僕もそうなりたいと思った。
変にその言葉の意味を意識してしまってなかなかうまく言えないことも多い。
小さい声になってしまったり、口ごもったりしてしまう。
だけど、言おう言おうと励んでれば、頭がだんだんついてきてスッと口にできる日が来ると思う。
意識が無意識に、そんな瞬間が。
その先に見える景色は一体どんなものなんだろう。



「運命」というのは意外と近くに落ちている。
白馬に乗ってやってくることもあるし、ビビッと稲妻に打たれることもあるだろうけど、もっと身近なものでもあると思う。
人生を振り返ってみると今までで大切だった出会いの多くは、ささいなことからスタートしている。

高校のとき初めて「電車男」を読んだ。
小学校のときくらいにドラマがやってたけど興味がなかった。
タイトルにあまり惹かれなかった、ただそれだけの理由だ。
だけど、テレビで、「舞台が2ch」だと紹介してて、俄然気になった。
約4年越しの巡り会いだった。

最近、オードリー若林さんのエッセイを読んだ。
たしか中学の頃にはすでに発行されていた。
図書館にあったのをおぼえている。
「芸人さんのエッセイって面白いのかな…」
今でも心の中に棲みついてる"食わず嫌い"。
もっとひどかった昔は手にも取らなかった。
本の帯をかじるくらいでもしていれば、その良さにも気づいただろうに。
結局、その本に深く共感することになったのは、つい最近の事だった。

ずっと好きなスピッツを知ったのも、身近な偶然。
テレビから流れてきた「空も飛べるはず」やカバーされた「ロビンソン」に惹かれてCDを片っ端からあさった。
あれから何年経っても、その衝動は色あせないし、まだスピッツを深く聴いたことない人がうらやましい。

どんなに自分の人生にとって大切な出会いでも、始まりはあっけない。



運命は、やっぱり身近だ。
思ってたよりもっと体温に近くて、人肌に触れがちで、人目にふれやすいものだったりする。
だからこそ大切なのは、心の網の目をどれだけ細かくして世界を眺められるかだと思う。
身の回りに何もないと思ってれば、ほんとに何にもなくなってしまう。
だけど、少しでも可能性があるなら、目をもう少しだけ見開いて、顔を3度くらい上に向けて、頭の中をスッキリさせて世界を見ていたい。
きっと何かがあるはずだし、身の回りのささいなことに心動いている自分にも巡り合えるかもしれないから。


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