PMO組織とデザイン組織でやってきたこと

はじめに

株式会社エアークローゼットにて、

  • プロダクトデザインチーム

  • インターフェースデザインチーム

のチームリーダーをやらせてもらっております、Horizohです!
各組織の位置づけとしては、

■プロダクトデザインチーム
→PMO領域を含む、PJのQCDの担保を役割としながら、プロジェクト横断的に発生する課題を解決していく組織

■インターフェースデザインチーム
→エアークローゼットのサービスに紐づく全てのプロダクト・コミュニケーションデザインを担う組織

であり、チームメンバーと一緒に「最高のUX体験を生み出すプロダクト&サービス」を目指して、日々ワクワクしながら仕事をしております!
アドベントカレンダー14日目は、それぞれの組織の目線から、

  • エアクロ内でのプロダクト開発の優先度を決める方法について

  • エアクロデザイナーの評価体制について

それぞれ書いていこうと思います!

ほかのプロダクト開発に関わるメンバーもアドベントカレンダーに参加しておりますので、気になる方はぜひこちらもご覧ください!
また、過去の記事にてPJ運営に関わる運用や仕組み化についても詳しくお話していますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
GAS×BackLog×Slackで一人PMOしてる話|エアークローゼット|note
エアクロのPMとそれを支える技術|エアークローゼット

エアクロ内でのプロダクト開発の優先度を決める方法について

機能開発の優先度決めは、難しい

まずはコチラのテーマからです。
プロダクトデザインチームの1つの役割である、「社内のプロジェクトを包括管理するPMO」の目線からの内容です。
エアークローゼットでは日々、サービスを通してお客様に最高の体験を提供するための改善要件が発生しています。
それらは各業務ドメインごとに縦割りした部署ごとに起票され、それぞれがPJとして進んでいきます。

サービスと紐づくプロダクトの中で、各機能や価値の中からどれを優先して届けるか?の意思決定は、正解となる基準もなくとても難しいものだと思っています。
具体例を出すと

  • お客様のスタイリング品質の向上PJ

  • マーケティングにおける集客力の向上PJ

  • 倉庫業務の効率化アップPJ

が同時に並んだ場合、それらの優先度を横並びでどのように評価していけばいいのでしょうか?
概ね、いわゆる各ドメイン領域におけるPdMのような役割のメンバーが存在しており、それらの役割の中で機能がもたらすインパクトやコストなどを比較しながら優先度を決めていくのが一般的だと思っています。
エアークローゼットでは、この優先度付けを「各事業部ごとに用意した工数予算に対して、機能要件を並べて優先度の高い順に消化していく」方法で対応しています。

機能要件については、各ドメイン領域に向き合う各部門からPJの形で起案されます。
各ドメインごとに各部門でオーナーシップを持って進めているため、PJ起票~見積~アサインまでが仕組み化されている土台の上で、優先度の変更やアサインをスピーディに実施できます。

バケツ運用のなかみ

次に、バケツ運用の中身を詳しくお伝えしていきます。
あらためて流れで説明すると、

  • 月度ごとのエンジニアが生み出す総機能量を定量化(Pt化)し、

  • それを各部門ごとの予算に合わせて配布してバケツの大きさを定義し、

  • 各バケツに、見積もり済みの各機能要件を優先度の高い順に並べて、

  • エンジニア、デザイナーに上からアサインしていく

という形です。
重要な前提として、「機能量の定量化」や、「機能量を生み出すペース(戦闘力)の概念」があります。

「戦闘力」と「稼働日数」から算出される機能量の概念

まずは生み出せる機能量の最小単位を決めて、それを元に各PJの対応に必要な機能量を定量化します。
エンジニアやデザイナーのレベル感に合わせて一日あたりに生み出せる機能量(戦闘力)を定義し、そこに稼働予定日を掛け合せると、月度当たりに生み出せる機能総量を出せます。
あとはそれを各部門ごとに持つ開発・デザイン予算の比率に合わせて配分して、月度当たりに対応可能な機能量の上限をひきます。
これがバケツの大きさになり、そこに概算見積もり済みの各PJを並べ、優先度が高い順に消化していきます。
もちろん、見積もり通りに機能が実装しきれないことも多々あります。
その場合は、バケツに対する実績を月度ごとに集計して、翌月にて繰り越し計算を行います。

メリットとデメリット

このバケツ運用を始めてから早2年ほどになりますが、その中で感じているメリットとデメリットを挙げてみます。
メリット

  • 意思決定のスピードが速い

    • アサインを実施していないバケツの余白部分におけるPJは、各部署ごとの裁量によって自由に入れ替えが可能です。

    • 各市況に合わせて柔軟に優先度を変えられるので、意思決定のスピードが上がります。

  • 包括的な管理コストが下がる

    • アサインに至るまでの優先度調整は各部署ごとに委任しているので、バケツの大きさを提示しておくだけで、あとは優先度順にアサインしていくだけとなり、PMOとしてのPJ管理コスト総量を抑えることができます。

  • 優先度が明確になり無駄な作業が発生しにくい

    • 予め月度ごとに対応できるPJのキャパが明確なので、各部署も日次の進捗に合わせて必要なPJの準備を都度進めるので、必要以上に動く必要がなくなり、効率的です。

デメリット

  • 月度毎のPJの実績ブレが大きく、中期的な見通しが立てづらい

    • 元々の見積もりよりも工数が膨れるPJがかさばると、元々のアサイン量以上の実績となり、結果的に後半にアサインした他の部署のPJが進まず、開発進捗のバランスが崩れます。

