見出し画像

関係性を生み出す本屋、「ブックマンション」というアイデア

吉祥寺駅から徒歩5分、本好きを繋ぐ「ブックマンション」というユニークな本屋がある。

*

アイデアの起案者は、店主である中西功さん。

AmazonなどEC全盛期、書店運営はかなり厳しく新規での出店は数えるほど。そんな中で管理者の負担を限りなくゼロになるよう、費用やリソースは仲間とシェアする。何より本好きを巻き込みながら関係性を築く仕組みはユニークで「なんでこのアイデアを思いつかなかったんだろう!」と思わず膝を叩いた。

*

特徴はこんな感じ。

関係者は、

店主である中西さん
店内で間借りして本を売ることができる棚主
お客さん

中西さんは、縦横31センチのサイズに区切られた棚を3,800円で棚主に貸し出す。棚主はそのスペースで本を売ることができ、1冊売れる毎に100円をブックマンションへ納めるという仕組みだ。

現在70人が棚を借りており、棚主はシフトを組んで店番も担当する。棚主は、本に対する愛着が誰かに共感されることや、好きだった本が誰かの手元へ旅立つことが喜びだという。

棚主はお金を儲けるために、棚を借りているわけではない。

小学5年生の山内蒼大くんは、読書が大好きで、親の力を借りながら、自らお薦めする本を置く棚主だ。自分がお薦めする本を「他人がどのように感じるか」を知る / 評価されるというのは素晴らしい社会勉強だ。

本好き同士が集まり、繋がりが生まれることで、Amazonでリコメンドされない本に出会うこともできる。本好きにとって、未知の出会いは何にも増して価値が高い。ブックマンションでは定期的にイベントが開催されており、棚主やお客さんが「混ざる」環境が作られている。

*

中西さんはコミュニティ「ブックカルチャークラブ」を立ち上げ、地域のコミュニティ作りに携わっている。「本のある場所を、2025年までに1,000箇所増やす」のが目標だという。

「実店舗の本屋の運営は、今のご時世では二の足を踏む方が多いと思いますが、『ブックマンション』の仕組みなら始めやすいはず。地方の商店街の空き店舗を月10万円で借りられたとして、20人の棚主が集まれば1人5000円の負担で本屋を運営できます。20日間営業するなら月に1日、順番に店番をすればいい。管理者は本屋だけの収入では生計は立てられませんが、みんなで取り組むのでマイナスになることはなく、場は維持され、特に時間を割く必要がないため、今までの職を継続させることも可能です」とアドバイスを送る。
(ソトコトオンライン「『ブックマンション』がつくる、本と人の未来。」より引用、太字は私)

誰しも憧れがある、自分だけの「本屋」。

その憧れを共有し、ブックマンションという形で実現できるのは、本好きにとって大きな価値を見出せるものだろう。

繋がりが派生して、また別のイベントが作られていく。

ブックマンションというアイデアが広がれば、自然と「楽しさ」が発生するはず。その心地良さが、多くの地域で生まれてほしい。

記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。