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請求書の思い出。

会社を創業して思うのは、

契約書は羅針盤、発注書は命、請求書はオアシス

ということ。もちろんここで書いているのは、「発注書=クライアントからいただくもの」であり、「請求書=当方で起票するもの」である。

最初は知り合いの会社から発注いただくことも多かったが、創業2年目は「はじめまして」も多くなった。嬉しい言葉をかけてくれるクライアントもいて、やりがいも大きくなっている。

商取引や一般的なビジネスコミュニケーションの型は、どこも変わらない。しかし細部にはローカルルール的なものもあって。いまひとつ分からないことは、「分からない」と思った時点で、すり合わせをする必要がある。

僕が間違っているときもあるし、クライアントが間違っているときもある。ただの誤解が生じているだけのこともある。

いずれにせよ、基本(筋)をしっかり押さえた(通した)上で細部を詰めるという流れを無視してはいけない。

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今は学生起業する方も増えているが、僕は社会人をそれなりに経験してから起業した。

家族もいる30代後半の起業に「大丈夫なの?」と言われることも多かった。でもそれより早い起業は、それはそれで大変だっただろう。20〜30代前半で得た経験値は決して小さなものではない。このタイミングの起業が、僕にとっては適正だったように思う。

今日は請求書の思い出を。

社会人1〜3年目、僕が所属していたベンチャー企業は、正社員と契約社員合わせて25名ほどの小さな組織だった。人事・総務の管理部門は3名。なので基本的な請求書や発注書周りの対応は、(まあ、当たり前のことだけど)担当者である僕が行なう必要があった。

「まあ、当たり前のことだけど」と書いた。僕がかつて所属した組織では、管理部門が請求書や発注書の対応を一手に担うこともあった。「これは私たちの仕事だよ〜」という感じ。これからDXで社内連携がシームレスになっていくようになれば、「担当者が請求書を起票する」なんてことが当たり前ではなくなるのかもしれない。

いずれにせよ15年前、僕は管理部門にヤイヤイ言われながら(言葉が悪いですね)、請求書を処理しなければならなかった。当時のフローの詳細は覚えていないけれど、

・会社が支払うもの
・会社に入金されるもの

の2種類を、請求書やら何やらで、月末月初に管理部門に共有しなければならなかった。

内容によっては、ちょっとした計算が生じるものもある。当時はガラケー全盛期で、DoCoMoやau、SoftBankを経由したデジタルコンテンツの販売を行なっていた。販売できた金額の分だけ請求する / 請求されるというようなこともあったのだ。

その当時はだいたい22〜24時まで働くことが多かったので、月末月初の事務処理というのは、ハッキリ言って「気が進まない」ものだった。冒頭で「契約書は羅針盤、発注書は命、請求書はオアシス」と書いたが、全くそんな感覚はなかったと思う。ただただ面倒なものとして、処理していたように思う。

特に社会人1年目は、「会社が支払うもの」と「会社に入金されるもの」の区別がつかなかった。

管理部門の担当者に「堀さん、また間違っているよ」と言われ続けていた。2年目のどこかのタイミングで「初めて間違いがゼロになったね」と言われて涙ぐんだ思い出もある。逆にいうと、僕は毎月間違いを犯し続けていたということになる。ひどい社会人だ。

まともな考え方を持てていれば、間違いを犯さないための仕組みを検討すべきだっただろう。しかも「お金」に関することで、本来は間違いがあってはならないことだ。今なら分かるけれども、イヤイヤの作業だったので全くそんな気持ちになれなかったのだ。

でもさすがに、3年経てば、慣れる。
何も工夫しなくても、3年経てば、間違わないようになる。

時間はかかったけれど、お金周りのミスがほとんどなくすことができた。時間はかかったけれど、この経験は、前職で管理部門(人事・総務)として働いていたときに大きなアドバンテージになった。たぶん僕が起因するミスはひとつもなかったと思う。むしろ社内で「これ数字違ってないですか?」と指摘をする役割になっていたので、同僚からは「数字に正確な人」と思われていたように思う。

数字に正確なわけではない。几帳面な性格なわけでもない。

社会人1〜3年目でチェックすべきポイントを知ることができた。当時のやり方(フロー)を真似ることによって、ミスを防ぐこともできた。

この辺りのことは、胸を張って良いかなと思う。

今もマンパワーが足りなくて、月末月初はバタバタと請求関連の処理を行なっている。でも、わりと頻繁に数値の確認をしているので、致命的な問題は起こらない(致命的な問題、つまりキャッシュアウトのようなこと)。

オートメーション時代。僕のように「アナログ」で管理していた人間は、どんどん少数派になっていくことだろう。僕もいずれは、システムの恩恵を受けるようになるはずだ。というか、もう既に恩恵は受けている。(ありがとう、freee!)

ただ、お金の流れを「体感」として経験したメリットはずっと残っていくはずだ。

「お金は大事」。

あのとき管理部門の担当者だったWさんとNさんにもし再会できたなら、成長の跡を見せられるんじゃないか。そんな自負が少しは、ある。

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