    • かさばった部署における超過分については翌月以降のキャパに繰り越して精算されますが、月度のキャパのブレに繋がるので、中期的なPJの見通しが立てづらくなります。

  • アサインタイミングがつかみづらい

    • アサイン決定タイミングは週次で設定されており、各エンジニアの稼働状況を棚卸して手が空きそうなメンバーにアサインするPJを選択していきますが、エンジニアの稼働状況に合わせたアサインになるので、期日感が強いPJの優先度の調整が難しい場合があります。

結果として…

つらつらとバケツ運用のメリットとデメリットを挙げましたが、変化に合わせてスピーディにPJを進めていくエアクロのスタイルに合った形で進められていると感じます。
その中でもまだまだ課題は多いので、各PJ個別の理想的な進め方に向けて、これからも日々のアクションを進めて行ければと思っています。
なおエアクロでは、一緒にプロジェクトに向き合いながら改善を進めてくれるメンバーを募集しております。
これからの未来に向けて様々なプロジェクトに俯瞰して向き合えるPMOとして、ぜひ一緒にお仕事をしてみませんか?
ご興味があれば、カジュアル面談からお気軽にどうぞ!

エアクロデザイナーの評価体制について

UXの定量化は、難しい

昨年末~今年の初めにかけてデザイナーの評価体系を構築したので、その時のお話をしようと思います。
そもそも、それまでのデザイナー組織の中では、「デザインアウトプットに対する定量評価の仕組み」しかありませんでした。
(基本的に各クリエイティブの種類に合わせてそれぞれに基準となるポイントを設定し、種別×数で産出されるポイントの実績値の合計を計上して定量的なアウトプット量を評価する)

一方で組織としての品質軸での評価基準がなく、アサインされるプロジェクトごとに価値のあるクリエイティブを生み出せているのか?が不明瞭で、改善を回す仕組みが整っていないことが課題でした。
ただでさえ定性的な性質が強く品質基準の設定が難しい「UX価値」を土台とした場合、デザイナーが生み出すUXの品質は何を持って評価されるべきなのでしょうか?

この問いに対して考えた結果、現在では「PJリーダーから回答される、各PJを通したデザイナーの貢献度」をデザイナー組織の品質基準とすることにしています。
理由としては、最終的に我々が作り出すUX価値は、各部署から起案されるPJと、その中に参画するデザイナーから生み出されるはずだからです。
UX価値の品質を図る基準について考えたときに、その源泉たる各PJにおいてデザイナーがいかに「はやく・うまく・やすく」クリエイティブを作り出せたか?についてを各PJリーダーから評価してもらうことで、デザイナーのUXに対する価値創出の度合いを評価しています。

定性評価の中身

定性評価ではズバリ、

  • デザイナーが関与するPJの課題設定やラフの「解像度」

  • デザイナーのPJフェーズごとの「貢献度」

の二点を直接アンケート形式でヒアリングしています。
それぞれの集計に至っている理由は、以下の通りです。

  • PJの課題設定やラフの「解像度」

    • PJにおけるHow案がどれだけ不明確かを測ることにより、Howを提案・具体化していくデザイナーの貢献余地がどれだけあるか?を測るため。

  • PJフェーズごとの「貢献度」

    •  各フェーズでのデザイナーのGood / More の動き方を具体化し、それぞれのアクションやアウトプットにおける改善をしていくため。

また、貢献度については「具体的にどのような動き、クリエイティブがよかったのか?」「逆に期待値に達していなかった場合は、何が不足していたのか?」なども併せて定性コメントとしてヒアリングしています。
各デザイナーの振り返りの際に、参考情報としてこれらの評価内容を用います。

また、この定性評価の収集については、BackLog × Slack × GoogleフォームをGoogleAppScriptによって連携させた仕組み化を実施しており、
①デザイナーが自身が担当するPJに紐づくBackLogチケットを完了更新する
②日次でGASがバッチ実行され、完了されたチケット情報が事前情報として入力された回答フォームが作られる
③回答フォームのURLが自動でPJリーダー宛にSlackのDMにて届く
という流れで、「デザイナーの作業完了後に回答フォームが自動送信される仕組み化」を構築しています。

やってみて感じたこと

実際にこの「PJリーダーによる定性評価」を始めて1年ほどになるのですが、その中で感じたことを書き並べていきます。

  • デザイン組織としての振り返りの機会が非常に増えた

この仕組みを取り入れたことで、最も難しいポイントである「何をもってして良いデザイナーとするのか?」についてのフィードバックを、PJベースで発生している具体事例をもとに忌憚なくヒアリングしていくことができるようになりました。
結果として、各デザイナーが高い解像度で良い動き方への改善サイクルを回すきっかけとなり、各メンバーが自分だけではなく組織の課題について考える基礎にもなっていきました。

  • 何をUXアウトプットの源泉とするか、という問いに対する軸がいくつか見つかった。

各PJリーダーへのヒアリングを進める中で、各PJの中で期待される課題解決者としてのデザイナーの役割が具体化されていきました。
例えば、PJリーダーが企画や施策を進める中で、特に難易度が高かったり時間がかかってしまう部分は「Who/What からの Howの想起」の部分だということが明らかになりました。

結果として…

各PJの中で変わるUX価値に対して、社内メンバーの力を借りながら定性評価の仕組みを構築した結果、忌憚ない意見からFBサイクルを回す状態を作り上げることができました。
デザイナー自身にとっても自分の実施してきたPJの動きを振り返るきっかけができたことで、多くの成長期会に繋がっています。
デザイン組織でも、一緒にワクワクするサービス、プロダクトを作ってくれるメンバーを募集中です!
現在、

の2枠でそれぞれ募集中ですので、ぜひご興味がありましたら、お気軽にカジュアル面談からお会いしましょう!

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