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「魂の引力」

言葉に先立つものは、いつも必ず「意思」であります。

意思。そう呼ばれる怪力かつ無形のエネルギーに肉付けをして、事象に辻褄を合わせる為だけに私たちは必死で「言葉」を探ります。その際に精度が高ければ「意思」は納得に鎮まり、精度が低ければめげずに代替を探し始めるものです。「やり直し」と上司に企画を突っぱねられた新人さながらに。

これは、今流行りの「言語化」という行為でもありますね。

私たちが手足を使って何かを成し遂げる際の行動に於きましても、やはり先立つものは必ず無形の「意思」でございます。人間が抱いた、こころざし、欲望、憧れ、或いは義務感などといった意思の肉付けとして、肉体の方もあれこれと試行錯誤を繰り広げるものです。

「意思」が既に"そういう姿勢"を取っているものだから、物理的事象としても辻褄を合わせなければ収まらない。"寿司の舌"になったからには寿司を食べなきゃ収まらない。どうもこの宇宙と呼ばれる時空領域にはそういった性癖があるように感じられております。ここでちょっと余計な話をすると、人間などという複雑な存在が宇宙に生まれてきたのも、また、人間を何度絶滅させたところで再び再生してくるのもその為だと私は考えております。

話を本題に戻しまして、こうした意思という表現の他にも、私たちが目に見える肉体の他に「透明な精神体」を持っているという表現をしてみても良いかも知れません。こちらの方がコミカルでよりわかりやすいでしょうか。これの場合、必ず先んじて動く精神体の「ここぞ」と立った地点に、肉体も同様にピッタリ重なって辻褄を取れるように、我々もようやく物理の行動をし始めるわけです。彼の重力には逆らえず、疲れ切った重い腰さえも渋々と上げて(笑)

そういうわけで、二重ハチマキの熱血ビジネスマンが万事上手く回らないような時、そもそも彼の「精神体」の方は人里離れた僻地の畔で諦観に浸り、やまおろしのエレジーに慰められながら、ただしづかに釣り糸を垂らしていたりする。

反対に、「俺は世間の仕事なんざからっきしだから」とヘラヘラしている道楽者がトントン拍子で出世していったりするような時は、彼の精神体が社交パーティーでブレゲの腕時計を巻いて、年代物のワインを決め込んでいたりする。

そんなことがあるのではなないかと思っております。

「エフィカシー(自己効力感)を上げることが人生を拓く」といった理論は、既に天才こと苫米地英人博士も提唱されている通りでございます。今回はそれを少しズラして別方面から、言葉を変えて伝えた限りの小噺といったところであります。

圧倒的に不利な筈が、何故か上手くいってしまうもの。これでもかと好条件を敷き詰めておきながら、何故か失敗してしまうもの。「運命」というもの。とにかくイベントの少ない無職ひきこもりなりにも30年ばかりは生きてみて、そうした奇妙な体感が降り積もってきたこの頃です。

表面的な私たちの思い付く限りの願いや目的が、意思、もっとお洒落に言い換えて「魂」の願いや目的と一致しているとも限りません。これは我々の魂が、脳を使った言語やイメージよりもよほど深い感覚を用いて考えているせいだと思っています。

そういえば、私も過去に、何故かどうやってみても親しい友人が出来ないような時代、そもそも「精神体」の次元では深い孤独を願っていたようなところがありました。結局彼の引力には勝てず、「親友作り」など立派に掲げている癖に無意識の内にどれも人から距離を取る選択を重ねていたのです。まさに「辻褄合わせ」というもので、この問題を解決するには「精神体」の私にどうにかコチラに歩み寄ってきてもらうか、または観念してもうあっちに付いていって、彼の寂しい願いを一旦は消化してあげる必要があったのだと思います。精神と肉体が奇麗に重なり合った時、また次の道を目指し始められるものでしょうから。

「お前が孤独から抜け出せないのは、孤独が足りないからだ」
彼の声をマンガ的に表現するとこのようになりそうです。一見矛盾しているように思える話ですが、ここまで挙げてきた精神体の持つ「引力」を鑑みた場合は筋が通ります。

結局、宇宙は「無形物」と「有形物」の辻褄合わせをどこまでも好むものだという気がしてなりません。目を輝かせながらブロックを遊びをする、まだハイハイが上手な頃の可愛い我が子と同じようなものでしょうか。だとして、早く思い描いた通りの恐竜やロボットを作り出したくてワクワクしているのでしょうか。

そういう意味では、私たちが思い描くような「神様」がまだこの世に誕生していない可能性だってあると思います。少なくとも、物理事象としてはまだ……。

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